レイ・ハリーハウゼンの特殊撮影が有名な一本、学生時代以来のスクリーン鑑賞。物語はかなり荒っぽいが、特撮場面は今見ても目を見張るほどに面白い。特撮は決してスムーズに動けば良いものではないというのを証明したような映画でした。監督はドン・チャフィ。
一人の男ペリアスが預言者から、間もなくアリスト王の国を征服し一国の王となるが、征服した王の息子によって殺されるであろうと言われる。ペリアスは予言通り一国を征服するが、アリスト王の息子ジェイソンを逃してしまう。やがて二十年が経ち、ジェイソンは偶然にも王の目の前に現れる。そして世界の果てコルキスにあるという幸福と平和をもたらす黄金の羊の毛皮を求めて冒険の旅に出る。旅に参加したのはペリアスの息子アカスタス、ヘラクレスらだった。
途中、ギリシャの神々の遊びに翻弄され、魔神や魔物たちとの戦いの後、コルキスに王女メディアを助ける。コルキスの王に歓迎されたジェイソンらだが、アカスタスの告げ口からのコルキスの王に命を狙われる。ジェイソンらはコルキス王から逃れながらも黄金の羊の皮を手に入れ、最後に骸骨戦士と戦った末、メディアと共に海原へ旅立って映画は終わる。
起承転結のある話というより、特撮場面を見せるために物語が間を埋めていくだけという感じの作品で、決してトータルでよくできた映画作品ではないのですが、次々とダイナメーションの見せ場が登場し、飽きさせることなく最後まで見せてしまう。本当に楽しめる映画、そんな一本でした。
「ブギーマン」
脚本がラストに向かって行かないので、同じ展開をダラダラと見せるだけで全く盛り上がってこない上に、意味のない脇役が時間稼ぎをしているエピソードの挿入で、メリハリのないホラー映画という仕上がりでした。スティーブン・キングの短編を元にしているということですが、お話を膨らませられなかったという出来栄えでした。監督はロブ・サベッジ。
一人の少女アニーのベッドルーム、父の声らしきものが聞こえ、何やら暗闇に蠢く気配をカメラが延々と回転して捉えていく。そして次の瞬間ショッキングなカットからタイトル場面が変わると、セイディと妹のソーヤーを父親のウィルが学校へ送っていく場面となる。最近母親が事故で亡くなったらしく、セイディは友人に揶揄われるが、揶揄われるというよりいじめに近い。
セラピストである父ウィルのところに一人の不気味な男が現れる。彼はレスターと言って、子供たちを殺したのだという。危険を感じたウィルは警察に通報するが直後、レスターはウィルの家で首を吊って自殺する。たまたまそこへ、学校で服を汚され戻ったセイディが遭遇する。
その日以来、幼いソーヤーは寝室に夜、何かが現れると何度も言うが誰も信じてもらえない。映画は、ソーヤーの部屋に現れている何か、そしてそれを気にするセイディ、母への思い、ウィルの孤独を交錯させて描いていくのですが、行きつ戻りつ同じシーンの繰り返しに工夫がなさすぎる。殺人犯レスターに興味を持ったセイディはレスターの家を突き止め一人で見にいく。そこでレスターの妻だというリタに会う。リタは部屋中灯を灯し、化け物に備えているのだという。しかし、半ば狂っていた。
いつの間にかセイディの家に取り憑いた化け物は徐々にセイディやソーヤーを狙ってくる。ある夜、ソーヤーの部屋に現れた化け物に遭遇したソーヤーはベッドから落ちて怪我をし病院に行く。一方リタがセイディを呼び出す。化け物を倒す仕掛けができたのだという。リタはセイディを囮にして化け物を呼び出し、爆薬で殺そうとするが殺せず、結局化け物に殺される。瀕死で脱出したセイディが父に電話するとソーヤーと家にいるという。セイディの家に化け物が行ったと思ったセイディは急いで戻り、最後の対決となる。
ウィルは化け物に地下室に連れて行かれ、セイディとソーヤーは父を助けに地下室へ。そこで母の肩身のオイルライターで化け物を倒して、家の中は全て焼け、物語は終わる。エピローグで、ウィル、ソーヤー、セイディがセラピーを受けている。帰り際に、セイディだけ呼ばれて戻るとクローゼットのドアが開いていてそれを閉めて映画は終わる。
セイディのいじめっ子の悪友は何のために出てきたのか、レスターの妻の家にいた化け物が何でセイディの家に来たのか、色々が全く辻褄も合っていないし、意味が見えない。ホラー演出も平凡そのものでつまらない。今ひとつの映画でした。