くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

大好きだったマーティン・スコセッシはどこへ行ったのだろうか。あの、美しい映像派の監督の作品を今回も目にすることはなかった。ひたすら乱痴気騒ぎで突っ走る、アメリカン映画の典型で、無駄に長い。たしかに、3時間足らず、退屈することはなかったが、…

映画感想「エレニの帰郷」「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

「エレニの帰郷」 テオ・アンゲロプロス監督の三部作の第二部なのだが、監督の事故死で、遺作になってしまった作品です。美しい流麗なカメラワークで、流れるように描く映像のリズム感のすばらしさ、詩情を醸し出す画面の美しさなどは、いうまでもなく絶品。…

映画感想「岐路に立ちて」「団栗と椎の実」「奈良には古き仏たち」

「岐路に立ちて」 清水宏監督のサイレント映画である。山村の小さな村の一軒の家、そこで暮らす主人公とその恋人。しかし、主人公は、東京の大学に行きたい。大学をでて、一人前になり成功したいと考えている。何とか大学へ行くが、世の中はそう甘くなくて、…

映画感想「小さいおうち」「アイム・ソー・エキサイテッド!」

「小さいおうち」 さすがに、このレベルの映画を作れる人は、今の日本では山田洋次くらいだろう。それなりのクオリティの映画に仕上がっていると思う。しかし、エピソードのバランスが若干悪いために、ラストシーンがラストシーンたり得ないほどに、もったい…

映画感想「めまい」「有りがたうさん」「泣き濡れた春の女よ」

「めまい」 いうまでまでもなく、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作であり、私としては、彼の最高傑作ではないかと思われるすばらしい一本を、何年かぶりでスクリーンで見る機会があった。モノクロの顔のオープンクレジットが、真っ赤に変わり、イラス…

映画感想「オンリー・ゴッド」

ライアン・ゴスリング主演、ニコラス・ウィンディング・レフン監督といえば「ドライヴ」、そのコンビで描かれた今回の作品は、とにかく、引き延ばし引き延ばし、まるでミュージックビデオのような感覚のシュールなフィルムノワールだった。ストーリーは実に…

映画感想「2001年宇宙の旅」

何度目かの「2001年宇宙の旅」をスクリーンで見る。最後に見たのは、OS劇場の閉館の時だったと思うが、いくら大きなスクリーンで上映してもきりがないほどに、そのスケールの大きさは破格である。お世辞にも、おもしろい映画ではない。正直、今回も、…

映画感想「さよなら、アドルフ」「ビフォア・ミッドナイト」

「さよなら、アドルフ」 重い、ひたすら重い映像に、正直、身につまされるような息苦しさを感じる。いったいなんだろうと考えると、そのほとんどが、クローズアップなのである。そして、カメラが引いたとしてもバストショットまで、滅多にロングでとらえるシ…

映画感想「シテール島への船出」「Seventh Code」「パリ、ただ

「シテール島への船出」 ここまでいくと、まさにテオ・アンゲロプロス監督は、詩人である。映像は例によって美しいし、流麗な長回しによるカメラワークは、ストーリーに美しいリズムを生んでいく。しかも、今回の作品は、現実の中から、映画中映画へと私たち…

映画感想「エンダーのゲーム」「黒執事」

「エンダーのゲーム」 オースン・スコット・カー原作の名作SF小説の映画化。監督はギャビン・フッドである。特撮が、CGの発展で、ほとんどのことをできるようになった今、一番陥りやすいのは特撮だけが見せ場で、映画の演出がほとんどなされていない薄っ…

映画感想「トリック劇場版 ラストステージ」「遥かなる勝利へ」

「トリック劇場版 ラストステージ」 ストーリーはかなり雑になっているとはいえ、蒔田光治の脚本と堤幸彦の演出は健在。大好きなノリとつっこみを楽しませていただきました。例によって、例のごとくの導入部から、例によって上田教授と山田奈緒子が、今回は…

