くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「初恋」

初恋

「府中三億円強奪事件」に題材を撮った中原みすず原作のラブストーリー。原作を先に読んでいて、ただもう、その物語に興味津々で映画が公開されるのを待ち望んでいました。

満を期して本日見ました。
第一印象。宮崎あおいの演技に感服。あれほど多才な表情が出来る女優さんと思いませんでした。ただのアイドル的な少女かと思っていたのですが、おそらくこの作品は彼女なくしてはあり得なかったでしょう。もちろん宮崎あおいが是非にと出演を望んだこともあって、熱演していたのかもしれませんが。

冒頭部、三億円を強奪した警官姿の女性がヘルメットを脱いで長い髪をはらりと下ろす場面のストップモーションから始まります。しかし、このシーンはクライマックスの強奪場面では再現されません。

そして、本編へ。何もかもが試行錯誤の時代。一見高度経済成長のまっただ中であるかのような雰囲気の町並みの中、やりきれない気持ちをはらんでいる一人の少女みすす(宮崎葵)がジャス喫茶”B”へ入ろうと迷う場面から始まります。その迷いの中でここへ至る経緯が手短につづられますが、原作で後半部分に挿入されている亮とみすずの関係や”B”に来る原因などの過去の部分がすべて語られます。このあたりは物語構成の上で脚本の練り上げとして仕方のないことでしょう。

本編に入ってからは宮崎あおいの演技がそこかしこに光ります。最初は険しい表情のままに仲間の中に座っている彼女が次第に普通の女子高生の顔立ちと仕草になっていくあたりはそのまま時間の経過を表現していていいですね。

あとは、ラスト近くまで原作通りに物語が進んでいきますが、若干の設定の変更が岸の過程の部分に描き込まれ、冒頭に男に襲われかけたみすずが警察署ででていく場面での刑事たちのセリフがラストに生きていないのは残念です。このセリフを生かすためには原作通り、岸が何故みすずに近づいたのか?その前提が必要なのですが、岸の設定を変えているので生きてこない。ここは非常に残念です。何故、岸がみすずを選んだのかが原作のテーマですが、映画ではみすずのほうにその重心を移しているので、こうした脚本になってしまったのでしょう。

全体のカメラワークは異常なほどにゆっくりで、それが重苦しいあの時代を端的に映し出しています。
エンディングはほぼ原作に近いのですが、ちょっと物足りなさもないではありません。でも良い映画でした。

「府中三億円強奪事件」に題材を撮った中原みすず原作のラブストーリー。原作を先に読んでいてただもう、その物語に興味津々で映画が公開されるのを待ち望んでいました。

満を期して本日見ました。
第一印象。宮崎あおいの演技に感服。あれほど多才な表情が出来る女優さんと思いませんでした。他だのアイドル的な少女かと思っていたのですが、おそらくこの作品は彼女なくしてはあり得なかったでしょう。もちろん宮崎あおいが是非にと出演を望んだこともあって、熱演していたのかもしれませんが。

冒頭部、三億円を強奪した警官姿の女性がヘルメットを脱いで長い髪をはらりと下ろす場面のストップモーションから始まります。しかし、このシーンはクライマックスの強奪場面では再現されません。

そして、本編へ。何もかもが試行錯誤の時代。一見高度経済成長のまっただ中であるかのような雰囲気の町並みの中、やりきれない気持ちをはらんでいる一人の少女みすす(宮崎葵)がジャス喫茶”B”へ入ろうと迷う場面から始まります。その迷いの中でここへ至る経緯が手短につづられますが、原作で後半部分に挿入されている亮とみすずの関係や”B”に来る原因などの過去の部分がすべて語られます。このあたりは物語構成の上で脚本の練り上げとして仕方のないことでしょう。

本編に入ってからは宮崎あおいの演技がそこかしこに光ります。最初は険しい表情のままに仲間の中に座っている彼女が次第に普通の女子高生の顔立ちと仕草になっていくあたりはそのまま時間の経過を表現していていいですね。

あとは、ラスト近くまで原作通りに物語が進んでいきますが、若干の設定の変更が岸の過程の部分に描き込まれ、冒頭に男に襲われかけたみすずが警察署ででていく場面での刑事たちのセリフがラストに生きていないのは残念です。このセリフを生かすためには原作通り、岸が何故みすずに近づいたのか?その前提が必要なのですが、岸の設定を変えているので生きてこない。ここは非常に残念です。何故、岸がみすずを選んだのかが原作のテーマですが、映画ではみすずのほうにその重心を移しているので、こうした脚本になってしまったのでしょう。

全体のカメラワークは異常なほどにゆっくりで、それが重苦しいあの時代を端的に映し出しています。
エンディングはほぼ原作に近いのですが、ちょっと物足りなさもないではありません。でも良い映画でした。