久しぶりに画面にのめり込んでみてしまいました。
ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー主演の「シンデレラマン」
アカデミー賞有力とのキャッチフレーズもまんざらうそではない迫真の物語はとにかく観客を圧倒します。
ボクシング映画は数あれど、近年の傑作でしょうか。昨年の「ミリオンダラーベイビー」も確かにボクシング映画ですが、人間ドラマに重点を集中したせいかやはりファイティングシーンの迫力に欠けるのは事実。
しかし、今日の「シンデレラマン」はとにかく、圧倒されるのです。確かに実話の映画化ですから登場する試合はすべて事実に基づいたものですが、それでも縦横に動き回るラッセル・クロウの動き、そして目を見張るのはその鋭い視線です。相手をい殺してしまうかと思わせるような鋭い目はまさに家族を守るために必死で戦う一人の父の姿なのです。
ヒーローになるためでも社会に尽くすためでもなく、ただひたすら愛する家族を飢えさせないために体を張って戦おうとするジムの姿はもう胸打たれてしまいます。
ボクシングシーンの迫力と相対するように描かれる家族の中の暖かい雰囲気、世界大恐慌のどん底の社会描写、そして追いつめられて物乞いに近い形でさえもお金を求めようと頭を下げて回るジムの姿。
ヒーロードラマではなく家族愛の暖かい物語なのです。とはいえ、ひもじい中に悲壮感が漂っているわけでもなく、家族それぞれが一人の父を取り囲むように励まし合って生きている姿はおそらく胸打たれない人はいないでしょう。
さらに脇を固める配役陣の見事なこと。
マネージャー役のポール・ジアマッティ、プロモーターのブルース・マッギル、どれもがラッセル・クロウの負けず劣らず作品の質を高めているのだからもうすごいといわざるを得ませんでした。
ファイティングシーンと家族のシーン、そして労働者があふれている大恐慌時代のアメリカのシーンこれらが実に絶妙のタイミングと流され挿入されて、それぞれが非常に好感度を持って丁寧に描かれているのでラストシーンまでどのシーンにも目が離せないし、物語が終わってもいつまでも余韻が胸を熱くするのです。エンドタイトルが長く感じられないほどいつまでも感動が胸に残る言い映画でした。
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