「太陽がいっぱい」(4Kリマスター版)
何度見ても素晴らしいです。大好きな作品を本日は4Kリマスター版で見ました。
物語の構成に無駄がないこと、展開に隙がないこと、そして、アンリ・ドカエのカメラの見事さ。やはりここまでの名作になると何回見ても、引き込まれてしまいます。
オープニングのシーンからラストシーンまで、的確に挿入されるインサートカット、ニーノ・ロータの曲がかぶる数々のシーン、そして主演の三人の存在感、名作は監督や脚本家、俳優などの素晴らしさはもちろんですが、やはり偶然のなせる技もあると思います。だからこそ、リメイクができないというのもあるし、リメイクしてもオリジナルの素晴らしさを超えられない。
今回気がついたのは、アラン・ドロンが時々見せる顔の表情の変化。さりげないカットの中に心の姿を見せる。それが、物語の展開にしっかりリズムを生み出す。それが演技力なのか演出なのかはわかりませんが、作品の魅力を引き立てているのは確かです。
やはり、これが本物の名作でしょうね。
「天使の顔」
何とも唐突なストーリー展開に圧倒される作品。解説では「ローラ殺人事件」と並ぶ傑作となってますが、流石にそこは疑問です。監督はオットー・プレミンジャー。
救急車の運転手をしているフランクが、ある大富豪の妻が重症という連絡に駆けつけるところから映画が始まる。この作品の特徴として、やたら車の疾走シーンがでてくるが、これも時代でしょうか。
邸宅に着いたが、妻は無事で、どうやら誤ってガス線の蓋を取ってしまったというが、どこか腑に落ちない。娘のダイアンが泣き崩れるのを見て落ち着かせたフランクは後日ダイアンと食事をし自分の夢などを話す。
一方で、ダイアンはフランクの恋人メアリーに、フランクとデートしたことを話しフランクとメアリーの仲は溝ができ始める。
やがて、ダイアンの家の運転手として雇われたフランクは次第にダイアンと親しくなって行くが、ダイアンは執拗に継母を憎んでいた。
ある時、ダイアンの両親が車が突然バックして崖から落ち、死んでしまう。ダイアンとフランクが疑われ収監される。
敏腕弁護士の勧めで二人は結婚したことにし、裁判は無実となる。しかし、ダイアンは、自分が一人で殺人を犯したと自白しようとするが一事不再理で、有罪にはならない。また、フランクは形だけの結婚には耐えられず、出て行くことを決意、メキシコまでの道のりをダイアンが送ると言い出す。
二人は車に乗り、いざ出発した途端車はバックし崖から落ちる。こうして映画が終わるが、何とも唐突である。ダイアンは罪の意識が咎めたのはわかるが、愛するフランクを離したくないために自殺行為というラストはかなり唐突な気がします。
あっけにとられるラストが印象に残る映画ですが、オットー・プレミンジャーの代表作と言うのかどうかはかなり疑問です。