くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告」「レスキュー」

「グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告」

もっと面白くなるはずなのに、焦点が定まらない脚本で、どこを見せ場にするのか見えないまま、だらだらとラストまで流れた感じの映画でした。これだけのスターを揃えておいてもったいない限りです。監督はティム・ヒル

 

エドはかつて建築家だったが今は引退して一人暮らしをしている。年齢もあり、娘のサリーは自分たちの家での同居を提案する。当然、部屋が必要なのだが、長男ピーターの部屋をあてがうことにして、ピーターは屋根裏部屋に移される。不満のピーターはエドに宣戦布告する。とまあここまではなかなかの出だしなのだが、後がなんとも中途半端で、エドとピーターのいたずらの仕掛けあいが適当な展開で緩急もなく展開して、そこに妹のジェニファーが絡むのだが、彼女は祖父のエドのことが好きで、その軟弱さも映画をキレのないものにした感じです。

 

また、エドの幼馴染の老人たちとの絡みや老人対若者たちという対比ももっと面白くできた気がするのですが、そこも演出力不足なのか、盛り上がってこず、その場限りにドッジボール戦でお茶を濁すだけと言うのももったいない。

 

さらに、長女ミアのボーイフレンドとのドタバタを母のサリーが突っ込んでいく展開も挿入し、一体何が見せ場か見えてこない。クライマックスはジェニファーの誕生パーティとクリスマスイヴを重ね、ピーターとエドの最後のバトルかと思いきや、これと言う盛り上がりもない悪戯のまま、無理矢理、大袈裟に締めくくって、そのまま感動の大団円かと思いきや、またまたミアのボーイフレンドとサリーの仲直りなども持ち込んで、どうにもまとまらない。

 

思い切ってバッサリと省くべきは省いて、見せる部分に集中したら面白かったと思う。残念な仕上がりの映画でした。

 

「レスキュー」

何も考えず、単純に面白い映画でした。余計なドラマや描写を一切排除して、見せ場をひたすらテンポよく繋いで行って物語にしてしまう、まさに香港映画の系譜を辿ったような作品で飽きずに最後まで楽しみました。監督はダンテ・ラム

 

海上の石油基地の火災でしょうか、レスキュー隊のヘリが向かっていく場面から映画は始まります。いきなりのハラハラドキドキの中、主人公ガオは勇敢に危険なところへ身をもって突入して任務を果たしていく。信頼を置いている部下もガオの指示を守りながら救出を続けていく。ところが、救助の途上で命の危機に陥り、ガオに助けられたものの自信をなくした隊員二人がこの任務の後退職を申し出る。代わって救助ヘリの操縦士としてやってきたのがファンという女性隊員だった。

 

ガオには一人息子がいて、妻は息子が幼い日にガンで死んでいた。ガオの息子はファンになつき、お母さんになってほしいと望んでいる。そんなご陽気な展開の中、次の任務は海上に不時着した旅客機の救出ミッションだった。その様子をテレビで見ているガオの息子は時折目を擦るようになる。旅客機救出の任務の際、ガオの部下がどうにも脱出できない状況となり、仕方なくガオはその隊員を残して脱出する。しかし、部下を亡くしたショックは辛く、ガオは現場から離れた部署へ移る。そんな時、息子の目に異変が見つかる。脳の中に腫瘍があり、早急な手術が必要となった。なんとも取ってつけたような展開だが、これが香港映画の面白さ。

 

息子の手術の日、見守るガオの前にタンカーの火災事故の現場が映る。レスキュー隊員が次々と負傷するのを見たガオは息子の手術の場からレスキュー隊の基地へ向かう。そしてファンの操縦するヘリに乗りタンカーの事故現場へ向かう。一方息子の手術は困難を極めていた。様々な危険を掻い潜り、救助作業を進めたガオだが、最後の最後で船底に飛ばされてしまう。全てを諦めた時、息子の声が聞こえ、再度気力を振り絞り脱出、ファンに救助される。

 

病院に駆けつけたガオだが息子は予断を許さない状況だった。と、ここでエンドクレジットが流れるが、エピローグでガオとファンは仲良く恋人同士になり、全快した息子も現れて、かつてガオが救出した外国人のホームパーティで盛り上がるシーンで映画は終わる。

 

なんの深みのあるドラマもありませんが、次々と起こる事故の救出シーンがとにかく面白いし、無理矢理感のある息子の病気のエピソードもここまでやれば許せてしまう。典型的な香港娯楽映画の空気を持った一本でした。