くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「メリー・ポピンズ リターンズ」「MAKIマキ」「13回の新月のある年に」「第三世代」

メリー・ポピンズ リターンズ」

無難な仕上がりになっていて、それなりに楽しいのですが、ディズニーならではのラストのワクワクが今ひとつ物足りないです。導入部から前半は「メリー・ポピンズ」へのオマージュ的な絵作りで楽しめるけれど、後半がちょっと力不足に終わった。でもラストは、しんみり感動しましたけど。監督はロブ・マーシャル

 

メリー・ポピンズが帰ってから20年後、バンクス家の長男マイケルは、一年前に妻を亡くし寂しい日々を暮らしていた。ただ元気な三人の子供達と先代からいる家政婦に癒される毎日だったが、家のローンが払えず立ち退きを迫られていた。

 

しかし、祖父が残した銀行の株券があることがわかり、その株券を探そうと姉のジェーンと奔走し始める。そんな時、不思議な魔法使いメリー・ポピンズが、子供達が飛ばした凧を捕まえて、風に乗ってやってくる。

 

あとはミュージカル仕立てで、夢のようなシーンを次々と生み出すメリー・ポピンズと子供達、ランプをつけて回る男などが絡んでのファンタジーになる。

 

歌の数々はどれも素敵なのですが、これというキーになる曲が見当たらないのが残念だし、前半の懐かしい二次元アニメとの絡みは、ディズニーらしくて楽しいのですが、どこか無難な展開が続く。

 

後半に入り、メリー・ポピンズの魔法が影を潜めてしまうし、割れた陶器の行方は結局なおざりになったまま、凧に株券が貼り付けられているのを発見したマイケルらは期限の深夜12時、ビッグベンの鐘までに銀行へ行こうとするが、頭取はなんとか阻止してマイケルの家を手に入れようとしていた。

 

メリー・ポピンズやランプ点灯職人たちが協力して時計の針を五分送らせてごまかし、無事銀行へマイケルらはたどり着く。そして頭取の祖父も駆けつけて、ハッピーエンド。

 

全てうまく行ったことを確認してメリー・ポピンズは空に帰っていく。まぁ、無難な作りのファンタジーでしたが、それなりに楽しかったからいいとしましょう。

 

「MAKI マキ」

決して駄作ではないのですが、物語が暗くて、地味なので正直しんどい映画でした。監督はナグメ・シルハン。

 

ニューヨークで暮らすマキはミカという日本人女性のクラブで働いている。マキはクラブの男性トミーと恋人関係にあり、妊娠している。どう解決するか悩むが、どうやら全てミカが仕掛けたもので、子供の欲しい富裕者に養子に出すためにトミーに依頼して日本人女性をスカウト、妊娠させるように仕向けていたようだと終盤でわかる。

 

ミカの別荘で子供を産んだマキだが、どうしても手放せず、見張りの女性に睡眠薬を飲ませ、子供と一緒に脱出する。

 

子供と公園で遊ぶマキの姿で映画が終わるが、都会の暗部、母性の本質を描いたと言われればそうなのですが、今更というテーマでもある気がします。びっくりするほどクオリティが高いとも思えませんが、画面の構図などはしっかりしているし、作品としてはある程度のレベルに思いました。

 

「13回の新月のある年に」

一体ファスビンダーは気でも狂ってしまったのか?確かに語ろうとしている物語はあるが、物理的な空間が全く把握できない。と言ってシュールな塊でもないが、出てくる映像や台詞になにがしかの暗喩があるように思うのですが理解する間も無く終わってしまった。監督はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

 

主人公エルヴィラが、河岸の男娼たちがいるところで男を買おうとして、自分が性転換している姿を見られ殴られるところから映画が始まる。

 

エルヴィラはゲイではないが、かつて愛した男性アントンの一言で性転換して女性の姿になっている。この日一緒に住んでいたパートナーから見放され一人になった彼は、現代のアントンを探す。

 

一方で、かつて妻だったイレーネを訪ね、娘マリアンとも再会する。そして、裏社会の組織らしいボスのアントンとも再会、自分の家に行って食事することになる。

 

とまぁ、展開はこんな感じですが、意気消沈したエルヴィラの目の前で男が首を吊ったり、アントンの部下が訳のわからない合言葉をエルヴィラに要求したり、オープニングに屠殺工場の場面が延々と映されてエルヴィラのこれまでがナレーションされたりと、複雑怪奇である。

 

しかも、アントンの居場所とイレーネたちの家、エルヴィラの家の配置と距離感がよくわからないから、舞台劇なのかとさえ思ってしまう。つまり空間を描写する映像が全くないのです。

 

最後は、自宅でエルヴィラは自殺、マリアンが発見して映画が終わる。時に1978年と出るのだが、この意味が把握できなかった。

 

凡人の感性の一歩上をなぞるような映画で、さすがによくわからないが、要するに孤独に苛まれたエルヴィラの最後の五日間ということなのだそうである。

 

「第三世代」

金も物質も充実し、目的を失い未来も定まらなくなった混沌とした現代社会の犯罪者たちの闇雲な行動を描いたという感じで、物語自体が筋が通っているわけでもないし、ラストも唐突に終わる。まぁ、映像を感じればこれでいいのかという映画でした。監督はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

 

あるオフィス、一人の男ルーツが秘書らしい女に電話をするように言っているところから映画が始まる。当たり前のように写っているビデオや、眼下に都会を見下ろすオフィス。充足された現代社会の象徴の構図から始まり、六つの悲喜劇というテロップで、六つの話が展開し始める。

 

ヤク中の女、銀行強盗、犯罪の匂いが漂っているが、と言って彼らになんの目的も見えない。そんな展開が次々と続くので、人物名やストーリーを追っていると訳がわからなくなる。

 

ラスト、これまで出てきた胡散臭い男たちが冒頭のルーツという男を監禁拉致したとビデオを撮っているシーンでいきなり画面が切れて終わる。

 

メッセージはあるのだろうがほとんど伝わってこない。さすがに参りました。