「ゴジラの逆襲」
スクリーン鑑賞は二回目。「あのゴジラが最後の一匹とは限らない」という一作目を受けての続編。一作目ほどの強いメッセージ性はないが、新兵器で倒すのではなく人間の知恵で葬るという展開と、ライバル怪獣出現でのちのシリーズの発端にもなる一本としては面白い。監督は小田基義。
魚影の群れを空中から捜索する月岡と小林の姿から映画は幕を開ける。機の不調で岩戸島に不時着した小林を助けに月岡が向かう。その島で二人はゴジラと知らない恐竜アンギラスと出会う。二匹の怪獣は戦いながら海に没し、二人は九死に一生を得る。間も無くしてゴジラが大阪湾へ向かっているという情報が入る。
ゴジラが光に反応するというので、沖に誘き寄せるべく灯火管制を徹底して、焼夷弾を海上に落とすが、折しも、犯罪者を護送している車が犯罪者に乗っ取られ、その追跡戦の中、犯罪者はタンクローリーを盗んで工場地帯に突っ込み大炎上を起こす。それを見たゴジラが大阪へ舞い戻ってくる。更に焼夷弾におびき寄せられてアンギラスも現れ、二匹の怪獣は大阪で大暴れ、大阪城も崩れ落ちるが、アンギラスはゴジラに倒される。そしてゴジラは一旦海上へ消える。
月岡らの会社は、大阪に本社があったが、ゴジラに破壊されたため、北海道支社に一時拠点を移す。月岡と小林も北海道支社へやってくるが、会社の漁船がゴジラに襲われる事件が起こる。ゴジラは北海道の雪山に上陸するが、それを偵察に向かった小林はゴジラの熱線でやられ、雪壁に突っ込み雪崩を起こす。それを見ていた自衛隊機は、ゴジラを雪崩で埋めてしまう作戦を思いつく。ロケット弾を積んだ戦闘機がゴジラに襲いかかり、犠牲を伴いながらも氷壁を破壊してゴジラを雪崩の下に埋めて倒す。こうして映画は終わる。
月岡や小林の恋愛ドラマもさりげなく挿入するものの、ゴジラの大暴れシーンがメインになる作りで、大阪での大バトルシーンは見応え十分。冒頭で山根博士が、オキシジェンデストロイヤーなき後ゴジラを倒す方法が思いつかないと嘆く場面が印象的。
「プロジェクト・サイレンス」
めちゃくちゃな映画ですが、こういうエンタメを作らせると韓国は本当に上手くなったと思う。あれよあれよと見せ場が連続する割には、どれもとってつけたように展開して、ラストへ向かっていく脈絡が右往左往している。それでも、それぞれの見せ場が面白いので最後まで見ていられるのですが、見せ場それぞれに緩急がないので次第に時間を感じ始めるのはちょっと勿体無い。でもまあ楽しめました。監督はキム・テゴン。
テロ対策の会議で、国家安保室室長と腹心の部下ジョンウォンが、他のメンバーを見事に把握して、また一歩大統領への道が近づいたと語り合う姿で映画は幕を開ける。ジョンウォンの娘ギョンミンは海外留学を予定していて、その資金を室長が内々にジョンウンに渡す。ジョンウォンの妻は、病気で亡くなったらしく、かつて童話作家だったらしい。最後に手元に残った本を大事に荷造りするギョンミンだった。
ジョンウォンは、ギョンミンを空港へ送り届けるため空港へ続く大橋に向かっていた。途中ガソリンを入れた際、いかにも牽引車を操作するだけの男チョバクが店員を装って金をもらおうとしているのを反故にして橋へ向かう。橋の上で、投げ銭目当てに爆走するスーパーカーが横を走りすぎ、軍用のトラックも通り過ぎるが、そのケージ車には犬が乗っているのをギョンミンは認める。ゴルフの試合で海外へ向かう姉妹、妻が認知症の老夫婦達も空港へ向かうバスに乗っていた。橋には濃霧がかかっていて、数メートル先が見えない状態だった。普通通行止めやろうと思うにですが、そうなると映画が終わってしまう。
スーパーカーを運転する車が橋の途中で大事故を起こし、次々と玉突き事故が起き、橋の上はパニック状態になる。しかも軍用ケージ車から、コントロールチップを額に埋められた軍用犬が脱走する。この軍用犬はプロジェクト・サイレンスと呼ばれる計画で、殺戮犬として開発された生物兵器だった。犬達は次々と人を襲い始める。軍用車に乗っていたこの計画のメンバーヤン博士は、パソコンで犬達を一箇所に集めて捕獲しようとしたが、額のチップを壊した一匹だけがコントロールできず、次々と兵士たちがやられてしまう。
軍が犬の回収のために送り込んだヘリは、犬達との戦闘で橋の橋脚にぶつかり炎上、橋は崩落の危機に陥ってしまう。事件を隠蔽するべく全ての通信がシャットアウトされたため、ジョンウンは、兵士の持っていたトランシーバーを使って保安室長に連絡し救助を求める。軍用犬はエコーと呼ばれ、軍事実験体だったが、不具合のため処分するべく輸送されていた。
犬達が迫る中、ジョンウォンらは、娘のギョンミン、ゴルフ選手の姉妹、老夫婦、ヤン博士、牽引車の運転手チョバクらと救助隊の待つ場所へ向かう。ところが、途中でプロジェクト・サイレンスの真実が脱出に向かう人々にバレてしまう。それを知った室長は、全てを隠蔽するべく、救出しない選択をしようとする。
それを察知したジョンウンは、犬に罠を仕掛けてバスに閉じ込めたりしながら決死で脱出を決行、橋は途中で崩落し、あわや落下するかと思われたジョンウォンのケージをギョンミンが必死で繋ぎ止めたりし、とうとう、ジャーナリストや救急隊が待つ橋の先端に辿り着く。ジョンウォンは、ジャーナリストに言葉を発しようとする室長を殴る。他の犬と共に橋から落ちたエコーの一匹が崩落する橋を見つめて映画は終わる。
とにかく、見せ場をひたすら繰り返し、登場人物それぞれのエピソードをラストに向かって回収していく展開は無駄がないし、丁寧に書かれていると思います。B級パニックエンタメとしてはよくできているのですが、全体にバタバタしている感じが否めないのがちょっと勿体無い。もう少し緩急強弱をストーリーにつけたらもっと面白くなるのにと思いました。でも面白かった。