くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トロッコ」

トロッコ

リー・ヒンピンのカメラが美しく、電灯の光のような橙色の光と美しい自然が醸し出す緑の色彩が作品に独特の暖かさを生み出しています。ストーリーは平坦でとりたてて注目する演出も見られませんが、それがこの映画の良さだといえばそうなのかもしれません。

原作は芥川龍之介。元々の舞台は日本なので、そこに生み出される戦争体験の寂寥感というのは台湾で日本兵として参戦した人を描いた今回の作品としてはちょっと無理があったのかもしれません。

淡々と進むストーリーの中に、父を亡くした少年二人が父の実家で祖父に出会い、素朴な村の人々にふれあい、強がってはいるものの心の隅に芽生えた父を失った悲しさが次第に表にでてくる展開は切ないものがあります。その寂しさが向かし懐かしい村で出会った人々との関わりの中で呼び覚まされる物語は純粋な感動を生み出しているようにも思えます。

一言でつまらないという感想は的確ではないと思いますが、映画として優れているようには思えませんでした。物語を素直に楽しむ作品なのでしょうね