くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「櫻の園〜さくらのその〜」

櫻の園〜さくらのその〜

中原俊監督が1990年に描いた名作青春映画「櫻の園」、そのリメイクでも続編でもない今回の同じ監督による「櫻の園」を見てきました

もちろん、中原俊監督のファンでもあるのですが、1990年版のファンでもある私としては、やはり、見たかったのですよ。
映画館は私一人で、まさに独占状態で見てきました。

いい映画でした。中原俊監督でないと描けないような甘酸っぱい青春映画、櫻華学園という名門女子校を舞台にしているというどこか危険なムード。このあたりの雰囲気は1990年版と同じ印象でした。

もちろん演じる女優さんがみずみずしいし、演技もうまいゆえかもしれませんが、中原監督独特の視点で描かれるカメラアングル、そして、微妙に揺れる構図、絶妙の角度でとらえる女優さん(というか女子高生)の姿が、なんとも、不思議な甘酸っぱさを伝えてくるのです。

前作「櫻の園」が開演2時間前の演劇部の様子を描くという個性的な設定による群像劇であったのに対し、今回は、11年前に上演中止になって以来、再演されていない「櫻の園」の再演に向けて奔走する転校生の主人公を中心に描くストレートな青春ドラマになっています。

時代の変遷もあって、携帯や恋愛観、自主バンド、ストリートミュージシャンと現代的な設定をほんのわずかに盛り込みながら、原作のムードは基本的に損なわず、古き風習、生活から新しく抜け出そうともがく思春期の少女達のさわやかな姿を描いた今回の作品は、前作に劣らず、さわやかすぎるラストシーンで感動を伝えてくれました。

どこがどうなのといわれますが、この何とも不思議な感動は中原俊監督でないと描けない世界ですね。
エンディングのスピッツの「若葉」という曲も見事にラストを盛り上げてくれました。いい映画でした