くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「戦争と人間」第一部、第二部、第三部

kurawan2015-09-08

「戦争と人間」第一部(運命の序曲)
五味川純平原作、山本薩夫監督の戦争レクイエム超大作の第一部。正直なところかなり偏った視点から描かれている作品ですが、娯楽大作としてみればさすがに、重厚感に圧倒されます。

物語は、大正期に起こった新興財閥の伍代産業が満州へ進出していく過程を描きながら、時の日本が、次第に世界を敵に回して戦争へと突き進んでいく様を描いていきます。

もちろん俳優陣の圧倒的な存在感の見事さ、徹底的なリアリティと娯楽性、戦略戦争を問題視した視点で描く迫力は素晴らしいです。ただ、やはり長いですね。まだ第一部ですが。


「戦争と人間」第二部(愛と哀しみの山河)
不穏な空気が立ち込めていく日本国内の姿を前編に、中盤で二二六事件を挟み後半は、日中戦争に突入していく流れを描いていく。

第一部で登場した人物がやがて大人になり、それぞれの思いの中でどんどん戦時体制に突き進み、理不尽な国内の不安が暗雲となって覆っていく様を、人間ドラマの観点にも手を抜くことなく描く山本薩夫の演出が、更に迫力を増してくる。

第一部同様、日本の非道が表に描かれるものの、そんな中で中国国内の内紛にも視点を向け、世界中が戦時体制になっていく当時の世相の不安定さにも言及する脚本が素晴らしい。

日中戦争開戦となるクライマックスと抗日運動の激化という歴史の転換点でラストシーンを迎える。まさに大作ゆえの迫力を堪能できる第二部でした。


「戦争と人間」第三部(完結篇)
物語は、日中戦争が泥沼となり、軍部が徐々に代替し、更に身の程をわきまえず、ソ連にまで手を伸ばす日本の姿、国中が戦争へと精神論で突き進んでいく愚かさを描いていく。

クライマックスは、ノモハン事件。
ソ連軍に翻弄された日本軍は、完全に敗北を帰するも、すでに、敗北という考えは幻影の中に沈み、やがてヨーロッパではヒトラーによって第二次大戦が火ぶたを切って落とされる。そしてやがて日本もその戦火の中に飛び込んでいくのだが、映画はその直前で終わる。

圧倒的な反戦人間ドラマであるが、原作者の色と監督の思想が前面に押し出されている感が強く、今みれば少し、偏見が目立つ気もするが、映画作品としてみれば、さすがに見事な出来栄えである。

傑作という言葉は使いたくないが、日本映画として、必見の一本であることは確かである。