くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2018-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「散り椿」「1987、ある闘いの真実」

「散り椿」 監督は木村大作なのだが、これだけのビックネームになれば、日本映画を牽引してくれるほどの傑作を期待するのですが、これで3本目ながらびっくりするような出来栄えの映画は見られなかった。たしかにクオリティは並もレベルを超えているが、引き…

映画感想「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」「太陽の塔」

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」 まるで童話のようなファンタジックなヒューマンストーリーという感じの一本。午前10時の映画祭で見ることができました。監督はラッセ・ハルストレム。 主人公イングラムが浜辺で母親と戯れていて、そのままタイトル。母と…

映画感想「食べる女」「クワイエット・プレイス」

「食べる女」 期待していなかったのですが、これがまたとっても素敵な映画でした。物語の構成はとってもいいし、オーバーラップしながら展開するストーリーがとっても良くできています。それに一番のいいところは、最後がみんな幸せになる感じ。やっぱり映画…

映画感想「愛しのアイリーン」「プロヴァンス物語 マルセルの夏」

「愛しのアイリーン」 なかなかクオリティの高い秀作、全体が映画になっているという出来栄えが出色の1本でした。もう少し、凝縮させたらさらに良かったかもしれません。監督は吉田恵輔。 山深い東北の山村、一人の老人が新聞が来ていないと喚いている。少し…

映画感想「叫びとささやき」「純平、考え直せ」

「叫びとささやき」(デジタルリマスター版) この歳になるとこの映画の真価を実感できます。画面に捉えられる何もかもが意味をなしていて、役者それぞれが語る言葉も行動も辛辣に伝わってくる。しかもスヴェン・ニクヴェストの美しいカメラも加わるから、もう…

映画感想「きみの鳥はうたえる」「死霊館のシスター」「スカイスクレイパー」

「きみの鳥はうたえる」 物事の本当を知る若者たちと、うわべしか見えない大人、不思議感覚なのだが、これが今の本当じゃないかと考えてしまう青春ドラマ。いい感じの映画でした。監督は三宅唱。 函館の書店でバイトする僕が一緒に住んでいる静雄と待ち合わ…

映画感想「コーヒーが冷めないうちに」

「コーヒーが冷めないうちに」 もっと、薄っぺらい映画かと思っていましたが、意外と演出のリズムがしっかりしていて面白い作品になっていました。原作の活字を映像イメージに変換するテンポが良かったと思います。ただ、もう一歩物足りなさが見えたのと、テ…

映画感想「鏡の中にある如く」「若い女」

「鏡の中にある如く」(デジタルリマスター版) 見事な映画ですが、やはり眠気が襲ってくる。淡々と語られる物語の背後に潜む人間の不安、いまにも壊れそうな心の葛藤、そして寒々とした景色、これがイングマール・ベルイマン監督の映画である。作家のダビッド…

映画感想「冬の光」「秋のソナタ」

「冬の光」(デジタルリマスター版) 何年かに一度見ていますが、流石にこの作品のカメラの美しさには息を呑みます。冒頭の寒々とした雪景色の中に浮かぶ教会のカット、主人公トーマスが礼拝をする教会の中のシンメトリーな構図、窓の外をじっと見るトーマスの…

映画感想「沈黙」「仮面/ペルソナ」「ヒトラーと戦った22日間」

「沈黙」(デジタルリマスター版) イングマール・ベルイマン監督の代表作の一本。久しぶりの再見。何度見ても、言葉にできない余韻がある傑作。しかもシーンのそれぞれの記憶があるのに、物語の記憶がない。それでも、何度見ても素晴らしい作品だと思います。…

映画感想「独立愚連隊」「累 かさね」「ザ・プレデター」

「独立愚連隊」 豪快そのものの痛快戦争活劇。まるで西部劇のような陽気さが楽しい一本。監督は岡本喜八。主人公荒木が寝そべっている場面から映画が始まる。実は本名は大久保と言って、その兄が不審な死を遂げたのでその真相を探るべく脱走してやってきたの…

映画感想「英国総督 最後の家」「リグレッション」「ブレス しあわせ

「英国総督 最後の家」 歴史的な知識を見たくて見に行った映画で、作品自体は普通の映画でした。監督はグリンダ・チャーダ。英国がインドを手放すことを決めた1947年、最後の総督としてマウントバッテン卿がインドにやってくる。しかし、インドでは多数派の…

映画感想「泣き虫しょったんの奇跡」「響 HIBIKI」「プーと大人にな

「泣き虫しょったんの奇跡」 非常に平凡な映画でしたが、こういう人物、こういう世界があるのだという勉強になる映画でした。監督は豊田利晃。主人公瀬川の小学校時代から映画は幕を開け、生涯の友になる鈴木との出会い、将棋クラブに入ってのエピソードなど…

映画感想「人魚伝説」「鬼の詩」

「人魚伝説」 ストーリーの筋が全くぶれることなくシンプルにラストまで突っ切るのだが、そこかしこの枝葉もさりげなく物語を引き立て、なかなかの秀作に仕上がっていた感じです。監督は池田敏春。主人公みぎわは愛する夫啓介とアワビをとって暮らしている。…

映画感想「任侠外伝 玄海灘」「500ページの夢の束」

「任侠外伝 玄海灘」 壮絶な映画ですが、画面からほとばしり出てくるバイタリティがものすごい傑作である。少々描写がグロテスクなところもありますが、もの凄い迫力に圧倒されてしまいました。監督は唐十郎。田口という若者が血液銀行で倒れている場面から…

