くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「華麗なるギャツビー」(バズ・ラーマン版)「嘆きのピエタ

「華麗なるギャツビー」 基本的にデジタルカメラを振り回したような映像は好きではない。この作品も冒頭からめまぐるしいほどの切り替えしのショットの連続と、デジタルならではの縦横無尽のカメラワークを見せて、一気に非現実的ともいえる古きアメリカの狂…

映画感想「東京物語」「晩春」「大学は出たけれど」「落第はしたけれ

「東京物語」 本当にここまで描き込まれた名作になると、作品全体が一つの詩編のように完成されてしまって、それぞれの部分の細かい感想など書ききれるものではない。もちろん、巧みに挿入されるインサートカットのすばらしさ、繰り返されるせりふのテンポは…

映画感想「パパの木」「さよなら渓谷」

「パパの木」 非常にシンプルなストーリーなのはいいのですが、焦点がややぼやけた形になった展開で、普通の映画だった気がします。映画はピーターとその妻のドーンがハンモックでいちゃついているシーンに始まる。場所はオーストラリア。 ある日、父ピータ…

映画感想「アフター・アース」「学生ロマンス若き日」「和製喧嘩友達

「アフター・アース」 M・ナイト・シャマラン監督は、どんな形であろうと自分の精神世界を徹底的に追及してきた。娯楽を無視したほどの徹底ぶりが私は大好きだったのですが、なんともこんな平凡な娯楽映画を撮ると思っていなかった。どこかに彼流のシュール…

映画感想「父ありき」「長屋紳士録」「鏡獅子」「淑女は何を忘れたか

「父ありき」 さりげないインサートカットを巧みに挿入しながら、作品の流れにリズムを生んでいく小津芸術の傑作の一本だと思います。すばらしい。ラストシーンを見てもこの映画のすばらしさが見えてくるかなと思います。父を亡くし、遺骨を持って秋田に帰る…

映画感想「スプリング・ブレイカーズ」「百年の時計」

「スプリング・ブレイカーズ」 ビデオクリップのような映像感覚と、個性的な編集を多様、一見独創的であるように思える映像であるが、登場人物の心理変化が描き切れていないために、ちりばめられた写真の羅列に見えてしまったのが残念。ハイテンポな音楽にの…

映画感想「わが恋の旅路」「インポッシブル」「爽春」

「わが恋の旅路」 寺山修司脚本、篠田正浩監督作品であるが、何とも甘ったるいラブストーリーで、こういう映画もこのコンビが作っていたのかななんて思うと、それも楽しい。物語は、主人公でジャーナリストの石橋がバーで酒を飲んでいると、ラジオから女性が…

映画感想「俺はまだ本気出してないだけ」「二流小説家シリアリスト」

「俺はまだ本気出してないだけ」 不思議な感覚で、いつの間にか作品の中に引き込まれて、何ともいえない充実感を感じながらエンディングを迎える映画だった。好き勝手なことをしながら、出来もしない夢を求めて会社を辞め、それでもぐうたら生活しかせずに、…

映画感想「G.I.ジョー バック2リベンジ」「惜春」

「G.I.ジョーバック2リベンジ」 第一作が結構好きだったので、今回も見に行ったが、何ともまとまりのないアクションばかりで、とってつけたようなストーリーの上に、何のひねりも工夫もない展開、ただ、派手な格闘シーンだけが売りなのだが、今回はそれも…

映画感想「夕陽に赤い俺の顔」「さらば拳銃 みな殺しの歌より」「草

「夕陽に赤い俺の顔」 寺山修司脚本、篠田正浩監督作品 早いテンポと細かいカットでどんどん見せるストーリー展開のおもしろさに加え、一見シュールだが、とってもコミカルな設定、登場人物のおもしろさ、奇想天外な物語構成にどんどん引き込まれてしまう。…

