くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「リアリティのダンス」

kurawan2014-07-17

アレハンドロ・ホドロフスキー監督23年ぶりの新作、これは全く変態映画だった。

物語はサーカスのシーンに始まる。テンポのよい音楽、サイケデリックな色彩、そして登場するのが金髪の少年、ホドロフスキー監督の少年時代の姿である。

例によって、シュールな展開と、自由奔放に映し出す映像表現は、彼ならではのオリジナリティであるが、時々、監督自らが影となって少年の背後から語る。

オペラ歌手で、常に歌っているようにせりふをしゃべる母、やたら厳格で、どこかサディスティックな父、そして、ダイナマイトの事故で両手両足が無い男たちとの絡み、軍事政権下のチリの、独特のぎこちない町等々を背景に、美学というより、やりたい放題な映像と物語で、ホドロフスキーの少年時代がつづられる。

石を海に投げていると、突然津波となって襲いかかり、大量の魚を浜辺に打ち上げるシーンや、カモメの大群が襲いかかる場面、消防士の父に連れ添ってバラック建ての小屋の消火にいくシーン、麻酔をかけずに歯の治療をさせるシーン、母と戯れて、真っ黒に塗りたくるシーンなど、妙な画面を数え上げたらキリがない。

ストーリーにリズムもテンポもないためか、途中と、終盤にやたら眠くなってしまった。

ラストは、父親が船に乗り、彼方に消えていってエンディング。父の死のイメージかどうか不明だが、恐ろしくシュールな世界満載の一本だった。