くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「花の咲く家」「ラーヤと龍の王国」

「花の咲く家」

可もなく不可もなしの卒のない作品で、物語全体がぼやけてしまって結局なんの話だろうと思えなくもない映画ですが、これはこれで映画を観た感満載の一本だったかと思います。監督は番匠義彰。

 

外科医の主人公木津隆三がバリ島へ向かう飛行機の中で映画は始まります。浜辺で写真を撮っていた木津は、貝殻を拾っている美しい女性朝倉和子に目を惹かれます。和子はそのまま木津を寺院見学に誘いますが、商社のエリート社員でもある和子の夫新輔は仕事があるからとホテルに帰ってしまう。

 

和子と木津は寺院の散策をするが、和子は木津に心を惹かれていく。そんな頃、木津の叔父である哲造が手術を受けるという話があり、木津の妹立子が何かにつけ叔父と親しくしていた。

 

やがて日本に帰ってきた二人だが、和子は出世欲の強い夫に嫌気がさしていて、何かにつけ木津に近づいては二人の時間を持つようになる。物語は、次第に和子に惹かれ始める木津の姿、木津を愛している立子の友達の百合子、さらに、哲造の土地資産を当てにする大学生で、当時の今風の親戚の若者も登場する。

 

物語の中心は和子の離婚問題になるが夫の新輔に特に問題もない中、進展しない。そんな和子に、土地を処分する決心をした哲造は、自分の金を離婚の調停金に使うことを提案する。和子は木津に京都に誘われ、それを機会に一緒に住もうと言われるが、和子の心は揺れ始める。そして京都で木津と会うことを断念し、一人バリ島へ向かう。

 

残された木津に和子からの手紙が届く。自分のわがままで周囲の人たちを騒がせたことをじっと見つめ直したいという。哲造の土地は売却が決定し、家のそばの巨大な桜の木を見納めに木津の兄妹が来る。木津との思い出の海岸で夕陽を見つめる和子のショットで映画は終わる。

 

特になんということもない作品で、結局何事もなかったというラストは妙に心に染み入りますが、普通の作品でした。

 

「ラーヤと龍の王国」

これは良かった。久しぶりにディズニーアニメを堪能した感じです。独創性あふれる美しい映像とワクワクするようなストーリー展開、少々脚本が荒いですが、それを差し置いてもオープニングからラストまで魅了されてしまいました。楽しかった。監督はドン・ホール、カルロス・ロペス・ラーダ。

 

かつてクマンドラとして王国が一つになっていたが、人間は欲の塊で、信じることを失った人たちは、やがて、ドルーンと呼ばれる魔物たちに次々と石にされてしまう。しかし、それを阻止するため、最後に残ったドラゴンたちは自らを犠牲にして龍の石でドルーンを退ける。そして500年が経った。

 

龍の石はハートの国でラーヤの父の種族が守ってきた。ラーヤは父の指導で、後継の水の守人となるために育てられる。この日、ラーヤの父は諸国をまとめ、再び穏やかにクマンドラを実現しようと各種族を集めた。しかし、各国の首長は皆自分のことしか考えていなくて、今にも争いにならんとなる。自分と同年代の少女ナマーリを見つけたラーヤは、話しかけ、すぐに友達になる。ナマーリは、全てのドラゴンがいなくなったという伝説を疑い、一匹が水の中に逃げたと信じていた。そしてドラゴンを象った飾り物を友情の印にラーヤに与える。すっかり信用したラーヤはナマーリを、龍の石を保管してある洞窟に案内する。ところがそれは罠で、ナマーリの国が一斉にその洞窟に攻め入り、それに伴って他国も攻め入って、石は砕けてしまう。砕けると同時に魔力消え、ドルーンが蘇る。

 

各国は石のかけらをめいめい持ち逃げし、ドルーンから逃れながら自国に帰る。ラーヤの父も石にされてしまう。それから6年、各国は水を苦手とするドルーンに怯えながら暮らしていた。ラーヤは、石を集めるために放浪し、最後の川にたどり着く。そこでついに、最後の生き残りのドラゴンシスーを蘇らせる。

 

ラーヤは水の龍シスーと共に、石のかけらを集めるべく各国に向かう。途中、次々と味方が現れて参戦してくるが、そのキャラクターがとにかく可愛くて魅力的。さすがこういうのはディズニーの十八番である。各国のリーダーは、皆欲の中で石に変わっていた。

 

そして最後がナマーリの国だった。裏切られた恨みを持つラーヤに、シスーは信じることで最後の石を手に入れるように忠告するが、すんでのところでラーヤが剣を使ったためにナマーリの矢がシスーを射てしまう。シスーは水に沈み、ドルーンから守ってきた水が干上がり始める。ラーヤは、ナマーリにもらった飾り物を返し、自らの石をナマーリに預けて石になる。他の仲間もナマーリに石を預け皆石になる。ナマーリは、石を一つにするが今にも魔力が消えようとしていた。しかしその寸前、龍の石は蘇り、ドルーンは退治され、石に変わっていたかつてのドラゴンも蘇り、シスーも生き返る。そして、石に変わっていた人々も元に戻り、世界はラーヤの父の理想通り、一つの国クマンドラとなって映画は終わる。

 

龍が飛び回る時の水のイメージや、赤ちゃんのスリ軍団などのキャラクターも愛らしいし、ラーヤの相棒のダンゴムシのような動物も愛くるしい。ディズニーらしいアニメーションで、最後まで夢の世界を見ることができました。