映画感想「寝ても覚めても」「SUNNY 強い気持ち・強い愛」「MEG ザ・

「寝ても覚めても」 映画としても見るべきシーンもあり、なかなかの作品になっていますが、個人的にはあまり好きな映画ではなかった。主演の唐田えりかがちょっと弱いですね。東出昌大が最近演技力を上げているので、ちょっと役不足に見えました。監督は濱口…

映画感想「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」「アントマン&

「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」 1980年のウィンブルドン決勝戦をクライマックスに、ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローの二人のテニスプレーヤーの人間ドラマを回想形式で描いていきます。ドラマ作りがしっかりしているのとテニスシーンの処理…

映画感想「暗殺のオペラ」「チャーチル ノルマンディの決断」

「暗殺のオペラ」(デジタルリマスター版) スクリーンで見たのは、30年ぶりくらいか、流石にこのレベルの映画を撮れる監督はそうそういないなと唸らせる傑作だった。少々説明台詞が多いのと、過去と現代が境目なく入れ替わるので、油断すると混乱してしまうの…

映画感想「君はいま光の中に」

「君はいま光の中に」 再生不良性貧血の子供の物語を軸に、献血制度のあり方を問うた作品で、少々大げさな演出が見られるものの、物語の構成は手抜きもなくしっかり作られているので、今時の難病ものとはレベルの差を感じてしまいました。監督は吉田憲二。姉…

映画感想「新・人間失格」「輝ける人生」「大人のためのグリム童話

「新・人間失格」 なんとも荒っぽい脚本で、前半は流れが掴めなかった。いくら原作があり、その思い入れがあった上での作品とは言っても、ちょっとマイペースすぎる気がするし、主演の役者があまりに演技力がなさすぎるのもちょっと辛かった。監督は吉留紘平…

映画感想「アラーニェの虫籠」「祈り」「希望の樹」

「アラーニェの虫籠」 芸術家と自意識の強いアニメーターが描く感性の世界。確かに一見独特でオリジナリティがあるようだが、一歩引くと普通に見える。色彩の感性や絵作りは確かに独特ですが、映画作りにあたり重要なストーリーテリングができていないし、空…

映画感想「クリミナル・タウン」「日本人のへそ」

「クリミナル・タウン」 なんともつまらない映画だった。クロエ・グレース・モレッツを見に行っただけの映画なので、それでいいといえばそうだが、こんなつまらない脚本をプロが書くのかと思ったら原作があって驚いた。主人公の物語への動機付けが全くなされ…

映画感想「オーケストラ・クラス」「懺悔」

「オーケストラ・クラス」 なんの変哲も無い普通の映画だった。ありきたりの展開とありきたりの映像。それ以上に訴えかけるものも無い作品でした。監督はラシド・ハミ。バイオリニストのシモンがとある学校の音楽教室の先生に赴任するところから映画が始まる…

映画感想「マンマ・ミーア ヒア・ウィ・ゴー」「黒木太郎の愛と冒険

「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」 典型的なアメリカ映画の作り方と、前作が大ヒット舞台の映画版という制約があったがそれが外れて、純粋に映画として作られた映像の面白さも楽しめました。とにかく、楽しかった。本当にこういう娯楽を作らせるとアメ…

映画感想「天使の恍惚」「秘花」「青春の殺人者」

「天使の恍惚」 まさにATG映画の典型のような作品で、自己主張をグイグイと前に出してくる一本でした。監督は若松孝二。東京で革命を起こそうとする若者たち。米軍基地から武器を奪取し、東京のあちこちを爆弾で攻撃し始める。その内にこもった行動がたまら…

映画感想「検察側の罪人」「ペンギン・ハイウェイ」

「検察側の罪人」 薄っぺらい。サスペンスドラマのレベルの一本。とにかくキャストの力不足が思い切り表に出た作品でした。演出も力が入っていない感じで、原田眞人監督作品と思うと情けなかったです。検事になったばかりの沖野がベテランの最上検事から最後…

映画感想「インクレディブル・ファミリー」

「インクレディブル・ファミリー」 やっぱりディズニーは面白い。何と言っても作劇のうまさはいまだに世界一だと思います。前作を見ていないのですが、単純に楽しむことができました。ただ、ここまでできるならもう一工夫ストーリーを練りこんだらもっと面白…

映画感想「あさき夢みし」「卑弥呼」「聖母観音大菩薩」

「あさき夢みし」 美しい構図と、夢幻のごとき画面転換にうっとりと引き込まれる宮廷絵巻、流石に色落ちしていなければ素晴らしいだろうに残念でした。監督は実相寺昭雄。宮廷の後宮に来た主人公四条が愛欲と女の情念に燃え上がりながら、やがて自由を求めて…

映画感想「1999年の夏休み」「悲しみに、こんにちは」「ブッシュウィ

「1999年の夏休み」(デジタルリマスター版) まるでおとぎ話のようなファンタジー。ある意味幻想的であり、どこか怪しいほどの危うさも漂っているのが不思議な映画でした。全員少女が少年を演じている作品。監督は金子修介。森の奥深いところに立ち全寮制の学…

映画感想「最後のランナー」「曼陀羅」「吶喊」

「最後のランナー」 「炎のランナー」のエリック・リデルのその後を描いた物語ですが、これというものもない普通の映画でした。まぁ、物語の興味のみという作品でした。監督はスティーブン・シン。オリンピックで金メダルを取ったエリック・リデルだが、たく…