くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オールド」「わんぱく戦争」「ホロコーストの罪人」

「オールド」

B級テイスト満載のSFホラーという感じの映画ですが、どうも後味のよくない映画でした。ラストの鮮やかさよりも、結局こんなところがあります的な舞台設定がもう一工夫欲しかった。監督はM・ナイト・シャマラン

 

6歳のトレントと11歳のマドックの家族がバカンスでリゾートホテルにやってくるところから映画は始まる。彼らの両親は喧嘩ばかりで、間も無く離婚するらしい。ホテルでは記念のカクテルが振る舞われ、トレントは、そこで従業員の子供と友達になり、暗号で会話をやりとりする遊びを始める。

 

ある朝、ホテルの支配人から内緒でとっておきのビーチにお連れすると言われたトレントの家族は早速その提案に乗る。自分たち家族だけかと思ったがいくつかの家族も参加していた。岩の隙間を抜けたところに広がるビーチについた彼らは、嬉々として楽しみ始める。トレントは、一緒に来たカーラという少女と仲良くなったりする。

 

ところが、入江に全裸の女性の遺体が流れ着く。先客で来ていた有名なラッパーも何やら謎めいている。このラッパーの描き方に工夫がないので、別に必要があったのかと思う。死体を調べたのは医師で医局長をしている男性だったが、彼は精神的に不安定だった。さらに

トレントたちの成長が異常なくらい早いことがわかり、大人たちはこの場所に危機感を持ち始める。しかし脱出しようとすると意識を失ってしまう。どうやら1日で50年以上の時間が流れることがわかる。

 

みるみる年老いていく大人たち、さらにトレントの母の腫瘍が急激に大きくなって緊急手術などもする。さらに傷がすぐに消えてしまったり不思議なことが連発。そして、カーラとSEXしたトレントだが、カーラのお腹がみるみる大きくなり出産する。さすがにこのエピソードは笑ってしまう。海に逃げても崖に登っても気を失ってしまう。次々と大人たちも死んでいき、最後にトレントとマドックだけが残る。最後を覚悟するが、その時、ホテルの従業員の子供にもらった暗号文を思い出す。そこには「おじさんは珊瑚礁が苦手」と書かれていた。二人は沖に見える珊瑚礁を目指しその下を潜る。

 

カットが変わりビーチを観察していた男が実験室のようなところへ行く。ここは製薬会社の研究室で、自然が作った超常現象のビーチで新薬の治験実験をしていた。何十年もかかる治験を1日でできる場所としてこれまで繰り返してきたのだ。

 

ホテルでは新しい客を迎えていた。そこへ、助かったトレントとマドックが現れる。そして、警官だという客に、ビーチで見つけた、失踪者のリストのノートを託す。こうして製薬会社の人たちは逮捕され、大人になったトレントたちは叔母の元へ向かい映画は終わる。

 

シンプルな上に、かなり大雑把なストーリー構成で、その適当さがいかにもB級テイストで楽しめる一本ですが、どこか後味が良くない感想でした。

 

「わんぱく戦争」(デジタルリマスター版)

これは評判通り、名作でした。物語の展開が、さりげなく盛り上がってくるし、ささやかなエピソードがちゃんとラストへ向かっていく。それでいて、子供の話だけでなく、誰もが覚えのある大人の話も挿入され、その緻密さに頭が下がります。楽しい名作でした。監督はイブ・ロベール。

 

ロンジュヴェルヌの村の子供二人がツベルクリンの切手を大人に売りにまわっている場面から映画は始まる。しかし、皆ライバルのヴェルランの子供から買ったという。走り回っているとヴェルランの子供らに遭遇し、罵声を浴びせられて退散するロンジュヴェルヌの子供達。彼らはリーダーのルブラックに泣きつきに行く。ルブラックをリーダーとするロンジュヴェルヌの子供たちは、夜、ヴェルランの村に行き、いたずら書きをして戻ってくる。ヴェルランの村のリーダーラズテックは、手下を従えて、ルブラックらと戦う。映画はこの二つの村の子供たちの喧嘩をひたすら微笑ましく描いていく。

 

ある喧嘩でルブラックらはヴェルランの村の一人を捕まえて、ボタンやベルトを取って恥を書かせて返す。それに報復して、ラズテックらはうまく騙してルブラックを拉致し、ボタンなどを取ってやり返す。ルブラックは馬を借りてきて一気にヴェルランの村の子供らをやっつけ、大勝利の後、自分たちで秘密基地を作り戦利品などを集める。しかし、ルブラックに反感を持つ一人が、秘密基地の完成記念パーティをラズテックに流したことから、ラズテックはトラクターで秘密基地を壊す。ルブラックは、裏切り者を突き止め、鞭打ちにしたために親が怒り、損害賠償を請求すると喚きだしたので、他の親たちも怒り、ルブラックは寄宿舎に入れられるのを恐れ森に逃げる。しかし結局捕まる。

 

寄宿舎で寂しく過ごすルブラックのところへ新入りが来る。それはラズテックだった。ラズテックは、借りたトラクターを壊してしまい、親に怒りを買ったのだ。二人はふざけ合って暴れて映画は終わる。

 

次第にエスカレートする子供たちの喧嘩に大人が関わってくるユーモアが実に楽しいし微笑ましい。大人もかつては同じように喧嘩を繰り返していたのだ。そんなほのぼのに思わず笑みが漏れてしまってあったかく見守ってしまう。本当にいい映画でした。

 

ホロコーストの罪人」

これでもかとくるナチス映画、今回の舞台はノルウェーユダヤ人がナチスに迫害される物語、もうええやろという感じですが、丁寧に描かれた作品ではありました。監督はエイリーク・スベンソン。

 

1942年ノルウェー、秘密警察がナチスの指示で、ユダヤ人の女子供を拉致する作戦に向かうところから映画は始まる。そして3年前に遡る。ボクサーでユダヤ人のチャールズはこの日も試合をして勝ち、弟のハリーらと戦勝パーティをして帰ってきた。間も無くチャールズはラグンヒルというノルウェーの女性と結婚する。ところが1940年、ナチスノルウェーに侵攻し、ユダヤ人を拉致する。チャールズら兄弟も父親も収容所へ送られる。そこで、ボクシング好きの所長から試合を臨まれるがチャールズは拒否する。

 

時は1942年、ナチスノルウェーユダヤ人をアウシュビッツに送るため船を準備し、チャールズは残されたが他の兄弟と父親は移送される。一方、冒頭の場面となり、女子供も拉致され、最初はラグンヒルの機転で脱出させるはずだったチャールズの母親も移送船に乗ることになる。やがてアウシュビッツについたユダヤ人は大量虐殺にあう。チャールズは戦後まで生きたというテロップなどが流れ映画は終わっていく。

 

これでもかというナチス映画で、終盤の移送場面がやたらくどいのが鼻についた。二、三、美しい画面もありましたが、普通の作品でした。