くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パリに見出されたピアニスト」「宮本から君へ」

「パリに見出されたピアニスト」

映像リズムのセンスが抜群なのか、オープニングからラストまで一気に駆け抜ける勢いでテンポよく展開するストーリーが素晴らしい。しかも、背後にあるのはピアノのクラシック曲なのだから、これはもう感性がいいとしか言いようがありません。とってもいい映画でした。監督はルドビク・バーナード。

 

めまぐるしいパリの駅のシーンから幕を開け、パリの駅に設置されたピアノ。お好きな方は弾いてくださいという看板の前で主人公マチューが見事な演奏をしている。傍で、音楽院のディレクターピエールがじっと聞いている。

 

次の瞬間、警官がマチューを追いかけ始め、必死で逃げるのだが、このハイテンポなオープニングが実にうまい。そして、ピエールは再び見かけたマチューに声をかけ名刺を渡す。マチューは悪友と空き巣に入るのだが、ピアノを見つけたマチューはピアノに夢中になり、逮捕されてしまう。しかし、奉仕活動をすることで収監を免れ、ピエールの音楽院で掃除をすることになる。

 

この音楽院も経営が厳しくなり、突破口を探していた。ピエールはマチューの才能にかけることにし、ピアノコンクールに出すことを強引に決めてしまう。そして、ピアノ教師エリザベスの厳しい特訓が始まる。

 

ピエールの息子は15歳で白血病で死んでいて、その代わりであるかに見えたピエールの妻は、マチューにコンクール辞退をアドバイス、一時は諦めるマチューだが、たまたま、愛する弟が事故に遭い、かねてから兄のピアノの音色で癒されていたこともあり、コンクール参加を決意。

 

悪友たちの助力もあり会場へ駆けつけたマチューは見事演奏を終え大喝采を浴びる。そして6ヶ月後、ニューヨークの舞台に立つマチューがいた。

 

脇役の描き方もさりげなくスパイスになり、よくある展開を限りなく抑えた脚本の組み立てと、編集センスのうまさはなかなかのものです。一見、普通の物語のようで、しっかり映画として仕上げているのが良かった。

 

「宮本から君へ」

こういうバイタリティの塊みたいな映画は好きですね。演出が豪快だし若さにあふれています。真利子哲也監督、もっと映画を撮ればいいと思います。こういう映画を撮れる人がいなくなってしまった。

 

主人公宮本が血だらけで歩いてくるところから映画は始まる。前歯三本折られて、会社に行っても冷やかされてしまう。物語は彼がなぜこうなったかに遡りながら、現代の彼が恋人靖子と結婚してし子供ができるまでを描いていく。

 

靖子の部屋に招かれた宮本だが、そこへ靖子の元カレ裕二がやってくる。なんとか追い返した後、宮本は全力で靖子を守ると宣言、二人は恋人同士になる。

 

ある時、宮本は取引先の社長のラグビークラブに入ることになり、その歓迎会で靖子を紹介。ベロベロに酔った宮本たちをチームのリーダーの真淵は息子の拓馬を呼んで家まで送らせる。靖子は酔って寝てしまった宮本の横で琢磨にお茶を振舞って休ませるが、なんと拓馬は靖子を強姦する。

 

翌朝、事の次第を知った宮本は、拓馬に喧嘩で臨むが、明らかに体格のでかい拓馬に勝てるわけなく前歯を折られてしまう。一方、靖子は落ち込んでしまう。しかも妊娠が発覚、宮本か裕二の子供らしいと思われる。

 

そんな靖子に宮本は結婚を申し込むが無下にされ、宮本は再度拓馬に喧嘩をふっかけようとする。一方の真淵も息子が何かしたと感じ、問い詰めるも返り討ちにされる。

 

宮本は真淵から拓馬の居所を聞き、乗り込み、死に物狂いで拓馬に臨み、股間を潰して拓馬をやっつけてしまう。そして再度靖子の元へ行く宮本。

 

そして二人は結婚、この日、陣痛の始まった靖子は救急車へ。それを見送る宮本のカットで映画は終わる。

 

とにかく、どうしても勝てない自分の不甲斐なさに行き場のなくなる宮本の姿、そんな彼に引かれながらも強気を装う靖子の姿が鮮烈な純粋さがあって、目一杯の迫力で描く演出も素晴らしい。若々しさ溢れる映像を楽しめる一本でした。