2019-01-01から1年間の記事一覧
「女だけの都」 画面の構図の取り方といい、物語の軽妙な展開といい、これこそ名作と言わんばかりに見事な映画でした。たったひとときのアバンチュールを実に洒落たタッチで描いていくフランス映画の真骨頂という一本です。監督はジャック・フェデー。 フラ…
「ベル・カント とらわれのアリア」 こういうシチュエーションでは現実は「ホテル・ムンバイ」、フィクションが今回の作品なのだと思う。その意味では、全くリアリティのない甘い脚本なのかもしれないが、これを純粋な人間ドラマだと考えれば、なかなか良く…
「天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント」 元来ドキュメンタリーは見ないのですが、題名に惹かれて見にきました。 次々と世界の有名人にインタビューしていく展開なので、どの言葉を心に止めるという暇もなくラストシーンまで行ってしまいます。 結…
「ひとよ」 これは良かった。もうクライマックスは号泣してしまいました。演技がちゃんとできる、しかも好きな役者が揃って、演技をつけることができる監督が揃うと最初から楽しくて仕方なかった。原作が舞台劇なので、若干映像としては無駄なエピソードがな…
「女のつり橋」 こういう人間味のあるあったかい物語は完全になくなりました。傑作ではないのですが、見終わってとっても優しい気持ちになりました。監督は木村恵吾。 物語は、三本のオムニバスになります。 第1話は温泉の女マッサージ師たちの物語。売れっ…
「三億円をつかまえろ」 まあ、一昔前の脳天気な犯罪コメディ。菊島隆三の脚本というのもあって、これはこれなりにしっかりできていたと思います。三億円事件時効成立直前という社会風刺も面白い一本でした。監督は前田陽一。 刑務所を出てきたばかりの主人…
「永遠の門 ゴッホの見た未来」 ゴッホの半生を描いた物語ですが、手持ちカメラを多用した画面作りと、ただの狂人として描くのではないゴッホの人間面への描写が素晴らしい作品でした。ゴッホが次第に異常になっていく視点に黄色のフィルターをかけたり、ゴ…
「閉鎖病棟それぞれの朝」 ドラマ演出はしっかり描かれているのに、どこかスカスカの空間が見えるのはなんだろう。舞台になる病院のリアリティが全くない。何故があまりにも多すぎるので、そこで起こる人間ドラマが薄っぺらくなってしまった感じです。監督は…
「テルマ&ルイーズ」 見逃していた一本、午前十時の映画祭は本当にありがたい。これからも続けて欲しかった。本当にこの映画はめちゃくちゃに良かった。映像も素晴らしいし、音楽センスも抜群。主人公二人の心の変化していく様が見事に演じられているし、ラ…
「不実な女と官能詩人」 フランスの象徴主義の詩人、ピエール・ルイスと彼に関わった女性マリーの物語なのだが、誰をポイントにしているのかがわかりにくい上に、テンポが悪く、しかも品がない映像なので、かなり退屈してしまいました。監督はルー・ジュネ。…
「散歩する霊柩車」演出のキレがないので、せっかくの面白い話が、だらけてしまったのは残念ですが、カルトムービーのような色合いで楽しませてもらいました。監督は佐藤肇。タクシー運転の主人公が、妻の浮気を追い求めているシーンから映画が始まる。そし…
「IT イット THE END“それ”が見えたら、終わり。」 ホラーもここまでくるとスペクタクルです。次から次に出てくる様々なクリーチャーが楽しいし、正直しまいには笑ってしまいました。しかも、普通に刺されたら死んでしまうというのがまた笑えます。でもラス…
「田舎司祭の日記」 映画としては、非常にクオリティの高い作品だと思いますが、終始主人公の日記の一人セリフで展開するので、地味で、しんどいというのも確かです。しかし、スタンダード画面にしっかりはめ込まれた構図や、階段での光と影の演出なども含め…
「15ミニッツ・ウォー」 典型的なB級戦闘アクションですが、物語の配分が上手いのと、余計なセリフをカットしたスピーディな展開でクライマックスまで一気に進む感じは面白かった。実話を基にしているフィクションではありけれど、作りすぎていないのがいい…
「トスカーナの幸せレシピ」 まあ、普通のヒューマンドラマです。しかし、才能のある人はどうしてああも常識外れな人物像として描かないといけないのかと思います。監督はフランチェスコ・ファラスキ。 三ツ星シェフの主人公が、暴力沙汰で収監され、社会奉…
