くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ユージュアル・サスペクツ」「最後の決闘裁判」

ユージュアル・サスペクツ

二転三転するどんでん返しは面白かったけれど、さすがに映画スレしてしまったのか、真犯人は最初で大体わかってしまったのは自分でも呆れてしまった。監督はブライアン・シンガー

 

一人の男キートンが倒れている。足元に火が広がろうとするが、船の甲板の上から小便をして消した男がいる。その男がキートンのところへ降りてくる。そして動けないキートンを撃ち、タバコの火を投げて火を再開させて去っていく。そして船は大爆発、大量の麻薬と9100万ドルが消える。生き残ったのは足の悪い男キントと全身大火傷を負った男だけだった。こうして映画は幕を開ける。

 

六ヶ月前、五人の男たちが警察に逮捕される。銃器を積んだ車が襲われた事件の容疑者だが、なんの根拠もない。その中にキントがいた。彼はかつて詐欺などで前科のある男だった。彼らは留置所で仲間となり、悪徳警官がパトカーをタクシーがわりにして宝石の密売などをしているのを襲う計画を立てる。そしてまんまと成功した五人は物の売人レッドフットから新たな仕事を提案される。

 

一方、全身火傷の男の捜査をするFBIのジャックはその男からカイザー・ソゼという謎の男の存在を知り、その男が影の黒幕だと推察をするが火傷の男以外に彼の顔を見たものはいなかった。

 

キントら五人は、レッドフットの提案された仕事の詳細を知るために弁護士のコバヤシと会う。彼はキートンの恋人で弁護士のイーディのことも熟知する謎めいた男だった。コバヤシが提案した仕事は、サントロペ港に停泊するヨットで行われる麻薬の売買を阻止し、首謀者のカイザー・ソゼを殺してくれというものだった。

 

物語はFBIのチャズに尋問を受けるキントが六ヶ月前からの流れを語る形で展開していく。キントたちはサントロペ港のヨットに潜入し、キートンを中心に次々とカイザー・ソゼの仲間を倒していくが、目的の麻薬が見つからない。一方キートンの仲間も次々と殺されキートンも撃たれてしまう。足が悪いので外で待機していたキントも船のそばにやってくる。キートンは突入前にキントに、万が一の時は金だけ持って逃げろと指示をする。

 

キートンも撃たれ動けなくなったところへ、冒頭の場面となり一人の男がキートンを撃ち殺し、船を爆破する。一方、全身火傷の男はジャックの依頼でカイザー・ソゼの似顔絵を書き上げていた。その似顔絵は早速FAXで送信される。一方チャズはキントから全てを聞き、キートンがカイザー・ソゼだと確信、彼が死んだことで全ては終わったのだと判断する。そして全てを告白してくれたキントを免罪してやる。

 

全てが終わったチャズはデスクで、壁一面に貼られた過去の事件や新聞記事に目をやる。そして、キントが話していた登場人物の名や風貌が全てその張り紙の中にあることを見つけ、真相を知る。慌ててキントを追うがすでに外に出た後だった。FAXが届く。それはキントの顔だった。まんまと逃げたキントは、いつの間にかびっこをひかずに普通に歩いていた。そして迎えにきた車に乗る。運転するのはコバヤシだった。こうして映画は終わる。

 

キントがわざとらしいほどびっこを引いて出てきたので、おそらくこれが真実の犯人だろうとは思ったがその通りだった。しかし、演じたケビン・スペイシーがうますぎて、油断すると騙されそうになった。前に前にテンポよく流れる物語は面白いし飽きさせない。そこに絡んでくる様々なフェイクが、ずべて作り話で締め括るラストも鮮やか。噂通りなかなかの秀作でした。

 

「最後の決闘裁判」

これは相当に見応えのある作品でした。一つの事件を三人の視点から描きますが、それぞれが異なっているわけでもなく視点を変えることで見えてくるものを観客に考えさせるという趣向は非常に面白い。クライマックスの決闘シーンは近年稀に見る圧巻のシーンでした。色調を抑えた映像も美しいし、映画を堪能できた感じがします。監督はリドリー・スコット

 

14世紀、一人の女性がこれから行われる決闘に備えて衣服を整えている場面から映画は始まる。そして決闘が開始され、場面が変わる。リネージュの河岸の戦闘が行われている。代々地域の管理をしている名門のカルージュと庶民から這い上がってきたル・グリは友人同士で、この日もお互い助け合い戦闘をするが結局負けてしまう。

 

その地域を治めるピエール伯はル・グリを可愛がり、何かにつけカルージュには冷たかった。やがてカルージュはマルグリットという女性と結婚することになるが、マルグリットが持参金の一部として持ってくるはずの土地もピエール伯が借金のかたに勝手に没収しル・グリに与えてしまう。さらに、その地の管理者としての地位もル・グリに与えてしまう。カルージュはそのことをピエール伯に訴えたこともありますますピエール伯やル・グリとも溝ができてくる。不満の中、国王に忠誠を続けるカルージュはスコットランドへ遠征し、戦果はそれほどではないものの騎士としてフランス国王から認められる。しかし、そんな彼にもピエール伯の態度は冷たかった。

 

カルージュは遠征の給金をもらうためにパリへ向かいしばらく家を空ける。姑もメイドを連れて一日家を空け、マルグリットは一人で留守番をすることになる。ところが突然ル・グリが現れ、あろうことかマルグリットを強姦してしまう。戻ってきたカルージュにマルグリットは真実を話し、ことを公にしてピエール伯にも審問を開かせ、さらに国王にも上訴する。

 

映画はカルージュの視点、ル・グリからの視点、マルグリットからの視点と三つのエピソードで同じ場面を繰り返し、終盤の国王による裁判シーンへと流れていく。そして国王は決闘を許し、マルグリットの訴えの真実をかけてカルージュとル・グリは決闘することになる。もしカルージュが破れたらマルグリットは虚偽の訴えということにされ罰せられるのである。マルグリットのお腹には子供がいた。

 

赤ん坊が生まれてまもなくして決闘が行われることになる。冒頭のシーンへ戻り、カルージュとル・グリが激突する。ここからの死闘がまさに死闘で、痛々しいほどの迫真のシーンが展開。そしてお互い瀕死の中最後の最後にカルージュがル・グリを倒す。晴れて妻マルグリットの正義を証明したカルージュは夫婦揃って凱旋していく。カットが変わり、歩けるようになった赤ん坊を育てるマルグリットののどかなシーンで映画は終わる。

 

何事にも泣き寝入りすることで生活を守ってきたこの時代の女性の姿と、それを打ち破り女性の権利を大声で訴え勝ち取った一人の強い女性の物語として非常に重厚な仕上がりを見せています。マット・ディモンとアダム・ドライバーという正義感のイメージが強い二人を対峙させた配役も上手い。大作らしいスペクタクルな場面もあり、見応えのある一本に仕上がっていました。