くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハゲタカ」

ハゲタカ

NHKが放映した秀作ドラマ「ハゲタカ」の映画版である
スタッフキャストともにほとんどオリジナルをそろえ、大友啓史監督は見事に名作ドラマをスクリーンに再現した。

冒頭の中国の農村のシーンに始まり、抜群の効果音のセンスで、迫真のドラマが幕を開ける。

日本の巨大自動車メーカーに対する公開買い付けを仕掛けてくる中国巨大ファンド、まさに今の世界の経済の縮図をそのまま物語の殻に据え、リーマン・ブラザーズ破綻というアメリカ経済の矛盾さえもその脇役にはめ込んでの骨太な経済ドラマは、まさに圧巻である。
もちろん、原作の登場人物の背景をある程度知ることもこの作品を鑑賞する上では少しは役に立つかもしれないが、それは別にしても、最初から最後までスクリーンに釘付けされるに十分なできばえでした。

とはいっても、私の場合、金融関係に籍をおくために、また原作を読んでいることもあって、ある程度の知識は持っている。それがもちろんこの作品の面白さを倍増させたのは間違いないと思う。しかしながら、それはさておいても面白いのは、物語のリズムを的確につかんでいるつくり方ゆえではないかと思う。

テレビドラマを何本かつないだかのような構成をとっているにもかかわらず、観客がやや沈みかけたところで的確にハイテンポな音を挿入し物語にスピードを持たせるという 繰り返しが、絶妙の展開で私たちの目を物語からそらせないのである。だから長尺ながら、そして重いテーマながら、最後までしっかりと見続けることができる。

見終わったあとも、非常に充実感の残る作品でした。