映画感想「エレニの旅」

長回しと流麗なカメラワークで見せるテオ・アンゲロプロス監督の映像づくりの美しい世界は、この作品でも堪能させてくれます。開巻すぐ、難民としてギリシャにやってきた人々が、浜辺をこちらに向かってきて、ストップモーションで、エレニとアレクシスの台…

映画感想「蜂の旅人」「皇帝と公爵」「ジャッジ!」

「蜂の旅人」 昨日見た「狩人」ほどの極端な長回しはありませんが、流麗なカメラと、美しい構図、それを支えるヨルゴス・アルヴァニテスのカメラがとっても美しい作品。一人の初老の男が、人生の後半に迎える、若き日への思い、家族との愛をかみしめながら、…

映画感想「狩人」

テオ・アンゲロプロス監督の真骨頂とも言うべき、圧倒的な映像感性で描く、映像叙事詩の傑作。これはもう、才能のなせる技以外の何者でもない。ワンランク上の、すばらしい芸術作品でした。では、どんな話か?と、聞かれると、その細かい部分はほとんどわか…

映画感想「母の身終い」「ソウルガールズ」

「母の身終い」 尊厳死の問題を真正面にとらえた人間ドラマの秀作。尊厳死というのは、つまり、病気などで、余命が幾ばくもなったりしたとき、終末治療で最後を迎えるのではなく、自らの意志で、つまり自殺をすると言うことである。もちろん、そんなことが認…

映画感想「キリングゲーム」「大脱出」「インシディアス第2章」

「キリングゲーム」 ジョン・トラボルタが好きなので見に行ったのですが、いやいや、何ともつまらない映画だった。共演がロバート・デ・ニーロと、いったいどういう豪華キャストやねん、とつっこんでしまうのであるが、このビッグネームだけで客を呼べればい…

映画感想「永遠と一日」「花のれん」「戦いのあとの風景」

「永遠と一日」 テオ・アンゲロプロス監督の特集ということで、見逃した作品を見る詩人で、作家のアレクサンドルという男の、人生最後の日の直前の一日を描いた作品で、カメラが、引いたり、奥へ進んだり、横にパンしたりというカメラワークが、ゆっくりと映…

映画感想「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」「少女は自転車にのっ

「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」 1969年、イタリア、ミラノ、フォンターナ広場の全国農業銀行が爆破された事件を描いた、サスペンスヒューマンドラマである。結局、真犯人は不明で、容疑者も33年後にすべて無罪となったこの事件、真相がわからな…

映画感想「ハンガー・ゲーム2」「麦子さんと」

「ハンガー・ゲーム2」 前作がそれほどおもしろかったという印象はにのですが、なぜか続編が作られ、さらに次へ進む中間的な内容で、唐突に終わる。しかも、2時間以上あるという長さ。評判もよくないので悩んだものの、ジェニファー・ローレンスのファンで…

映画感想「セッションズ」

全く、アメリカという国は不思議な国である。割り切った合理主義が生み出す世界は、ある意味、独特の考え方である。この映画で描かれる主人公マーク・オブライエンの物語は、六歳でポリオにかかり首からしたが不随になっている。なんとか、機械に頼りながら…

映画感想「カサブランカ」「喜劇女は男のふるさとヨ」「マイヤーリン

「カサブランカ」 さすがに、ここまでの名作になると、無駄な台詞、無駄なカットがほとんど、いや、全くないに等しいほどに作り込まれている。脚本の組立の緻密さもさることながら、映像の中に作られていく、さりげないクローズアップの積み重ねや、ちらちら…

映画感想「楊家将〜烈士七兄弟の伝説〜」「フライング・ギロチン」「

「揚家将 烈士七兄弟の伝説」 中国の歴史物語で、解説によれば「三国志」を越える人気があるという。監督はロニー・ユーである。香港映画、特にこの手の活劇は単純なストーリーなので、実に楽しい。この作品でも、隣国遼に攻め込まれ、迎え撃った宗の軍勢の…