「橋のない川」(東陽一監督版)
水平社設立の物語を描いた住井すえ原作の映画化で、以前今井正監督版は見たことはあったのですが、この再映画化版もしっかりとしたドラマ作りでよくできた映画でした。監督は東陽一です。
物語は今更ですが、奈良県にある被差別部落小森村を舞台に、周りの人々から蔑まれる少年たちが、やがて成長し、水平社設立の礎となっていく。
原作に盛り込まれたエピソードをちりばめながら、一見のどかな山村を舞台に繰り広げられる人間ドラマは、人間の素朴な尊厳をストレートに描き出していく。そのぶれない演出が、登場人物が直面する困難を見事に私たちに訴えてきます。
もともと長尺なドラマですが、見事にまとめた脚本がなかなかの一本で、胸に訴えかけてくる迫力は今井正監督版に引けは取らないと思います。いい映画でした。