くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「何故彼女等はそうなったか」「母を求める子ら」「キック・

kurawan2014-02-24

「何故彼女等はそうなったか」
松山市の不良少女達の更正施設を舞台に描かれる、いわゆる施設物と呼ばれる、清水宏監督作品に頻繁にでてくる題材の物語である。

メッセージ性がかなり強く、特に秀でた演出も見られない、普通の作品で、唯一ラストシーン、身売りせざるを得なかった施設をでた少女を、町で見かけた先生が、少女達をつれて、彼方に歩いて去っていくシーンのカメラワークが、清水宏らしいワーキングで美しい。

監督のメッセージが、ひたすらでてくる映像表現は、正直、かなりしつこく感じなくもないし、さすがに、時代性を感じてしまう。これも清水宏の個性といわせればそれもまた一本なのであろう。


「母の求める子ら」
堤防の道を、幼くして別れた子供を捜す主人公のあきが、向こうへ歩く姿を点景でとらえ、森の木々の間からカメラがゆっくりと横にパンする美しいファーストショットから映画が始まる。

かくらんぼをしているときに行方がわからないなり、その息子武夫を、あちこちの養育院を探し回るあき。ある養護院を訪れようとしたときに、バスの中で無賃乗車している子供を助けたことから、その子供の養護院につとめることになったあきが、その養護院で出会う様々な子供達の姿、そして、その行く末を物語がとらえていく。

清水宏得意の、横に移動するカメラのむこうに、点景で子供達が散らばるショットがさすがに美しいし、養護院の中をゆっくりと、動いていくカメラや、廊下を、奥行きあるカットでとらえる構図も美しい。

そして、クライマックス、ようやく見つかった子供にあうために行ってみると、その養護院で、子供は息を引き取ったばかりだった。一度は、打ちひしがれ、つとめていた養護院をやめようとするが、大勢の子供達の別れの声に、もう一度引き返して、みんなのお母さんになると言って、引き返してエンディング。

強引なハッピーエンドは、黄金期のアメリカ映画の如しだが、終盤は涙を誘うという、全体がしっかりとしたストーリーの組立になっている。

清水宏得意のカメラワークが秀逸な一本で、なかなかの作品でした。


キック・アス ジャスティス・フォーエバー」
少々、ぽっちゃりになったクロエ・グレース・モレッツだが、やっぱりかわいいし、なんと言ってもヒット・ガールがキュートなので、少々のグロテスクさも許せる。

監督が、第一作マシュー・ヴォーンからジェフ・ワドロウに変わったためか、第一作のムードを無理矢理作っている感が伺えなくもないけれど、原作コミックがあるのだから、それはそれでいいとしよう。ちょっと、いただけないのは、キック・アス(デイヴ)の父親が殺されたという下りは、いくら、グロとハードを売り物のシリーズとはいえ、やや、やりすぎた気がするし、かえって、全体のスピード感を鈍らせた気がする。

第一作でヒット・ガール(ミンディ)の父親が死ぬのは、あるべくしてある展開であるし許せるが、今回はよくない。

とはいっても、葬儀のシーンの後、ヒットガールとして復活したミンディが、車の上から撃ち殺すシーンから後のハイテンポなアクションは最高で、拍手したくなった。

悪の軍団を作ったクリスとの集団バトルがクライマクッスになり、ヒット・ガールはロシアからきた化け物みたいな女マザー・ロシアと戦う。

まぁ、第一作のミニシアター的なムードから一転して対策メジャー作品になったことによるスケールアップが、かえって、小品の切れの良さを犠牲にしたという出来映え。

でもでも、クロエ・グレース・モレッツの魅力が十分に楽しめるし、完璧な化粧をした彼女は、さすがにかわいい。

バトルの後、バイクに乗って町を去っていくヒット・ガールのシーンを俯瞰でとらえてエンディング。ぜんぜん退屈しないおもしろさは、善作同様、クロエ・グレース・モレッツがますます好きになってしまいました。