くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エイリアン ロムルス」「夏目アラタの結婚」

「エイリアン ロムルス」レイン、アンディ、タイラー

かなりグロテスクになっているものの、見せ場の連続で、単純に全編面白い。ドラマ性は完全に排除し、エイリアンというブランドを最大限に生かした作劇はなかなか見ものの一本だった。監督はフェデ・アルバレス

 

ノストロモ号の残骸に向かって一機の探査船が近づいてくるところから映画は幕を開ける。そして何かを回収し、ウェイランド・ユタニ社の宇宙ステーションロムルスに帰還し研究が開始される。場面が移り、ウェイランド・ユタニ社が開拓している採掘場のある植民惑星、アンドロイドのアンディと暮らすレインは、太陽が見える理想の惑星ユヴァーガへの転出手続きにやってきた。ところが、すでにノルマ期間を超えているにも関わらずウェイランド・ユタニ社は許可を与えずノルマ期間を延長する。

 

そんなレインにタイラーが声をかけてくる。タイラー、ケイ、ビヨン、ナヴァロらは輸送船でこの惑星を脱出し、ユヴァナへの移住を考えていた。しかし、ユヴァーガへ行くために九年の冷凍睡眠装置に入る必要がある。この惑星上に、宇宙ステーションロムルスが漂流しているのを発見したタイラーらはそのステーション内の冷凍休眠装置を奪って、ユヴァーガを目指す計画を立て、ロムルスに入るためにウェイランド・ユタニ社が作ったアンドロイドアンディが必要だった。乗り気でなかったレインだが、この惑星に希望がないと考えタイラーに加わることにする。

 

輸送船は惑星を飛び立ちロムルスに辿り着くが、冷凍休眠装置は三年分の燃料しか残っていなかった。しかも、ロムルス小惑星帯へ落下し始めていた。タイラーらはロムルスの深部にある燃料を手に入れるために、施設の奥へ進む。ところが、謎の生物に襲われる。そして発見したのは、体が半分になった科学主任のアンドロイドルークだった。ルークは、ロムルスで、異生物の遺伝子と人類との合体によるより強靭な人類を生み出す計画をしていて、すでにマウスで成功しているということだった。その液体の入った注射器とと主に脱出するようにそのアンドロイドは提案する。

 

ところが迫ってくる生物と戦う中で、ビヨンもナヴァロも殺され、妊娠しているケイもピンチに陥る。アンディはルークのモジュールと差し替えられ、異生物と戦うレイン達の主導権を持つようになる。しかし、異生物と戦う中、異生物に連れ去られたケイを助ける際タイラーは命を落とす。レインはアンディに元のモジュールをつけるが、ルークはレイン達をユヴァーガへ送り届けることと人類と異生物を合体させる物質を持ち出すため遠隔操作の実験を持つ。

 

しかし、レインとアンディは、ステーションを脱出し、輸送船になんとか戻るが、ケイは、寸前で合成物質の注射をしていた。レインはアンディを冷凍休眠装置に入れるが、そこで、人間と異生物の合体した赤ん坊が生まれる。レインはアンディのモジュールを元に戻し新人類を倒し、輸送船から装備庫を切り離し、ロムルス小惑星帯に激突して爆発、宇宙船は活動が止まったアンディレインを乗せてユヴァナを目指して映画は終わる。

 

次々とレインとアンディがピンチを潜り抜け、空間を縦横無尽に駆け抜ける様がとにかく面白い。とはいえ、クライマックスの合体生物はすでにB級ホラーの世界である。それはともかく娯楽映画としては十分に楽しませてくれる作品で完成されていたと思います。面白かった。

 

「夏目アラタの結婚」

いい映画なんですが、そしてとっても引き込まれて胸が熱くなるんですが、それは個人的に黒島結菜が大好きなので贔屓目に見ているのかもしれません。途中でラストのネタが見えてしまうのは、脚本が弱いのか演出が甘いのかはともかく、それでもラストはどうなるんだろうというサスペンスに最後まで画面に釘付けされてしまいました。監督は堤幸彦

 

とあるアパートの一室、異臭がするからと警官が踏み込む場面から映画は幕を開ける。部屋の中にはバラバラ死体と血まみれのピエロの顔をした太った女がいた。ピエロの名は品川真珠、三人の男性を殺してバラバラにし、遺体の一部を捨て、さらに第四の血も室内で発見され、間も無く彼女は死刑を求刑されることになる。そして三年の月日が経つ。

 

