くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「十二人の死にたい子供たち」

「十二人の死にたい子供たち」

できのいい映画ではないけれど、好きです。こういう映画大好き。でも、死を弄んだかのようにしか見えないのと、肝心の原作のメッセージは表現されてなかった気がします。でもミステリーとして楽しめたし、大好きな杉咲花黒島結菜、橋本環奈共演で楽しかった。監督は堤幸彦

 

死体らしきものを引きずっているシーンから映画が始まり本編へ。廃病院に十二人の未成年の男女が集められる。まず、そこに入るに至るルールが説明されながら、次々と男女が廃病院に集まってくる。

 

集合場所の地下室にはベッドがあり、中央にテーブルがあり、一人がベッドで死んでいて、全員が座ったかに思えたところ、さらに一人来て十三人になる。主催者サトシが現れ、まず、すぐに死を実行するか、話し合いを知るかの決がとられるが、一人が反対をして、まずは話し合いでスタート。この辺りが「十二人の怒れる男」と同様の導入部となる。

 

ところが奥に死んでいる十三人目について、まず推理することになり、謎解きが物語の中心になる。あちこちに埋められた伏線を解いていく流れはなかなか見せてくれる。若手の芸達者が揃っているだけあって、全員がそれぞれキャラクターが立っている。演技力か、演出力かはともかく、見ていて飽きて来ない。

 

そして、一人が階段から突き落とされ、その謎を解くうちに次第に流れが見えてきて、実はベッドで死んでいるのは、メンバーの一人の兄であることがわかり、さらに、人気アイドルの参加も明らかになりながら、次第に、死に対するそれぞれの価値観、考え方の違いもさりげなく見えてくる。この辺りがもう少し際立っていたら傑作になりそうだったが、しつこいほどのスローモーションが鼻についてリズムを壊すのが残念。

 

そして、いよいよと準備が整ったところで、ベッドで死んでいるという人物が実は生きていることがわかり、全ての謎が明らかになる。そこで、このまま死を実行するかという提案が出され、結局全員反対し解散。メンバー全員、ゆっくりそれぞれの生活に帰っていく。最後にアンリが、主催者のサトシの問いかける。

 

「こういうことをするのは何度目?」

 

3度目と答えるサトシ。そして、死を実行する側となって今後も参加するというアンリと別れて映画は終わる。

 

ストーリー展開は完全に「十二人の怒れる男」である。際立った出来栄えの作品ではありませんが、やはり最初に黒島結菜扮するメイコが目立つあたり、常に存在感を見せる杉咲花のアンリが中心になりあたり、やはり演技の実力がものを言っている。それだけでも嬉しい一本で、テレビのスペシャルレベルの出来栄えとはいえ、楽しむことができました。

 

エンドクレジットで、全てを時系列で並べるダイジェストでエンディング。本当に楽しかったです。