「プーあくまのくまさん」
動機があって行動がある。原因があって結果がある。という常識を完全に無視した無茶苦茶な脚本と、なんの考えもない無意味な陰影作りとスローモーション。残酷シーンはこれ見よがしに引っ張った末、ありきたりののシーンが繰り返され、鎖などに拘束されているのにあっさり抜け出したり、逃げられたり、適当極まる。さらにキャラクターがなんのことかわからない存在で、馬鹿にされてるのかと思ってしまった。くまのプーさんというネタのみで作った最低の駄作ホラーでした。監督はリース・フレイク=ウォーターフィールド。
幼い日のクリストファー・ロビンが、100エーカーの森で出会った、突然変異なのか異生物なのか、熊のプーや豚のピグレットなど数種類の生き物と仲良く遊んでいる説明から映画は幕を開ける。ロビンが大学へ進むために森を離れたためにプーたちの食糧調達ができなくなり、餓死寸前で、プーは仲間を食べてしまう。それをきっかけに、野性化し、何かが変わり、人間を襲い、言葉を話さなくなる。となんとも勝手な生き物たちだ。自分で食物くらいちゃんと見つけろよ。
時が経ち、ロビンとフィアンセのメアリーが100エーカーの森にやってくる。ロビンは幼い日を過ごした森をメアリーに紹介したいだけだったが、不気味ない生き物を見つけ、小屋に隠れる。恐ろしい姿のプーから身を隠し、なぜか夜まで隠れてから逃げ出すが、同じく化け物のピグレットにメアリーは捕まり、惨殺されてしまう。結局この二匹しかいない理由がない。しかも、メアリーが殺される様子をひたすら叫んで見ているだけのロビンはまさにアホである。そしてロビンも捕まる。そしてタイトル。
一人の女性マリアはしつこいストーカーに苦しめられていた。次のカットで、なぜか彼女は友達と100エーカーの森にあるコテージに泊まりにくる。なんで?このコテージは何?という説明はなく、ストーカーのこともそっちのけで、遅れて来た友達がまず化け物に殺されてミンチにされる。あるあるの展開。
マリアたちはコテージに入る。夜、大騒ぎする声を聞いたプーたちはコテージを襲ってくる。プールまがいのところでいい気になっていた一人が惨殺され、なぜかわざわざ出て行けという文字が入り口に書かれているが、マリアたちが出て行こうとすると、プーたちが襲ってきて、一人を車で頭を砕いて殺す。どんだけ身勝手な化け物や。
突然見つけた、拘束された女を助けたマリアたちだが、解放された女はプーたちに復讐し始め、ピグレットを殺す。しかし、プーが逆襲してきてその女は殺されるが、それを助けもせずに見ているマリアたち。続いて、拘束されているロビンを発見、って殺されてなかったんかい!という展開から、繋がれている鎖があっさり解けて瀕死のロビンを残してマリアたちは逃げる。ええんかい!
慌てて逃げ始めるマリアたちのアホさ加減の後、通りすがりの野郎どもの乗ったトラックに助けを求める。いかにもガラの悪そうな男たちがプーに襲いかかるが、あっさり殺され、マリアもプーに襲われるが、間一髪、ロビンが車で突っ込んできて、プーは車に挟まれ死んだ?と思われたが、この手のホラーの常道として、プーはマリアたちに襲いかかってくる。そしてロビンが必死で、過去の過ちを謝り、プーは一瞬怯むが、結局マリアは殺され、ロビンは必死で森の中に逃げていって突然映画は終わる。思わず椅子から落ちてしまった。(笑)
駄作の極みとはこのことか。B級ホラーならB級なりにツッコミが面白かったり、目を背ける一方で、どこか工夫が見られたりするものだが、この作品にはそんなお遊びさえ見当たらず、いかにもな光の陰影を作ってみたり、意味のないスローモーションシーンを挿入したり、退屈の極みの繰り返し。しかも、化物側も主人公側もアホばかりで、付き合いきれない。なんの面白みもない最低の映画だった。