「ツナグ」
それほど期待もしていなかった作品ですが、なかなかいい映画でした。次々と胸を熱くする展開が実に心地よいし、三つのエピソードが程良い程度に混ざりあって、一本の作品としての物語が伝えるメッセージがしっかりと描かれていてぶれない。従って、ラストシーンが非常にすんなりとエンディングに結びつくのです。
映像自体はそれほどテクニカルな演出はなされていませんが、平川雄一郎監督の作風はこういう雰囲気なのでこれで良かったと思う。
主演の松坂桃李も静かな演技で物語に深みを与えるし、三つのエピソードそれぞれに登場する橋本愛や佐藤隆太、遠藤憲一なども抑揚はないもののそれぞれの個性的なエピソードを美しく演じきっている。
最後はツナグの能力を引き継ぐ展開であることは予想がつくのだが、その複線も海岸を舞台にする演出も素直に受け入れられる。
近頃珍しい、きまじめな秀作というイメージの一本でした。
「ボーン・レガシー」
確かにおもしろい。特にクライマックス、マニラでのナンバー3とのチェイスは細かいカットや手持ちカメラ、クローズアップをところ狭しと活用し、めまぐるしいほどの展開で見せてくれる。ただ、ナンバー3が全く人間味をみせないのはまさに「ターミネーター」のごときなのだが、その不気味さがでていなかったのはちょっと残念。
物語はマット・ディモンが主演したボーンシリーズと平行したスピンオフの物語として、ジェイソン・ボーンは写真でしか登場しない。基本的なアクションのパターンは同様であるが、オリジナルシリーズと違ってミステリアスなおもしろさが少ないのはこれはこれで単純に楽しめばいいような映画ですね。それ以上でも以下でもない。
まぁ、ふつうのアクション映画でした。