「セリーヌとジュリーは舟でゆく」
めくるめく迷宮のような展開で進む即興演出と悪戯心満載の映像世界という感じで、一回見ただけではストーリーの全体を把握できないほどの三時間余りの作品でした。正直、出だしからしばらくすると頭がついていかなくて睡魔が襲ってきてしまいました。監督はジャック・リヴェット。
公園で一人の女性ジュリーが魔法の本を読んでいる。近くに猫がいて、まもなくしてセリーヌが「不思議の国のアリス」の如くウサギのようにそそくさと現れジュリーの前を通り過ぎるが、サングラスを落とし、ショールを落としながら走り去るので、ジュリーはそれを拾いながら後を追っていく。セリーヌは、とあるホテルに入り、宿泊名簿に、職業は魔術師と記述、ジュリーはセリーヌの部屋を見上げながら去っていく。
翌日、図書館で仕事をしているジュリーのところにセリーヌが現れ存在をアピールして去る。一方のジュリーもホテルでセリーヌと接触する。まもなくして怪我をしたセリーヌがジュリーの部屋の前に現れ、バイト先の子守をしている館の主人たちに追われてきたというので、ジュリーはセリーヌを匿う。
三日目、ジュリーはセリーヌのバイト先の住所を聞き出し探検に向かう。一方、ジュリーにかかってきた婚約者からの電話をセリーヌがとってしまい、デートの約束してしまう。そしてひと騒動の後、婚約は破棄される。謎の館に行ったジュリーは投げ出されるように館から出てきて記憶を無くしてしまう。その代わり飴をゲットしていた。この飴を舐めるとさまざまな空間を体験できる。この後、ジュリーはセリーヌの手品ショーを見ます。ジュリーは飴を舐めて謎の館で怒った出来事を見ます。
四日目、セリーヌが謎の館を探検に行きますが、結局投げ出されるように出てきて飴をゲットします。二人は、謎の館で起こったさまざまな出来事をフラッシュバックのように見ます。
五日目、今度はセリーヌが館を探検に行きます。ジュリーはセリーヌ宛にかかった劇場からの電話をとってしまい、ジュリーがセリーヌに代わって舞台を演じることになり、その余りの酷さに、セリーヌのヨーロッパ巡業の話は破棄されてしまう。館から出てきたセリーヌはジュリーと合流し二人で館の空間に入り込みます。しかし途中で飴がなくなり、二人は図書館へ忍び込んで魔術書から、怪しい水薬を作り出し、それを飲んで、二人は同時に看護婦姿になって館の空間に入り込みます。やがて、陰謀の謎が明らかになります。
六日目、二人は恐竜の魔除けの指輪をはめて館に潜入し、少女を殺した犯人を突き止めます。そして少女を救出、晴れて二人は公園に行きボートに乗ります。そして映像は冒頭の公園の場面、今度はベンチに座っているにはセリーヌで、その前をジュリーが駆け抜けていき、彼女を追っていくセリーヌのカットから猫のアップで映画は終わります。
一度見ただけでは明確にストーリーを把握できない作品で、即興演出の雑多な場面と交錯し繰り返される迷宮のような館の場面との構成の組み立てが実に複雑になっている上に、伏線も散りばめられているので、三時間余りの上映時間が面白い一方で、時にしんどく感じてしまう。ある意味先進的な作品というイメージの映画でした。