映画感想「リオ・ブラボー」「奇跡のリンゴ」

「リオ・ブラボー」 何十年ぶりか、学生時代にみたきりの西部劇の名作を午前10時の映画祭で見直すことができました。西部劇らしいシンプルそのもののストーリーを二時間あまり画面に引きつけてしまう。なぜそんなに引き込まれるのかというのは映画をごらん…

映画感想「旅立ちの島唄〜十五の春〜」「箱入り息子の恋」

「旅立ちの島唄〜十五の春〜」 ゆっくりゆっくり、先品のテンポが実に緩やかに流れる。わずか一年間の一人の少女優奈の物語なのに、個の不思議なまったり感はなんだろうと感じながら、物語を追っていくといつの間にかラストシーンになるのです。南大東島を俯…

映画感想「智恵子抄」「ローマでアモーレ」

「智恵子抄」 いうまでもなく、彫刻家高村光太郎と妻智恵子の純愛物語である。 とにかく岩下志麻の鬼気迫る熱演につきる作品でした。映画は、酒場で荒れている高村の元に椿という男が近々、智恵子という娘を連れていくから見合いをしてみろというシーンに始…

映画感想「河口」「ボロ家の春秋」「暖春」

「河口」 これまたすばらしい傑作。一見軽いタッチのコメディ風のお話なのに、シリアスに近いくらいのハードボイルドな女と男の物語に引き込まれてしまいます。特に、山村聡が珍しく、小間使いのような存在でありながら、実は切れ者の男を演じるのが最高であ…

映画感想「結婚式・結婚式」「千客万来」「エンド・オブ・ホワイトハ

「結婚式・結婚式」 中村登監督の才能が爆発したホームドラマの傑作。松山善三の脚本場絶品ですばらしいのだが、それを見事に演じきった豪華な名優たちのプロの仕事に感服してしまう。さらに、カメラ演出がこれまた目を見張るほどに見事であるし、木下忠司の…

映画感想「はじまりのみち」「オブリビオン」

「はじまりのみち」 木下恵介監督生誕100年記念作品である。昨年、木下監督全作品上映に際し、父の死故に完全にみれなかったもののそのほとんどをみることができたという幸運にも恵まれて、今回の作品も楽しむことができました。物語は終戦間近、浜松から…

映画感想「恋人」「波の塔」「斑女」

「恋人」 軽いタッチで展開する青春コメディである。 中村登監督というのは、要するに職人であって、普段はこの手の軽い作品を作りながら、時として性根の入った「古都」「紀ノ川」などを発表してその才能を発揮した人である。物語は、東京へ大学受験にやっ…

映画感想「ザ・ディープ」(アイスランド映画)「ヒプノティスト-催

「ザ・ディープ」 実際にアイスランドで起こった海難事故を題材にした人間ドラマで、これという取り立てるほどのものもない普通の映画でした。主人公グッリはある日、漁に出かけて、ウィンチの故障で船が転覆。真夜中の激寒の海に投げ出される。このまま助け…

映画感想「危険旅行」「いろはにほへと」「春を待つ人々」

「危険旅行」 とってつけたようなストーリー展開と何でもありのお話で、とっても軽いタッチで進んでいく、古き良き日本映画の娯楽作品の一本。 先日見た「集金旅行」の姉妹編ということですが、こちらの方が適当なお話になっています。大人気の女流作家松平…

映画感想「リアル〜完全なる首長竜の日〜」「グランド・マスター」

「リアル 完全なる首長竜の日」 可もなく不可もなく、ふつうの映画でした。といって、おもしろくなかったかというと、そうでもなく、中盤で事の真相が明らかになって、さらにその奥の謎に迫っていく下りは、決して陳腐ではなくしっかりと描けていたと思いま…

映画感想「顔役」(中村登監督)「バレット」

「顔役」 痛快な展開と観客の心をしっかりとつかんだ演出のリズムの妙に、日本映画黄金期の余裕を感じさせるちょっとした一品、そんなとっても楽しい映画でした。物語は一見、とっても単純。田舎の風呂屋の主人輪島八十吉。堤防に防犯の街頭をつけたことで警…