「映画検閲」
90分弱の映画ですが、なんともキレのない典型的なB級サスペンスホラーでした。現実と妄想が混濁していく流れもあまり工夫がないし、なぜ主人公がそういう行動になったかという真実のきっかけのキーワードがほとんど描かれていないので、話が見えないところも多々あって、ラストはなんとなく意図が見えるものの、思ってる以上の作品ではなかった。監督はプラノ・ベイリー=ボンド。
残酷なホラーや犯罪ビデオが何点か流され、そういうフィルムを検閲しているビデオ・ナスティと呼ばれる暴力、低俗ビデオの検閲の仕事をしている現場に移って映画は幕を開ける。1980年代イギリス、過激な映像ばかりチェックする検閲官イーニッド、この日も、残虐シーンをカットしては同僚と意見を戦わせていた。その断固たる姿勢はリトル・ミス・パーフェクトというあだ名だ呼ばれる彼女だった。
そんな事務所に、ダグという映画プロデューサーが立ち寄り、イーニッドに、どこかで会ったことがないかと話しかける。その場はそれで済んだが、たまたまイーニッドが検閲したビデオの殺戮シーンと同様の犯罪が起こり、検閲官への世間の厳しい目が向けられ、イーニッドにも過剰なストレスがかかる。
そんな時、両親からイーニッドに連絡が入り、行ってみると、15年前に行方不明になったままの妹ニーナを、死亡と認定することにしたと言われる。自分と一緒に遊んでいた時の誘拐事件らしく、納得のいかないまま受け入れたイーニッドだが、どうにも落ち着かない日々が続く。ある時、ベテランホラー監督フレデリック・ノースの作品を目にしたイーニッドは、そこで殺される女優の姿にニーナを認める。その女優アリス・リーとフレデリック・ノースのことを調べ始めるが、ビデオを繰り返すみるうちに、現実と妄想が混濁し始める。
イーニッドは、ビデオのラベルからダグの住所を見つけて、調べるためにダグの家に行く。ダグは、フレデリック・ノースのヒット作の続編を予定しており、アリス・リーはこれで引退するのだという。そしてアリス・リーに似ているイーニッドに迫ってくるが揉み合った際、ダグは、テーブルにあった小道具で頭を貫かれ死んでしまう。イーニッドは検閲事務所に行き、そのまま、続編撮影の森へと向かう。それは、ニーナと最後に遊んだ森に瓜二つだった。
森の中のキャンピングカーに行ったイーニッドは、メイクの女性に招き入れられ、アリス・リーの姉役として衣装を変えて、森の奥、フレデリック・ノースが撮影している現場へ向かう。そこには、ニーナが誘拐されたらしい小屋があった。イーニッドはその小屋に連れ込まれるアリスを追って中に入り、そこで大男に抱きすくめられるが、男がアリスを羽交締めにしたので、手にしていた斧で男を殴り殺す。しかし、アリスは、撮影のつもりだったので絶叫をあげ、駆けつけたフレデリックもイーニッドは斧で首を切って殺す。
イーニッドはアリスを追いかけ、二人で車に乗って両親の家に向かう。そして、笑って迎える両親にアリスを引き合わせて、幸せそうに微笑むイーニッドの顔から、「映画検閲」というビデオがデッキから排出されて、全ては映画だったと言わんばかりで物語は終わる。
イーニッドが真実を突き止めていく展開がどこまでが現実かが曖昧で、それが狙いかもしれないが、もう少しメリハリのある演出が見られたら面白かった気がします。ラストの虹が広がるショットもあざといだけで、あまり効果が出ていないように思いましたが、B級映画と割り切ればそれはそれでいいのかもしれない、そんな映画だった。
「#スージー・サーチ」
評判良くないので期待してなかったけれど、B級サスペンスとしてはそれなりに面白い小品でした。少々リアリティに欠けたりご都合主義的な展開もあるけれど、さらっとサスペンスを楽しむならあれでいいかもしれない一本でした。監督はソフィー・カーグマン。
