「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
同時代に生きたイングランド女王エリザベスとスコットランド女王メアリーの姿をメアリーの側から描いた作品です。権謀術策で女王でありながら次々と権力争いに利用される様がしっかり描かれていました。監督はジョージー・ルーク。
スコットランドのメアリーがこれから斬首されるという場面から映画が始まる。そして物語はイングランドの正当後継者シュチュアート家のメアリーがスコットランドの女王になるところから始まる。一方イングランドには姉エリザベスが王位を継いでいた。しかし、夫を迎えれば夫は国王となることで権力を得ようとし、その野望を利用して家臣が暗躍する様にエリザベスは辟易としていた。
一方のスコットランドのメアリーはその美貌と才気によって巧みに家臣を収めようとしていたが、イングランドが何かにつけてその権力を脅かすようになる。
エリザベスのには子供がないこともあり、子供が産めるメアリーは妬まれていた。そしてその野望の中で無理やりメアリーは結婚させられ、やがてジェームズを生む。メアリーはイングランドとの諍いを納めるため、ジェームズの育ての母としてエリザベスを指名する。
一旦は、落ち着いたかに思えたが、メアリーの家臣達の術策は尽きることなく、やがてメアリーに不義密通の疑惑をでっち上げ、ジェームズを次期王位として取り上げてしまう。
身の危険を感じたメアリーはエリザベスに助けを請い、イングランドへ出向く。そんなメアリーをエリザベスは保護して幽閉してしまうのだが、ここにもまた権謀術策が渦巻き、メアリーはエリザベスへの暗殺疑惑でとうとう斬首されることになる。映画はここで終わる。
全体の映像が殺伐としていて、宮殿の話なのにどこか裏寂しい空気感はメアリー達の心の風景かもしれません。メアリーを演じたシアーシャ・ローナンの演技力に負うところが大きい作品ですが、それなりに楽しめる作品でした。
難病物悲恋映画は、昔から山ほどあるのですが今回の作品もその中に埋もれる一本というレベルの作品でした。前作「君の膵臓をたべたい」がよかったのは原作と演技者の良さに負うことで監督の月川翔の力ではなかったようです。
何度目かの法事で郊外の墓地で献花する学生のシーンから映画が始まります。暮石の名前は渡良瀬まみず。時が遡り、入院しているまみずに色紙を届けることになる岡田卓也のカットになる。
渋々病室にやってきた卓也は、発光病という難病で外に出れないまみずと出会う。そしてたまたま卓也が彼女が大事にしていたスノーボールを割ってしまったことから、まみずの代わりにやりたいことを代行することになる。
遊園地に行ったり、ショッピングに行ったり、パフェを食べたりと物語の本編はそんなシーンの連続だがいかにも普通すぎて映画が面白くなって来ない。北村匠海の演技力の弱さもあるのだろうが、不幸な話だからひたすら沈んだ演技を徹底するだけの芸のなさが面白さを生み出してこないのです。
しかも、原作の弱さか、卓也の周辺の人物もみんな不幸に見舞われているという安易な設定も甘い。結局ラストはまみずが死んでいくクライマックスがわかっているのだから、もっとそれまでのシーンを作り込まないといけないと思います。まあ、期待もしてなかったけど、ほんまにそのレベルの映画でした。