くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」

「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」

1969年夏、ウッドストックが開催された時、160キロ離れた場所で行われた音楽フェスティバル「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」を捉えたドキュメンタリーで、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を取った作品。当時の黒人歌手の歌声のバイタリティに前半は引き込まれるのですが、ほとんど知らないミュージシャンと歌ばかりなので、後半しんどくなってきた。しかも、黒人差別をこうやって戦ってきた感がどんどん強くなってくると、ちょっと鼻についてきました。監督はアミール・“クエストラブ”・トンプソン。

 

1969年のフェスティバルの画面に、当時起こった数々の事件、特にマルコムXキング牧師の殺害事件などの報道を挟みながら、さらにケネディ襲撃から月面着陸まで、時代を映し出したニュースも交えてのミュージシャンのステージシーンはとにかく面白い。当時の観客やミュージシャンの今の姿のインタビューも交えた映像で進んでいくながれは、ドキュメンタリーであることを意識した映像作りですが、この時の撮影フィルムが五十年間表に出なかったことが語られるに及んで、次第に黒人差別と戦ってきたというメッセージがどんどん前面に出てくるので、後半は流石にしんどくなってしまいました。取り上げたテーマゆえに賞を取ったのではと思えなくもない作品でした。