くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラプラスの魔女」

kurawan2018-05-04

映画が止まっている。どのシーンをとっても静止しているので、やたらもたついて見える。それに櫻井翔が完全に役不足。ほかのキャストも今一つ精彩にかける。ただ、広瀬すずは可愛い。アップに耐えられるから、それだけでこの映画はまぁいいかというレベルになる。三池崇史監督は、時折この手のレベルの作品を作ってしまうがその最たる一本になった感じです。しかも、画面も構図が良くないので、そこも残念。おそらく脚本が悪いのでしょう。作りたい空気感は伝わってくるのですが、完全に滑っていました。

母と娘が自転車で走っている。彼方に竜巻が見え、必死で逃げるが、仕方なく娘だけを近くの小屋の地下に避難させ、母親は飛ばされてしまう。そして映画が始まる。ここからしてまずあざとすぎる。カットが変わって、硫化水素中毒で二人の人物が山間で死んでいるのが発見される。作為的に硫化水素で殺すことは不可能だと執拗に語る大学教授の青江、それを何とかヒントにしようとする刑事の中岡。そこにいかにも意味ありげに表れる美少女円華。この導入部からして、もたついているのである。

どうやら、この円華という少女は、物理的な現象を予測する特殊能力を持っている。そして、彼女の父親は政府組織でそういう研究をしていて、人体実験に自分の娘を使ったのだという。一方、殺された二人に共通点を捜していた中岡はある映画監督甘粕にたどり着く。そして甘粕の家族は妻の自殺の巻き添えで息子謙人が意識不明の重体だったが、円華の父の施術で特殊能力を持って意識が戻ったのだという。そして、実は謙人の父甘粕才生が自分の狂気的な映画作りを全うするため、謙人たちを殺そうとしているらしく、謙人は父親への復讐のため行方をくらましていた。

クライマックス、かつて甘粕才生が作った映画のラストのセットに謙人は甘粕才生を呼び出し、気象を予測して、建物ごと父親を殺そうとしているらしいことが円華や青江が気づき、予測した気象現象を阻止すべく、円華が細工をして大団円。謙人も無事、甘粕才生らの出来事も国家の上層部でもみ消され、円華の父の研究は続くという暗に見せて映画が終わる。

とにかく、どこかしこがすべて甘い脚本になっており、円華は結局、父親の研究所に戻されないのか?これからどうなるのか?いたるところにほころびのある脚本で、人間ドラマとしても描けていないし、物理現象を予測する面白さも描き切れていないし、櫻井翔は大学教授に見えないし、中岡の刑事も寸切れ、なんとも中途半端な映画だった。