「Re:LIFE リライフ」
アメリカントーク満載で幕をあける冒頭から、次第に主人公の心の成長に展開していくドラマ作りはなかなかの一本で、普通にいいジャンルの映画という感じでした。監督はマーク・ローレンス。
15年前にアカデミー賞の脚本賞を受賞した脚本家のキースだが、それ以降これという作品もなく、周りの人々は過去の彼にしか話しかけない。
そんある日、大学のシナリオクラスの臨時教師の話が舞い込み、生活にも厳しい彼は、その仕事を受けることに。しかし、最初からやる気のない彼は、初日から女学生とベッドインするは、受講生は顔で選ぶし、さらに最初から一ヶ月の休講をしてしまう。
そんな彼に大学の堅物女教師は彼を糾弾する。
しかし、学生の中に、大学の購買部で働く女性の聴講生を招いたところから、次第に授業に目覚め、さらに学生たちからも人気になっていく。
主人公のキースの周りの脇役が魅力に富んでいて、キースの物語がどんどん膨らませていく展開も楽しい。
やがて、一時は辞めるところまで行ったキースは、教え子の脚本がハリウッドで買い取られ、その姿を見るにつけ、かつての自分を思い出し、初心に戻って後輩の育成のために大学に戻ってくる。
単純な感動ものではなく、人間ドラマとして仕上げたストーリー展開はなかなかののもので、最初は入り込めなかったけれど、次第に、物語のテーマに引き込まれてしまった。ちょっとした佳作だったかもしれません。
「レインツリーの国」
ほんとうに子供っぽいピュアなラブストーリーーです。でも、会ったらすぐにSEXする外国のラブストーリーよりも、やっとキスをする二人のシーンでエンディングという、こういう純粋さが私は好きです。監督は三宅喜重、原作は有川浩です。
映画は一人の青年が介護補助をしているシーンに始まる。大阪に住む主人公伸行は就職して東京へ引っ越すにあたり、本棚を整理していると、大好きな本「フェアリーゲーム」の下巻がないことに気がつく。ラストを忘れた彼は、ネットで検索をしていて、同じくこの本が好きで、ラストについて書いている「レインツリーの国」というサイトに行き着く。そしてその管理人のひとみという人にメールを送るのだが、ひとみから伸行に返事が届き、二人はメールのやり取りを始める。
こうして、今時のやり取りで映画は幕をあける。そして、間も無く、伸行はひとみと会おうと決心し、ひとみも了解、「フェアリーゲーム」の本売り場で会った二人は、それなりのデートをするのだが、何かにつけ、自己中心を押し通す人見利香に、とうとう切れた伸行は、彼女にきつく当たってしまう。しかし、彼女は難聴者だった。
ここから二人の、どこか不器用ながら、若さゆえの未熟さを漂わせるラブストーリーが展開。よくあるエピソードを散りばめながら、二人の関係は、付かず離れずを繰り返し、最後は利香も難聴者であることにこだわらず堂々と生きることを決心し、伸行に駆け寄ってキスをしてエンディング。
原作もあるし、監督もまぁまぁなので、普通のラブストーリーの域は抜けないけれど、このピュア感、切なさ感、ウルウル感がたまらない。西内まりやはやっぱり可愛いし、とってつけたような衣装替えシーンのクライマックスも、可愛くてキュンとしてしまう。凡作には違いないものの、損をした気がしないからこの手の映画は不思議ですね。