とうとうシリーズ四作目。このシリーズのファンとしては期待の一本でした。
今回も、派手なアクションと、複雑に絡んだストーリー展開の面白さを堪能できる一本でした。スタント無しで演じるトム・クルーズのドバイタワーでのアクションシーンは手に汗握るし、見る見るアメリカに迫る核ミサイルのクライマックスは本当に古きよき007映画を見るような展開でした。
私はこのシリーズでは第二作目のジョン・ウーが監督したものが一番面白かったし、大好きです。今回はさすがにこれを越えませんでした。というより、今までのシリーズの中で一番シンプルな映像と悪く言うとありきたりの展開といえばありきたり、しかもいくらフィクションとはいえ、いまどきあそこまでリアリティを欠くのもどうかといえるクライマックス、さりげないお笑いおふざけがこれといって大して意味のない挿入にはちょっと寂しかった。
冒頭、ロシアの監獄でのシーン。イーサン・ハントが無理やり連れ出すロシア人ですが、最後の最後で一応キーマンになるとはいえ、あえて登場させるほどのキャラクター化と思える。実はこの男イーサン・ハントの仲間だったとか、敵のボスだったとかおどんでん返しにしたほうが面白かった気もする。
ロシアで指令を聞くとき、5秒後に消滅するはずが不具合発生。まぁ、これもお遊びといえばそれでいいのですが、ここは遊ぶべき部分ではないし、これがこのシリーズの緊張感の源だと思うので、このプロットは脚本家のこのシリーズへの認識の把握違いだと私は思う。ここ以外にも、ここぞというところでお遊びが出るが、遊びすぎのために緊張感が跳んでしまう。
最大の遊びすぎはクライマックス。ビルに衝突するまで核弾頭をつんだミサイルが迫っているのに気がつかないアメリカはありえない。9.11事件の後、ただでさえ防衛システムは発達しているはずであり、かつて「博士の異常な愛情」で描かれた冷戦時代には核ミサイルが発射されたことが認知された時点で報復ミサイルが発射するシステムが整っていた。もちろん、今回の映画のように組み立てたほうが面白いといえば面白いが、ちょっと、観客を馬鹿にしすぎ。つまりは脚本家のストーリー組み立てに推敲が足りず、というか思いつかず、こういう古臭いクライマックスにしたのではないかとさえ思える。
最大の見せ場はクライマックスより、ドバイでの取引のシーンである。ここはさすがにミッション・インポッシブルシリーズらしいシーンである。手に汗握るアクションと、手に汗握る心理戦が最高潮に達する。しかし、その終盤の砂嵐がいまひとつ生きていない。結局これも門足りないままに終わるのである
今までの三作品はどの一本も個性豊かな映像演出で鳴らした監督が演出をしたために複雑かつ緻密な謎解きとアクションが随所に見られたが、今回は実写初演出のブラッド・バードという監督。実にシンプルな映像で、なんのこだわりも工夫もないから結局このシリーズの知名度だけで映画を作っている。だから耐え切れない結果、ラストシーンのような結果になった。
シンプルで単調で古臭いアクションとして完成された超大作という感想でした。毎回、期待に期待を重ねて見に行くだけにちょっと残念