「月給13,000円」 これはなかなか良かった。田舎から東京の本社にやってきた若いサラリーマンが、北海道に飛ばされるまでの1ヶ月間のサラリーマン哀歌なのですが、展開するも物語のテンポがいい上に、演じる役者がしっかりと自分の役をぶれずに演じ切っては…
「ジェミニマン」 作りようによっては面白くなるはずなのですが、なんの工夫もない普通のアクション映画でした。あれなら、あえてクローンにする理由があったのかと思います。監督はアン・リー。 ベテランスナイパーのヘンリーが今日のターゲットを狙ってい…
「駅までの道をおしえて」 時間潰しに見にきた。なんともダラダラした脚本とストーリーテリングのセンスのない演出で、とにかく退屈な映画でした。これは、映画を作るということがわかっていない作家の映像というほかないです。しかも主演の女の子の演技指導…
「お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ」 よくある認知症の映画かと思ってみたのですが、なかなかしっかりと作られていて、ヒューマンドラマとして素直に感動してしまいました。監督はキム・ソンホ。 総菜屋を営むエランは、長年自分の経験から作り上げたおかず…
「ラブゴーゴー」 とっても洒落た三つの恋愛ラブストーリーで、それぞれがたわいないユーモアに溢れているので、見ていて心地いいし、妙な暗さもなく、湿っぽさもなく、それでいて、どこか切ない。とってもいい映画でした。監督は台湾のチェン・ユーシュン。…
「時計じかけのオレンジ」 何度見たことだろう。スタンリー・キューブリック監督作品の中では大好きな一本。やはり天才が作る作品は何度見ても飽きないし、何度見ても、凡人の感性を超えた映像世界を体験できる醍醐味を味わえます。やっぱり凄い。 オレンジ…
「スペシャルアクターズ」 上田慎一郎監督長編の二作目ということです、この人の才能がどの程度かと上から目線で見てしまった。茶番劇のような映画だが、こんなものを作る人が一人くらいいてもいいのではと思います。面白い話なのですが、映像のテンポが平坦…
「イエスタデイ」 テンポの良い軽いタッチのコメディで、心地よい笑いと感動を作っていく展開なのですがあと一歩物足りなかったのは、モチーフになったビートルズが偉大すぎたか、ビートルズの小ネタを見抜ききれていなかったかもしれません。主人公ジャック…
「レディ・マエストロ」 女性指揮者として成功したアントニア・ブリコの半生を描いた作品で、特に秀でたものはなく、丁寧に全てのエピソードを綴っていった感じでちょっと長い。監督はマリア・ペーテルス。 音楽ホールに勤める主人公ウィルが、今日のコンサ…
「空の青さを知る人よ」 日本のアニメーションの実力を見せつけられたような秀作。とっても良かった。アニメでしか表現できない描写を随所に盛り込んで、テンポいいストーリー展開で見せる。ラストの処理もうまい。いい映画でした。監督は長井龍雪。 あおい…
「真実」 評判が良くないので、期待していなかったけれど、静かな雰囲気がラストで生きてくる作品でした。監督は是枝正和。 大女優ファビエンヌが自伝本を発表することになろ、脚本家で娘のリュミエールが夫のハンク、娘のシャルロットを連れてやってくる。…
「アップグレード」 今ひとつ工夫の足りない映画でしたが、B級感満載のSF映画という感じで楽しめました。監督はリー・ワネル。 主人公グレイが車の修理をしている場面から映画が始まる。時は近未来で、妻のアシャはIT企業に勤め、全自動の車で帰宅する。グレ…
「今さら言えない小さな秘密」 ほとんど一人台詞で進んでいくので、ちょっとうんざりしかけたのですが、ラストの処理がとっても素敵だったので、救われた感じです。その意味でいい映画だった。監督はピエール・ゴドー。 主人公ラウルが全身に包帯を巻きベッ…
「金環蝕」 流石に面白いですね。石川達三原作ですが、キャストがそのまま海千山千というのもあり、見事な役作りで展開していく様はまさに魑魅魍魎の世界でした。監督は山本薩夫。 電力会社が九州に建設を決めた巨大ダムを巡って、その入札から汚職に至るま…
「蜜蜂と遠雷」 あまり期待していなかったのですが、少々映像説明がくどいところがあるものの、なかなかの佳作でした。ピアノコンテストのシーンだけでここまで見せられ、次第に引き込まれて行く自分を感じてしまいました。良かったです。監督は石川慶。 幼…