くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「ショパン 愛と哀しみの旋律」「ジュリア」

「ショパン愛と哀しみの旋律」 昨年みた「別れの曲」は名曲にポイントを置いたショパンの物語でしたが、こちらはジョルジュ・サンドとの出会いから愛の日々、そしてジョルジュ・サンドの二人の子供との確執などを扱ったいわばショパンの人生の後半を描いた作…

映画感想「甘い生活」「ザ・ファイター」

「甘い生活」 いわずとしれたフェデリコ・フェリーニの代表作にして最高傑作と呼べる一本である。例によってカーニバルのごとく繰り返されるにぎやかな映像の数々はフェリーニ独特の人並みはずれた感性によって、ある意味理解しづらいほどの陶酔感を呼び起こ…

映画感想「わたしを離さないで」「大樹のうた」

「わたしを離さないで」 一つ一つ、丁寧に訴えかけるように語っていく演出がすごく静かで好感の品の良いSF映画でした。特に、凝った映像や、娯楽性のある派手な展開もありませんが、いつの間にか、この不思議な物語に引き込まれ、そして、訴えたいテーマに…

映画感想「大地のうた」「大河のうた」

「大地のうた」 ベンガル地方に住む貧しい家族の物語をピリピリするほどの鋭い感性で叙情豊かに描いたサタジット・レイ監督の傑作。初めてみたのは30年ほど前であるが、さすがにしんどかったという印象しかなかった。今回再見してもやはりしんどい物語であ…

映画感想「サラエボ、希望の街角」

ヤスミラ・ジュバニッチ監督の演出は静と動のシーンを大胆なカットでつないでいくスタイリッシュな映像表現で、こうした第三国の作品とは思えないほどの新鮮さを味わうことができました。ボスニア紛争から15年の年月がたったサラエボの町を舞台に西洋的な…

映画感想「道」

いわずとしれたフェリーニの傑作。30年ぶりスクリーンで見直しました。そして、改めてそのすばらしさに感嘆してしまいました。全編に漂うフェリーニらしいムード、すべての物語がサーカスの舞台のごとく、そしてひとときの夢のごとく語られていく独特の映…

映画感想「世界のどこにでもある、場所」

大森一樹監督が久しぶりに監督業に戻ってメガホンをとった作品。かつて大ファンだった監督なので期待半分、不安半分で見に行きましたが、この映画、ちょっと好きな作品ですね。 まだまだ大森監督の演出感性は鈍っていないと思います。そして、脚本の組立の才…

映画感想「ポンヌフの恋人」「髪結いの亭主」

「ポンヌフの恋人」 20年ほど前に見た作品ですが、当時はどうも眠くて眠くてほとんどストーリーを覚えていない。そこで今回デジタルニューマスター版でリバイバル公開されたので見に行きました。お話はフランス、ポンヌフ橋で出会った二人の男女のピュアな…

映画感想「お家をさがそう」「ランナウェイズ」

「お家をさがそう」 名匠サム・メンデス監督が描くちょっとコミカルでちょっと暖かいファミリーのロードムービー。不思議と引き込まれて、笑いの中に潜む不思議な感覚が次第に本当の家族って何だろうと問いかけてきます。主人公の二人は婚姻届けを出していな…

映画感想「塔の上のラプンツェル」

ディズニーアニメ第50作品目という記念作品。CGアニメになってからのディズニーは嫌っていたのですが昨年見た「プリンセスと魔法のキス」が素晴らしい傑作だったので、すっかりディズニーアニメを見直し、今回も期待の一本として見に行きました。感想は…

映画感想「トゥルー・グリット」

昔々あるところに一人の少女マティがいました。彼女はとても利発で賢い女の子でした。 ある日、彼女のお父さんが雇い人のチュイニーに殺されました。マティはお父さんの敵をとるために飲んだくれだけど頼りがいのある保安官ルースターと口が達者で自尊心のか…

映画感想「乳母車」「洲崎パラダイス 赤信号」

「乳母車」 新珠三千代没後10年という記念企画で高槻まで出かけてみてきました。非常にアットホームな物語で、物語の本編へ一気に入っていく導入部、さらに石原裕次郎扮するの弟宗雄の登場で物語のムードがモダンな様相を帯びる当たりが秀逸です。そんな配…

映画感想「アレクサンドリア」

史劇というのは最近では珍しいのでちょっと期待して見に行きました。監督もアレハンドロ・アメナーバルでありそれなりの作品であろうと想像もついたからです。物語は紀元4世紀ごろ、エジプトのアレクサンドリアに実在した女性の天文学者ヒュパティアの物語…

映画感想「ブンミおじさんの森」「トスカーナの贋作」

「ブンミおじさんの森」 タイ映画として初めてカンヌ映画祭のパルムドール賞を受賞した話題作。ではあるが、いかんせん退屈な映画だった。この映画を見るためには俗世間の常識や考え方をすべて白紙にして感性を解放し、スクリーンに展開する映像と、語られる…

映画感想「台北の朝、僕は恋をする」

ベルリン映画祭でアジア映画賞を受賞した台湾映画である。宣伝を見たときからちょっとおしゃれなファンタジーかと思ったので見に行ったのですが、なんともいえないたわいのない作品でした。モダンな映像で見せるラブストーリーというイメージなのですが、登…

映画感想「ツーリスト」「アンチクライスト」

「ツーリスト」 淡々と進むストーリー、繰り返しと交錯によるミステリアスな展開、アメリカ映画とは思えないなぞめいた展開で進むこの映画、人によれば間延びしていて見づらいと思えるかもしれないが、私は非常に楽しめました。映画が始まると、おきまりのサ…

映画感想「単身男女」「ドリーム・ホーム」

「単身男女」 ジョニー・トー監督の最新作、ワールドプレミア世界初上映で大阪アジアン映画祭で見てきました。素晴らしい。最高に素敵で最高に笑えるラブコメの傑作でした。改めてジョニー・トー監督の映像センスのすばらしさ、ストーリーテリングのリズム感…

映画感想「悪魔を見た」

まったく、韓国映画独特のしつこいほどの即興的な展開とこれでもかと思えるグロテスクな残酷描写、さらに汚いものも覆い隠すこともしないお国柄的な映像を堪能して、さらに胸焼けしてしまうような作品でした。ストーリーが実に単純。フィアンセを猟奇的な殺…

映画感想「鯨とり」

1980年代韓国映画の最高傑作といわれている一本、今年の初夏にリバイバルされるらしいが、アジアン映画祭の一本だったので見てきた。韓国映画特有のオーバーアクションの演技や稚拙な演出、あるいはそんなバカなというような雑なストーリー展開が所々に…

映画感想「再会の食卓」

中国と台湾が分裂した1949年から数十年たって、生き別れになった家族の交流が可能になった時代を経て、今一通の手紙が中国に住む女性ユイアーのもとに届くところから映画が始まります。この作品、幾度となく食卓を囲むシーンが出てくる。そして、そのシ…

映画感想「シリアスマン」

コーエン兄弟が描く現代の寓話のような毒の効いた物語。さりげないせりふの中にブラックなユーモアをちりばめ、あり得ないようなプロットが次から次へと起こってくる。しかも、その出来事のそれぞれがフフと笑ってしまうような風刺が効いているから、これぞ…

映画感想「ヒア アフター」「英国王のスピーチ」

「ヒアアフター」 クリント・イーストウッド監督も、今回はかなり詩的なファンタジーを作り上げた。 淡々と進む散文詩のような美しい演出を徹底した今回の映像はある意味、近年の作品に比べて静かすぎるために過小評価されているようです。しかしながら、や…