2016-01-01から1年間の記事一覧
「シアター・プノンペン」 しっかりとしたストーリー展開で描くカンボジアの激動の時代を映し出す佳作。ストーリーの奥に、暗黒の時代を赤裸々に挿入しようとした真摯な姿勢がとにかく見応え十分に感じられるのです。監督はソト・クオーリーカーと言う女性で…
「栄光のランナー/1936ベルリン」 もっとシンプルな映画かと思っていたのですが、思いの外中身がしっかりした作品でした。主人公のジェシーの周辺の脇役が非常にしっかりと描いているために、主人公が際立ったためだろうか。監督はスティーブン・ホプキンス…
「ストリート・オーケストラ」 宣伝文句ではいかにも感動ものという感じだったが、なんと、ラストシーンを見れば、その恐ろしいほどの悪意に寒気がしてしまう。ブラジルの現状がこれほどまでかと思ってしまうのですが、果たして私の解釈は正しいでしょうか?…
「ポセイドン・アドベンチャー」 ようやくスクリーンで見ることができました。テレビでは何度も見ていて物語も展開もほぼ覚えているのですが、やはりシェリー・ウィンタースが死ぬ場面は泣いてしまいました。監督はロナルド・ニーム、製作はアーウィン・アレ…
「小太刀を使う女」 明治初期を舞台に、由緒ある武家の娘が、一旦は別れた恋人と、再び巡り会うというわかりやすい時代劇である。監督は池広一夫。特に秀でた作品ではないのですが、やはりこの時代の映画はしっかりしていて、見ていて安心できるところがあり…
「ロング・トレイル」 軽い感じのロードムービーかと思いきや、結構いい映画だった。とにかく、脚本がいいのと、さすがにロバート・レッドフォードとニック・ノルティの熟練俳優の掛け合いのタイミングがみごとな映画でした。監督はケン・クワピスです。かつ…
「蘇える金狼」(村川透監督版) ビデオでしか見たことがなかった、角川映画の代表作の一本。角川映画祭でようやくスクリーンで見ることができた。監督は村川透。なるほど、村川透らしい、B級アクションのテイストと、角川映画の大作主義が微妙にマッチングし…
「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」 映像作品としてはとってもリズミカルで面白映画でした。細かくくりかえすフェードアウト、カットの切り返しのリズムなど、非常に軽いタッチで生き生きと描かれるのが絶妙で、油断すると、やたら重くなるテーマを、爽やかな…
「有楽町で逢いましょう」 たわいのない映画というか笠原良三脚本ながら、なんともまったりととりとめもない映画です。ただ、古き良き日本映画の空気というか、映画らしい映画というムードも満点という意味では、ちょっと癒される一本でした。監督は島耕二で…
「秘密 THE TOP SECRET」 長い。ただ、だらだらと長い映画だった。いかにも選び抜いたという感じのロケ現場やセットの重厚感や迫力は半端ではないので、ちょっと近未来的な科学捜査の物語も非常にリアリティを生み出しています。その点は評価できる映画なの…
「夢二 愛のとばしり」 夢二の狂気がほとんど描けていないので、人間味が見えてこない。しかも、ストーリーの流れもポイントが見えなくて、どこを描きたいのかが感じ得なかった。画面に工夫をして美しくしようという意図は見えるのですが、今ひとつ美しく見…
「ニュースの真相」 これは見事な映画でした。ラストまで途切れることのない緊張、表と裏をしっかりと描いたストーリー構成の見事さ、それに何より、構図と配色にこだわった美しい画面作りが素晴らしい。監督はジェームズ・バンダービルト。しかも、主演のメ…
「THE WAVE ザ・ウェイブ」 ノルウェーのアカデミー賞外国語映画賞のノルウェー代表に選ばれた一本であるが、なんのことはない、ただのディザスター映画でした。監督はローアル・ユートハウグです。フィヨルドの岩盤の崩落が起こると、大津波が起こり、近隣…
「青い芽」 石坂洋次郎の原作小説を映画化した鈴木英夫監督作品。短編ですが、青春のほんの一瞬をみずみずしい視点で描いたちょっとした映画です。主人公は17歳の高校生。彼女のボーイフレンドがピッチャーをしている野球の試合を見ているシーンから映画が始…
「危険な英雄」 見事な映画というのはこういうのを言うのでしょうね。一見社会ドラマのサスペンスの様相なのですが、それとは全く違う一線を画した傑作といえるものかもしれません。特に「第三の男」のような軽いタッチの音楽が流れる中で、緊張感あふれる誘…
