「金田一耕助の冒険」
当時の流行の全て、さらに角川映画の何もかもをパロディにしてしまって、ただノリだけで展開するいわゆる番外編のような横溝シリーズの一本で、これという物語はどこまでいっても見えてこない。カルトムービーと呼ばれる作品です。監督は大林宣彦。
で、この映画の物語を書けばいいのですが、書けません。原作はちゃんとありますが、それは短編集で、その中の話を混ぜ込んだのかと思えば、そうでもなく、当時のCMや映画、一世を風靡した様々なものが、思いつきではないかと思えるほどに次々と出て来る。
一応、行方不明になった彫刻の頭部を探すという流れのようですが、あってないような支離滅裂な物語です。
そんなわけで、どこで終わりかわからないので、途中どんどん飽きて来るし、やや退屈という感情さえ生まれて来る。大林宣彦監督を嫌っていた頃の大林作品というイメージですね。まぁ、これも角川映画だからできた一本かもしれません。
「天国にいちばん近い島」
決して名作とかそういうものではありません。30年前に見たときも、ほとんど印象がなかったのですが、ノスタルジーに浸るためだけに再度見ました。監督は大林宣彦、主演は原田知世です。
幼い主人公万里が父と話しているシーンに映画が始まる。大林宣彦監督得意のモノクローム映像。やがて時が経ち、父は亡くなるが、万里が幼い頃、父に聞いていた、天国にいちばん近い島を探しにいくことにする。
こうして、万里がニューカレドニアのツアーに参加して本編が始まる。
現地でのほのかな恋を経験しながら素朴な人々とふれあい、父が言っていた島と確信できる場所を見つけて日本に戻って来る。
ニューカレドニアでのわずかの時間の間に、少女から大人に成長する主人公の物語ですが、ほとんど、原田知世のスター映画です。まあ、これが角川映画なのですがね。