くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「四畳半タイムマシンブルース」

「四畳半タイムマシンブルース」

森見登美彦のファンということもあり、アニメ作品なので予定はしていなかったけど見に行った。これが意外に掘り出し物、絵がオリジナリティあってとっても綺麗だし、タイムトラベルものらしいさりげないごちゃごちゃ感から生み出される切ないラブストーリーも素敵。森見登美彦の魅力と上田誠のネタギャグの反乱を楽しめる一本でした。監督は夏目真悟

 

大学生の私が下鴨幽水荘なる下宿に戻って来る。出迎えた下宿人たちは何故か裸踊りを要求し、それをやるやらないのスったもんだの中で、この下宿で唯一のクーラーのリモコンの上に先輩の小津がコーラをこぼしてしまい使い物にならなくなる。時は夏真っ盛り、私と映画サークルの明石さんが対策を協議し始めるが、何の解決も見られない。適当なことばかりで盛り上がる下宿人たちの前に、廊下の山積みの何かの隅からタイムマシンが現れる。

 

何をしようと思案した結果思いついたのは昨日に戻って壊れていないリモコンを持ち帰ること。早速小津らが過去に遡るのだが、戻ってきたのはタイムマシンだけ。過去があまりに面白いのでみんなも来いという。そんな現代に突然25年前から田村という未来人がやって来る。私と明石さんらも過去に戻るが、小津たちは過去で大騒ぎしていた。

 

私と明石さんは、タイムマシンのパラドックスを思いついてしまい、リモコンが、戻ったものの、過去が変わったら未来が破壊され世界は終わるのではないかと考える。そこで、現代に持ち帰ったリモコンをもう一度過去に戻そうということになりと、物語は過去というか昨日と現代の行ったり来たりの混沌とした展開となる。そこで、明石さんが五山送り火を誰かと行く話、私が明石さんと五山送り火見物に誘おうとする話、庭にある河童の像の話、ひたすら地面を掘り起こす犬のエピソード、それぞれが微妙に絡んで微妙に辻褄があってくる。

 

実は明石さんを五山送り火に誘ったのは未来から昨日へ行った私だということがわかり、その記憶のまま、二人は五山送り火に観に行くことになる。99年前に間違って行ってしまった男はラップで巻いたリモコンを沼に落としてきて、それが現代になり犬によって掘り返され、それが動くという話。99年前にリモコンを落としてしまったので、昨日に届けるリモコンがなくなるが、田村が未来から持ってきたリモコンで辻褄を合わせる話、それぞれがループしてなんとか辻褄が合う。

 

全てが終わり、みんなで映画完成の打ち上げに向かうが、私が、下宿人のメガネを取りに戻ってみると、未来へ帰ったはずの田村が忘れ物のカバンを取りに戻っていた。そのカバンから、明石さんが大切にしていたマスコットが出てきて、田村は明石さんの子供であることがわかる。果たして父親は誰?という謎を残して、田村は未来へ、下宿人たちは打ち上げへ、私と明石さんは何気なく恋人同士になる予感を残して映画は終わる。

 

もうちょっとストーリーを整理すればもっと切ない映画になった気がしないでもありませんが、和風テイストの美しい絵と、ドタバタの中に長台詞を織り込んだ森見登美彦の世界観がしっかりと描けていて、とっても面白いアニメでした。まさに掘り出し物です。