くらのすけの映画日記

「映画倶楽部シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハプニング」

ハプニング

M・ナイトシャマラン監督の最新作「ハプニング」、例によって、シャマラン監督独特の信念にのっとった個性的な作品でした。
以下、内容に触れないと感想が書きづらいので、ネタバレしていきます

宣伝フィルムにもあったように突然、人々が倒れていく。もちろん、急にフラット倒れるのではなく、自殺するのですが、何で自殺しようとする衝動に走るのかが謎なのです。

公園で話をしていると、急に人々の動きが止まり、頭に挿していた髪飾りを抜いて一人の女性が、首を刺して死にます。さらに、工事現場の上から次々と、男の人が落ちてくる。このあたりのつかみは見事で、一気に物語りに引き込まれ、これは只者作品ではないと思わせられる。

しかしながら、ここから、物語は次第に主人公の行動へと舞台が移っていき、人々が自殺する原因が徐々にわかり始めてくると、近年のナイトシャマラン監督作品の欠点が表に目立ち始めます。

自分の独りよがりの信念でぐいぐいと物語を進めて行く強引さは、第一作「シックス・センス」とはあまりにもレベルの格差が目立ちます。
シックス・センス」にはスリラーとしての謎解きの面白さが最後まで衰えることなく続きました。もちろん、そこに演出への工夫などがしっかりと見えていましたが、最近のナイトシャマラン監督にはそのねばりがありません。

この「ハプニング」にしても、風による自然界の直物から人間への攻撃であるという謎が途中で明らかになった後は、ほとんど演出に工夫が見られず、物語展開にも面白さが一気にレベルダウンしてしまいます。
レディ・イン・ザ・ウォーター」にせよ「ヴィレッジ」にせよ、酷評に終わったのはその辺りにあるのではないでしょうか

とはいえ、ここまで自分の宗教観、信念をひたすら貫いていくナイトシャマラン監督のこだわりは、最近の監督には見られない貴重な人であり、かつて、サスペンス映画だとさげすまれながらも自らの信念を貫いたヒッチコック監督を彷彿とさせられて、好感がもてますね。

作品のできの良し悪しはともかくも、M・ナイトシャマラン監督は今後も応援したいと思います