くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「SING」「わたしは、ダニエル・ブレイク」

kurawan2017-03-22

「SING」
具が山ほど乗った丼を食べたような感覚になる作品で、ストーリーが詰め合わされていて芯がないので、見終わってからの印象が非常に薄い映画でした。確かにアニメーションは面白いけれど、普通だし、展開も見せ場があるようでまとまりも無く散漫。どれか1つに引き込まれた人はその部分だけで感動するかもしれないけれど映画全体としてはまぁまぁでした。こういうのを見るとディズニーアニメはすごいなと改めて思います。監督はガース・ジェニングスです。

業績が芳しくない劇場のオーナーであるムーンは、ここで一発逆転と歌のコンクールを行い賞金を出すというイベントを思いつく。ところが印刷したチラシの金額を間違えて1000ドルが10万ドル賞金になっていた事から、応募者が殺到。

物語は様々な生活をしている歌手志望の人々が集まってくるという前半の紹介シーンから始まる。

しかし、リハーサルなどをしている時に、賞金の件がバレて、ドタバタの末に劇場も崩壊。一旦はどん底に落ちたムーンだが、跡地に野外劇場を立てて音楽祭を開催するのがクライマックス。

ここまで紹介された様々なキャラクターたちのドラマがクライマックスを迎えて大団円としてエンディング。

聞きなれた曲を散りばめているので、歌のシーンは見ていられるが、逆にそれに頼ったという感がないわけではないと思う。続編が出るらしいけれど、続編はいいかなというレベルの映画でした。


わたしは、ダニエル・ブレイク
カンヌ映画祭パルム・ドール賞受賞のケン・ローチ監督の作品ですが、ウーンどこが最高賞という感じの一本で、確かにテーマははっきりしているのですが、ケン・ローチらしい皮肉なユーモア感が今ひとつ見えづらくて、楽しめなかった。

心臓病を宣告され就労を禁止されたベタラン大工のダニエル・ブレイクが国の援助を受けるべく役所に申請に来ている場面から映画が始まる。しかし、やたらめんどくさい手続きと意味のない行動を強制されることにとうとう切れてしまう。そんな時、同じようにロンドンからやって来た二児の母親ケイティと知り合う。

ケイティも思っていた手当てが受けられず、どんどん貧しくなっていて、ダニエルはできる限りの援助をするが、限界のきたケイティはとうとうエスコートを始めてしまう。

何もかもにうんざりしたダニエルは、役所の壁に「わたしは、ダニエル・ブレイクだ、就労届けなど・・・」という気持ちを落書きして行き交う人々に賞賛されるが、当然逮捕、注意喚起される。

全ての道を閉ざされたダニエルは、引きこもるように自宅にこもるが、体調は確実に悪くなっていた。

そんなダニエルを心配し、ケイティは何とか支給金の手当てを再開させるべく、ダニエルを手続きに連れて行き、少し光明が見えたと思えた途端、ダニエルはトイレで心臓発作で息をひきとる。これがいわゆるケン・ローチの皮肉なのかと思えるが、それも普通といえば普通で、だいたい予測がついてしまっている。

導入部のやたら面倒な手続きや、無駄な行動を指導する担当者の姿、何度電話してもつながらなかったり、何かにつけオンラインでなどとネットを勧める皮肉などは散りばめられているが、どうもいつものような苦笑いにつながらないのです。

ケイティのキャラクターも今ひとつ物語全体にスパイスの役割を果たしていないし、そんなによくできた作品なのだろうかと思ってしまう作品でした。