くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「薔薇のスタビスキー」「ベルモンドの怪盗二十面相」

「薔薇のスタビスキー」

これは名作ですね。画面の至る所に配置した赤が目が覚めるほど美しく、どの場面も本当に素晴らしい。そんな見事な映像の中で展開する、一人の犯罪者のめくるめく様な物語が、時に過去に戻り時に現代を描き、交錯したストーリー展開で綴られる様は癖になる陶酔感を誘います。少々難解な作りですが素晴らしい映画でした。監督はアラン・レネ

 

道のかなたから車が一台走ってくる。スターリンとの権力争いに敗れた十月革命の英雄トロツキーは、亡命の上、安住の地を求めてやってきた。。クラリッジホテルのエレベーター、スタビスキーが友人で共同経営者のラオール男爵、弁護士のボレリと降りてくる。美しい画面に引き寄せられていきます。ロビーにいるアルレットに大量の花を送り届け、最大限の愛情を注いでいく。

 

スタビスキーは、国際的な実業家として、銀行を買収し、エンパイヤ劇場を抑え、新聞にも投資していた。ここに、愛する妻アルレットに献身的な愛を捧げる男がいた。名をモンタルボといいい、スペインの地主だがムッソリーニから武器を買い付けるためにマルセイユから来ていたのだ。親しくしている様だがそれを逆手にとって商売をするスタビスキー。政界、財界に金をばら撒いて人脈を作りながら、暗躍するスタボスキーの姿を、スタビスキー亡き後、その犯罪の調査委員会の諮問会で側近のボレリや、ラオール男爵らの証言場面を交えながら、過去と現代を交互に描いていく。

 

実はスタビスキーは、バイヨンヌ市の偽公債を発行していて、それを嗅ぎつけたボニー検察官が彼の前歴を調査し始める。バイヨンヌ銀行の行員が逮捕され、偽公債のことが明るみに出たことをボレリから聞いたスタビスキーは、その日アルレットとオペラを見に行っていた。

 

スタビスキーは彼の息のかかったベリクーリ議員の力を借りて急場を逃れようとしたが、ベリクーリ議員が裏切り、絶望的になってしまう。スタビスキーは、ボレリやラオール男爵の勧めでスイスのシャモニーの山荘へ逃げることにする。

 

しかし、やがて警察が踏み込んできて、スタビスキーは自殺、?あるいは撃ち殺されたかの銃声が聞こえ、葬儀の場面から、何故か妻のアルレットが収監される。全てが謎に包まれ、スタビスキーのおかげで私服を肥やした本物の悪党たちは野に放たれたままだというラオール男爵の言葉で映画は終わっていく。

 

とにかく画面が目が覚めるほど美しいし、音楽も良い、悪党の物語ですが、実は利用されただけであるかの曖昧な展開も実にシュールで、かえって美しい。全体が映像詩の如き一本で、芸術作品と言える映画でした。

 

ベルモンドの怪盗二十面相

これは面白かった。とにかくテンポが抜群に良いし、ラストのドンデン返しも爽快かつユーモア満点で、最高に楽しめました。エンタメ映画の傑作でした。監督はフィリップ・ド・ブロカ

 

三か月の刑務所暮らしからヴィクトールが出てくるところから映画は始まる。出迎えたのは家族同様に生活するラウール。ヴィクトールは早速あちこちの女に電話を入れて、次々と約束をこなしていく。そして目まぐるしいほどの勢いで変装を繰り返して女たちに会い、詐欺まがいの商談を進めて行く。このオープニングとジャン=ポール・ベルモンドの変装と豹変がとにかくスピーディで圧倒されます。

 

アジトでは泥棒仲間のカミーユが出迎えるが、そこへ、保護観察官精神科医のマリーがやってくる。ヴィクトールは早速マリーを街に連れ出し、持ち前の軽口と変装で次々と女性を口説きながらマリーと食事をする。しかし、いつの間にかマリーに惚れて行くヴィクトール。

 

ある夜、大道芸人のサーカスにマリーを連れて行ったヴィクトールは、いつもの様に軽口と口上でその場を盛り上げる。マリーはヴィクトールの家族同様だというそのサーカスの人たちをサンリモ美術館に招待する。実はマリーの父はその美術館の学芸員だった。マリーは父が隠している鍵を取り出して警報を切り、展示室にある祭壇画をみんなに見せる。

 

翌朝、その話をヴィクトールから聞いたカミーユは、その絵が値段がつかないほどの作品だと知り、盗み出すことを計画、文化庁の大臣に当たりをつけて金にする段取りを整えたカミーユは、マリーの両親に、大臣に食事に招待されたという嘘の招待状を送り、ヴィクトールには、マリーをオペラに誘い出すようにして、美術館をからにし、カミーユとラウールは美術館に忍び込むことにする。

 

ところが、マリーが突然、家でレコードを聞くと言い出したり、ヴィクトールを誘惑したりし始め、カミーユとラウールは忍び込んだものの、大慌てになる。なんとかマリーを部屋に足止めするためにヴィクトールはベッドインするが何故か上手くいかず、ショックを受ける。一方、カミーユらはなんとか絵を盗み出すことに成功、早速大臣に買い取りの連絡をする。

 

絵は三枚に分かれるため、一枚を送ってまず本物が手元にあることを大臣に信じさせ、二枚目と引き換えに五万フランの金を手に入れる。しかし、マリーへの想いもあり良心の呵責を感じ始めたヴィクトールは、金を返すためにマリーのところへ行く。マリーは、その金を頂いてしまおうと言い、ロッカーに隠しそのキーをヴィクトール宛に郵送する様にする。

 

一方、金をヴィクトールに返させられたものの、三枚目をラウールが持参して残りの五万フランを手に入れようと計画を先に進めるが、大臣側は、三枚目を手に入れた途端、犯人を捕まえようと待ち受けていた。しかし、絵を届けたラウールは金入らないと言う。実はヴィクトールとマリーの入れ知恵で、計画を変更したのだ。結局絵は戻ったものの大臣たちは犯人を捕まえられず、金を取り戻せないままに終わる。

 

カミーユたちは、ヴィクトールに聞いたロッカーに金を取りに行くがなんと空っぽだった。実はマリーは隣のロッカーの鍵をヴィクトールに送っていたのだ。そしてカミーユたちに、一緒に南の島に行こうと提案する。五万フランを持って南の島に行ったものの、贅沢しているのはマリーの家族だけで、ヴィクトールたちは惨めなものだった。

 

嫌になったカミーユは元の家に帰ると言ってその場を飛び出してしまう。金が入ったらモンサンミッシェルに塀を作るのを夢見えていたカミーユはその寺院の見える空き地に家を構えていた。まもなくしてヴィクトールも一人寂しく戻ってくる。こうして映画は終わる。もう爽快の一言に尽きます。面白かった。

 

とにかく、テンポ良く最後まで突っ走る傑作コメディという感じで、あれよあれよとストーリーが展開して最後のどんでん返しまで突き進む勢いに圧倒されます。マリー役のジュヌビエーブ・ビヨルドが抜群にキュートで可愛らしいので映画がとってもキュートに仕上がっています。本当に面白い映画でした。