堤幸彦監督が描いた浪速新世界のこてこてのお話はなんと四駒漫画の傑作「自虐の詩」の長時間映画化。
半分期待半分不安の気持ちで見に行ったが、期待通り、十分に楽しめた。
昨日の「スターダスト」同様に特に傑作というわけではないが、何かしらこちらに訴えかけてくるものがある。その点が根本的に違うのです。だからよかった。みてよかったなぁ。素直に笑えるところは笑えるし、泣くところは泣ける。
物語は「嫌われ松子の一生」に非常に似通っています。その上、中谷美紀が主演なのですからさらに重なってしまうのですが、そんな主人公幸江ちゃんが、なんと暴走族のヤクザ、阿部寛のイサオくんに見初められ、結婚。
当然波乱の人生がスタートするのですが、なんといっても子供の頃から貧乏な上に、不幸な人生でしたから、やっと手にした幸せに見えるのです。でもでも、イサオは働かないし、貧乏暇なしで、ちゃぶ台はひっくり返すし。
でもでも、そんなイサオさんですが、ほとんどせりふがない。ひたすら暴力と行動で幸江ちゃんへの想いを表現してくれるストレートさ、優しさが最高にかわいらしい。さらに中谷美紀が本当にきれいだし、かわいいのです。彼女こんなにかわいらしかったかな?と最初は信じられなかった。解説にはほとんどスッピンとのこと。やっぱり美人は美人なんだ。しかも演技もうまいから、けなげな妻役を見事に演じてくれるんですよね。
そんな二人の夫婦生活に、こてこての新世界の住民たちが吉本新喜劇ばりにつっこみを入れてくるのが何ともほほえましい。
ラストシーンもきれいにまとまったハッピーエンドが何とも心が温まる一本でした。