児童相談所の職員夏目アラタは、一人の少年と対峙していた。その少年は三年前のピエロ殺人事件でいまだに首が見つかっていない被害者の息子で、夏目アラタに、過去に名刺をもらったことがありその名前で真珠と文通をしていたが、会いたいと言われ、仕方なく本人の前に来たのだという。夏目は、その少年に、父親の首を埋めた場所を聞き出してやると約束をし真珠に面会に行く。

 

面会の場で真珠に、手紙の相手ではないと悟られ出て行こうとするのを夏目は、その場の思いつきで結婚してくれと叫んでしまう。そんな夏目に真珠の弁護人宮前光一が近づいてくる。夏目は、真珠と面会を重ね、最初の被害者の腕の埋めた場所を聞き出し、さらに二人目の被害者の足の埋めた場所を聞き出すことに成功するが、夏目は次第に真珠に素直な愛情を感じ始める。真珠は夏目の同僚の桃山を呼び出し、桃山に執拗に詰め寄って、桃山の心を自分に向けさせてしまう。そして真珠は夏目と宮前に自分は誰も殺していないと宣言する。

 

真珠は夏目に婚姻届を渡し、夏目は最初は躊躇するものの、体当たりで行かないとこれ以上進展しないと判断し、届けを役所に提出する。第一回公判、それまで黙秘を続けていた真珠は、三人を殺害したのは、自分の父であり、自分に言い寄ってくる男たちを殺害し、遺体の一部を真珠に捨てさせることで共犯にしたのだと話す。

 

捜査が進む中、真珠の母は真珠を産む前に子供を産んだが間も無くその子は死亡、その死を隠すために続けて真珠を産んだことがわかり、犯行当時真珠は18歳未満だったとわかる。その裏付けを取る宮前、さらに真珠の母の古い携帯を埋めてある場所を聞き出した夏目は第二回公判に向けて証拠を固めていく。

 

第二回公判、宮前は真珠が18歳未満だったことの証拠を掲げ、一旦起訴を取り下げさせ、裁判を白紙にすることに成功。一方真珠は、夏目にあることを頼んでいた。裁判所から一時拘束を解かれた真珠は、拘置所へ任意で行くことを拒み、そこへ夏目がバイクで駆けつけ真珠を連れ出してしまう。そして海辺にきた真珠は夏目の体の匂いをしっかり嗅いでキスをする。ホテルに行こうと誘われた夏目だが、ホテルでは真珠に手を出さなかった。

 

朝、目が覚めた夏目は、真珠がいないこと、そして新聞に新たに真珠への逮捕状が出たこと、宮前から、真珠が逮捕されたことを知る。真珠は夏目に離婚届けを送り、裁判では、自分が三人を殺したことを自供、自分を憐れんだ目で見た夏目を非難しながら退廷する。かつて母が苦しい思いをし、真珠と自殺しようと言ったが真珠が泣いてしまい、母は死ぬことを辞め、その後苦しい日々をおくりながら真珠を育てた。あの時死んでいたら母は楽だったかもしれないと言う反省から、今回の三人の男性も、日々が苦しいと言う言葉を聞き、殺したのだと告白する。

 

彼女は18歳未満であったことから、結局13年の刑が言い渡される。夏目は児童相談所を辞める。実はかつて、自分はあるアパートの前で児童虐待を受けているらしい少女を見かけ、自分も児童虐待を受けていた経験から、こういう子供を救いたいと児童相談所に勤めたが、それは自身が哀れみをかける相手を見つけることで楽になろうとしているだけだと真珠に教えられたと宮前に告白する。宮前はそんな夏目に、それはそれでいいと話す。

 

しばらくして、刑務所の真珠に宮前が夏目を連れて現れる。夏目は、今度こそ結婚式をしようと離婚届を破り捨てる。この日、夏目は神社で真珠を待っていた。真珠は刑務所でじっと空を見上げ、夏目の匂いを思い出していた。幼い日、母に育児放棄され、雨の中家の前で座っていた時、一人の不良っぽい若者が近づいてきてハンカチをくれたのだと言う。そのハンカチの匂いを真珠はずっと覚えていて、逮捕された後も、いつか来てくれると信じていたのだと言う。こうして映画は終わりエンドクレジットの途中、真珠にハンカチを渡したのーは夏目だったという映像が流れてエンディング。

 

切ないお話なのですが、猟奇的な殺人鬼という主人公の設定にミスリードされる作りになっています。ミスリード黒島結菜の熱演で成功しているのですが、真実が明らかになるにつれて、夏目と真珠の、心の奥の苦しさが今ひとつ滲み出てくるのが弱いために、冒頭の猟奇殺人だけが一人歩きしてしまった。ここは脚本で読ませるのか演出で見せるのかの力の見せ所なのですが、芸達者二人にも関わらず、ほんのわずかぼやけてしまったのは残念。でも好きな映画だった。