くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「女は抵抗する」「滝の白糸」(島耕二監督版)「あの日のよう

「女は抵抗する」 父の後を継いで芸能プロダクションを立ち上げた若尾文子扮する主人公が奔走する姿を描くたわいのないお話ですが、この時代の映画の楽しさというのは、独特のムードがあって面白いですね。モデルになる女性渡辺美佐も想像できる一本ですが、…

映画感想「テッド2」「しあわせへのまわり道」

「テッド2」 楽しい映画です。ただ、第1作は、ぬいぐるみが喋るというファンタジックな設定と、そのキャラクターがやたら下品というギャップの面白さで楽しめる作品でしたが、今回は、正当なストーリーなので、その意味では、ちょっと迫力不足だったかもしれ…

映画感想「夫婦の危機」

Vivaイタリア映画祭の一本を見に行った。監督なナンノ・モレッティである。 オープニングから中盤までは軽快なユーモアをちりばめて物語が展開するのですが、中盤から後半、みるみる画面が暗くなっていき、ストーリーが一気に内にこもってしまう。しかも、そ…

映画感想「ナイトクローラー」「さよなら、人類」

「ナイトクローラー」 個人的な感想ですが、後味の悪い映画だった。確かに、こういうエンディングはありだと思うし、こういう主人公の描き方はあってしかるべきである。しかし、ホラー映画やミステリーのラストならともかく、何かが違う。どこから陰湿な空気…

映画感想「フェデリコという不思議な存在」「at Home アット

「フェデリコという不思議な存在」 本来ドキュメンタリーは見ないのですが、フェリーニのドキュメントとなればやはり見ないわけにいかないし、ほかに見る映画も少ない週なので見に行った。ドキュメンタリーですが、フェリーニの若い頃は俳優が演じている。さ…

映画感想「父と暮らせば」「紙谷悦子の青春」

「父と暮らせば」 これは傑作です。カメラワークの緩急、木村威夫の見事な美術、宮沢りえ、原田芳雄の驚くような演技合戦、そして、物語の本質から絶対にぶれない黒木和雄の演出。この映画を見逃していたことに、今更ながら後悔しましたが、今回、見ることが…

映画感想「ビッグゲーム大統領と少年ハンター」

どういう経緯で輸入されたのかと思うくらい、つかみどころのない映画だと思い、疑心暗鬼に見に行ったのですが、これが結構面白かった。監督はヤルマリ・ヘランダーという人です。一昔前の娯楽映画のセオリーを踏襲した演出で、どこかノスタルジックな空気が…

映画感想「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」

「TOMORROW 明日」 これは素晴らしい傑作。スクリーンを見ているだけで、戦争は絶亭にいけないと痛切に感じてしまう。もちろん、そう考えるのは、この作品の物語が見えているからであるのですが。監督は黒木和雄である。舞台は1945年8月8日長崎。翌日にはこ…

映画感想「ふたつの名前を持つ少年」

ラストシーンにもう一工夫あれば、そこそこの秀作に仕上がっていたと思う。その意味であと一歩という残念さが残る作品でした。監督はペペ・ダンカート。雪景色の中、朽ちた船の残骸に隠れて一人の少年スルリックが眠っているシーンから映画が始まる。近くの…

映画感想「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」「奇跡の2000マイル」「彼は

「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」 とっても切ないポップミュージカル。特に派手さはないけれど、イングランドの映画らしい、透明感のある雰囲気がとってもいい。監督はスチュアート・マードックというバンドマンのフロントマンである。16ミリフィルムを挿入し…

映画感想「東京おにぎり娘」「家庭の事情」「閉店時間」

「東京おにぎり娘」 楽しい人情ドラマの秀作、どうして、今こういう映画が作れなくなったのだろう。軽いタッチのストーリー展開と、軽い会話劇の妙味、心のしんみり染み渡る人のぬくもり。本当に楽しかった。監督は田中重雄。映画は、主人公の若尾文子のナレ…

映画感想「心の日月」「舞妓物語」

「心の日月」 軽いタッチのすれ違いドラマで、たわいのない作品なのですが、所々に挿入されるちょっとしたシーンが、結構おしゃれで楽しい作品でした。何と言っても、主演の若尾文子が抜群にキュートで可愛らしいのです。 監督は木村恵吾です。岡山から東京…

映画感想「この国の空」

先日見た「日本のいちばん長い日」とほぼ同時期の、東京のとある一軒の家の物語という感じで、かなり興味津々で見ることはできました。映画は、雨の日の夜、庭に掘った防空壕が水浸しになるところから始まります。 母と二人で生活する主人公の里子は、近くの…

映画感想「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督版)「奪還者」

「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督版) 岡本喜八版の旧作を見た直後なので、比較するなという方が無理というものであるが、これはこれで、いい映画でした。旧作出演の役者の顔ぶれともちろん遜色はありますが、それでも、決して引けを取らないほどに、し…

映画感想「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」「温泉女

「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」 シリーズも5作目になったが、今回は普通のアクション映画という感じに仕上がった。 おもしろくないわけではないが、これといってメリハリもない見せ場の連続で、ストーリー構成の妙味もない一本。監督はク…

映画感想「妻二人」「薔薇いくたびか」「夜の素顔」「夜の罠」

「妻二人」 増村保造監督の真骨頂に近い傑作。前半から後半にかけて見る見る物語が深みを帯びてきて、ストーリーの根幹、人間ドラマの神髄に迫ってくる演出は絶品。もう目を離せないほどに引き込まれてしまいました。作家の卵の青年が、たまたま知り合った出…

映画感想「ジュラシック・ワールド」

今更という感じである。お話の展開はこれまでのシリーズとなんのかわりもない。というか、20年もたって、同じテーマパークを作ったのに、セキュリティの進歩がぜんぜんないのってどうなのということである。遺伝子操作で作られた新種の恐竜が、その知能で…

映画感想「ラブ&マーシー終わらないメロディ」「野火」(塚本晋也監

「ラブ&マーシー終わらないメロディー」 ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描いた作品である。ポール・ダノが若き日を、ジョン・キューザックが80年代の彼を演じた二人一役で、交互に年代をつづっていく。1980年代、すでにザ・ビ…

映画鑑賞「雪の喪章」「女の勲章」

「雪の喪章」 話の展開が非常にスピーディーな作品で、悪くいえば荒っぽいほど豪快である。監督は三隅研次である。物語は、金沢の金珀問屋を舞台に、昭和の初期、先代の社長の法事から物語が始まる。結婚したばかりの主人公が、女癖の悪い夫や、自分に思いを…

映画感想「ボヴァリー夫人とパン屋」「新源氏物語」

「ボヴァリー夫人とパン屋」 滑稽な映画である。脚本も一貫性がない。コミカルなファンタジーで貫き通すには、妙なところでリアルに走ろうとする空気がある。確かにおもしろいはずなのですが、結局、「ボヴァリー夫人」オタクのおっさんが、自分の妄想に向か…