「約束」 かつてはこういう名編と言える映画がたくさんあったなぁと思えるようなとってもいい映画でした。監督は斉藤耕一。長焦点カメラを多用して背景を完全にぼかした美しい浮かび上がるようなカット、手持ちカメラのアクティブな映像、人物の服装の色彩に…
「シン・ゴジラ」 圧倒される。とにかく日本映画界が総力をあげたというのはこのことだろう。第一線で活躍中の俳優を総動員し、さらに、特撮スタッフを総動員して完成させた満身のゴジラ映画、それがこの「シン・ゴジラ」である。監督は樋口真嗣であるが、特…
「殺人容疑者」 映画関係の役者を排除し、舞台劇の役者を使うことで、非常にリアリティのあるドキュメンタリー調の作品に仕上がっている。ある意味、映画全盛期で映画の俳優は映画の俳優と徹底されていた時代ゆえの演出と言えなくもない。監督は鈴木英夫であ…
「スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜」 第二次大戦前夜、世界大戦を前に世界中がスパイ戦を繰り広げていた時代。日本に潜入していたドイツ人のスパイ、ゾルゲの物語を描いたサスペンスタッチの娯楽映画である。監督はイヴ・シャンピ。ソ連の密命を受けたゾルゲが親…
「ミモザの島に消えた母」 なぜに、あれほどまで家族は主人公に極秘にしたのかが最後まで明確に見えなかった。それなりのミステリーだが、無理やりのミステリーという感じに見えたのは私だけでしょうか。監督はフランソワ・ファブラ。主人公のアントワン、妹…
「暗殺」 噂通り、かなり面白かった。成功している韓国アクション映画の典型で、丁寧に組み立てられた伏線とキレのいい展開はなかなかのものです。ただ、少し、盛り込みすぎているところがあり、終盤がしつこいために眠くなってしまったのが残念。監督はチェ…
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 「ローマの休日」などの脚本家でもあるが、ハリウッド赤狩りで迫害され、実名を出さずに次々と傑作を世に出した名脚本家ダルトン・トランボの自伝映画である。その内容の面白さに引かれるのだが、ストーリーの流れ…
「ファインディング・ドリー」 前作の「ファインディング・ニモ」は見ていないのですが、続編とはいえ、十分楽しめました。さすがにディズニーのエンターテイメントとしての見せ方は実にうまいと思います。監督はアンドリュー・スタントンです。ほんのさっき…
「AMYエイミー」 2011年、27歳の若さで急逝したジャズシンガー、エイミー・ワインバーグの半生を描いたドキュメンタリーである。本来ドキュメンタリーは見ないのですが、アカデミー賞に輝いていることもあり、興味半分に見に行った。監督はアシス・カパディ…
「あなた買います」 人間ドラマの傑作、小林正樹監督らしい人間の心の奥底に迫る見事な映画でした。物語は一人の野球選手のスカウトマンの姿を描いています。大学リーグのホープ栗田を獲得するために奔走する岸本。栗田をバックアップし一人前にした球 気に…
「森山中教習所」 不思議な空気が全編を覆った青春ストーリー。どこか懐かしくて甘酸っぱいお話なのですが、背後に流れる現実というリアリティも含んだ作品。それほど長くないのに、やたら長く感じる映画でした。監督は豊島圭介です。映画が始まると一人の女…
「祈りのちから」 完全な宗教啓発映画だった。もしかしたらなと思ったがそのままでした。くどいほどのメッセージと、とってつけたようなストーリー展開、シンプルですが行き着くところ、ひたすらキリスト教の啓蒙が行われる。見る必要なかったなという感じで…
「アマデウス」(ディレクターズカット版) 30年ぶりくらいに見直した作品ですが、さすがに素晴らしい名作です。オープニング、自ら首を突き刺したサリエリのシーンから、一気に運び出され、サナトリウムに行きタイトル。そして神父との会話で、自らの過去を…
「忘れえぬ慕情」 とにかく、退屈な映画でした。ストーリーらしいものはなく、ただ日本の文化や風俗を紹介していくだけの展開です。当時の映画予算の20倍近くをかけた超大作ということですが、どこにお金がかかってるかわからない。二度の睡魔が襲いました。…
「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」 約二十年前の物語の続編である。単なる娯楽映画と言い切ればそれまでの一本で、素直なところ、前作のほうがある意味楽しかった気がします。この二十年で、さらにCGもレベルアップし、この手の映画が軒並み次々…