歯を矯正している主人公スージーがポッドキャストの配信をしているアップから映画は幕を開ける。といっても、彼女のポッドキャストはほとんどフォロワーもいなかった。母は難病らしく寝たきりだが、スージーは幼い頃から母に推理小説を読み聞かせてもらい、最初のページで犯人を当ててしまうスージーの才能を活かすようにといつも言われていた。故にスージーのポッドキャストは犯罪に関わる推理物的な物だった。
そんなある時、同じ大学で、インフルエンサーとして人気のジェシーが誘拐される事件が起こる。スージーはいつもいく保安官事務所に情報などを提供してみたが埒があかず、自らポッドキャストでジェシー探しを始める。そしてある農家の倉庫の地下室でジェシーを発見、救出する。どうやら犯人はジェシーの叔父だと思われたが、叔父は消息不明だった。
警察も見つけられなかったジェシーを発見したことでスージーは一躍人気者になり、彼女のポッドキャストもフォロワーが急増、地元のテレビ局などから取材が相次ぐようになり、学校の校長らも、スージーという英雄が在籍していることで学校の人気も高まり感謝される。スージーはジェシーにほのかな恋心を持ち始めるが、ある日食事に誘われて行ってみると、ジェシーの友達レイも来ていてガッカリする。
この日、スージーは車で森の奥へ行き、途中で自転車に乗り換えてさらに奥のコンテナハウスにやってくる。ここはスージーの極秘の隠し場所で、そこに、ボイスチェンジャー、マスクなどがあり、それを焼いてしまう。実はジェシーを誘拐したのはスージーだった。そんなこととは知らず世間はスージーを英雄呼ばわりし、ジェシーも何かにつけスージーに近づいてくるが、レイはスージーをつけ回すようになる。
まもなくして全国放送のテレビ局から招待があり、スージーとジェシーは地元を離れテレビ局へ行くが、収録の後、ジェシーの叔父が半年ペルーにいたことが判明し、犯人説がなくなる。疑ったことを反省したジェシーは急遽地元へ戻り、スージーも一緒に帰るが、スージーが自宅に入ると部屋の中が荒らされ、部屋の隅からレイが現れる。彼は、ジェシーが誘拐された時の帽子を手にして、犯人はスージーだろう攻め寄ってきた。そこで揉み合ううち、レイは足を滑らせ、誤って窓から落ちて死んでしまう。スージーは自殺に見せかけるためレイの遺体を川に捨て、案の定、レイは自殺と見なされ処理される。
ショックを受けるジェシーを慰めるスージーに、レイは恋人だったとジェシーが告白、スージーはショックを受ける。しばらくして、ジェシーの監禁場所で毛髪が見つかったという捜査情報が入る。スージーは自分の髪の毛が見つかれば真相がバレると判断、バイト先の店長が何かにつけ異常な程に店員に詰め寄るので、彼を調べるうちに、彼の父が金持ちで彼を精神病院から完治前に退院させた経緯などを突き止め、彼を犯人にするべく髪の毛を手に入れる。
スージーは保安官助手に下剤を呑ませ席を立った隙に保安官事務所の証拠保管室に入り、監禁場所で採取した髪の毛を店長のものと差し替える。そして、ジェシーがかぶっていた帽子を店長の家の倉庫に残そうと出かけるが、スージーはその地下室で様々な近所のペットの剥製を見つけてしまう。店長はペットを敵視し、殺しているサイコだった。そこへ店長がナタを持ってスージーに襲いかかる。奥の部屋に逃げ込んだスージーに、店長がドアを蹴破って迫るが、間一髪保安官が駆けつけ、店長を撃ち殺し全てが終わる。保安官はスージーがジェシーを監禁したと疑っていたが、これで疑いが晴れたと言う。
後日、さらに英雄になったスージーは、ジェシーとテレビ番組に出ていた。司会者がスージーに、殺人鬼に迫られた時どうしたかと尋ね、スージーは、かねてから母に言われていた「落ち着いて、三回深呼吸して、海のことを考えればいい」と言うのを実践したと答える。しかし、横にいたジェシーが、自分が監禁された時、犯人から同じ言葉を聞いたことを思い出す。ミスに気が付かないスージーの笑顔で映画は終わる。
色々ツッコミどころは満載の映画ですが、サスペンスの常道を抑えた脚本はなかなかのもので、決して傑作とか言えないまでも、映画として面白い作品だった。