くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エースの中のエース」「アマゾンの男」

「エースの中のエース」

こんな楽しい映画、公開されていなかったなんてもったいない話です。小ネタを散りばめたたわいないコメディですが、とにかく楽しい。あそびもふんだんに取り入れた脚本もなかなか上手いし、なんといっても、ヒトラー映画をここまで遊べるなんて昔の映画スタッフの余裕を感じさせる一本でした。監督はジェラール・ウーリー。

 

第一次大戦下の戦場、フランスの飛行機乗りジョーはこの日もドイツの飛行機乗りでライバルのギュンターと空中戦を交わしていた。地上では、まだ新兵のヒトラーが上官のローゼンタールに叱責を受けていた。ジョーたちはお互いに撃ち合いになり墜落、二人で健闘を讃えながら、戦争は馬鹿らしいと大笑いして時は二十年後となる。

 

ベルリンオリンピックに向かうボクシングのフランス選手団を率いるジョーはベルリンへ向かう列車に乗っていて、ジャーナリストのギャビーと出会う。彼女にユダヤ人の少年をオーストリアまで逃すのを手伝って欲しいと言われ、騒動に巻き込まれてしまう。少年は祖父母たちと一緒に国外逃亡をすることになっていた。

 

ジョーが少年たちを国外へ逃亡させようと奔走する中、旧友のギュンターと再会、彼の手助けもあって、オーストリアへの国境へ向かうが、たまたま行き先の標識がひっくり返っていたため、間違って、ヒトラーの別荘に辿り着いてしまう。ヒトラーの別荘ではギュンターやギャビーらが会食を行なっていた。少年たち家族が招待していた音楽家と間違われて別荘に招き入れられ、どんどんことが大きくなってくる。

 

ジョーは、ここがヒトラーの別荘だと知り、ヒトラーの姉アンゲラにギュンターを巧みに引き合わせてその騒ぎの中でヒトラーの車で脱出を図る。そして無事オーストリアについて大団円。

 

途中出てきる子熊や、ヒトラーとアンゲラが同じ男優が一人二役していたり、国境通過の際、ヒトラーと間違えて二度通過させる場面などなど、小ネタ満載のコメディで、とにかく楽しい。誰も彼もが悪人に見えないほど微笑ましく、これが娯楽映画の作り方だなと大笑いしてしまいました。

 

「アマゾンの男」

すでにジャン=ポール・ベルモンドもおじいさんになってからの作品で、派手なアクションはなく、何とも珍妙なファンタジーという感じの映画でした。例によって、頭の弱いヒロイン、訳の分からない特殊軍隊の登場とめちゃくちゃなお話ですが、退屈はしませんでした。監督はフィリップ・ド・ブロカ

 

アマゾンの奥地で薬草を採取してのんびり暮らす主人公エドゥアールの目の前に突然一人の少女ルルが現れる。エドゥアールが、街へ薬草を売りに行った帰り、騒がしいだけの女マルゴが無理矢理ボートに乗り込んでくる。マルゴはフランスの天文学者で、最近この辺りに落下したUFOを調査に軍隊とやってきていた。マルゴは単独でエドゥアールと共に奥地へついてくる。そこでルルと出会い、彼女が地球外生命隊だと確信する。ルルはニューヨークへ行くはずが間違えてここにきたことがわかる。

 

しかし、マルゴが軍隊に連絡したことで、軍隊はルルを見つけ連れ去ってしまう。しかしルルはある薬を飲まないと老化が進んで死んでしまう。満月の夜に仲間が来るというので、エドゥアールとマルゴはルルを取り戻しに奔走する。そして無事保護し、満月の夜、ルルの仲間がやってきて薬を与え、エドゥアールとマルゴを含めニューヨークへ向かって映画は終わる。

 

かぐや姫の話みたいな珍妙な作品で、軍隊も間抜けだし、ルルを連れ去られた後も何の手立てもない。ルルが何で地球に来たのかも不明。不老不死や愛について知るためというが、その辺りも曖昧。「リオの男」へのオマージュ満載の映画らしいが、まあ適当感満載の一本でした。