くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」「白昼の襲

kurawan2018-06-12

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
もうちょっとぽんぽんと弾んで行くかと思いましたが、後半が普通の映画になっていきました。宣伝で何度も出てくる妻が死んだふりをするいろんなバージョンの面白さが、すぐに立ち消えになってドラマ部分に入ると、インパクトのある展開が少なく、ただの夫婦のあり方の話に収束して行くために、普通になってしまいました。監督は李闘士男

結婚3年目を迎えたじゅんとちえ。じゅんはバツイチで、ちえと結婚するときに、三年経ったらこのまま結婚を続けるか決めようと約束していた。そしてこの日が三年目で、じゅんが仕事を終えて家に帰ると、玄関でちえが血だらけで倒れていた。

慌てて電話をしようとしたところ、ちえが起き上がり、パフォーマンスだと告げる。それから毎日、じゅんが家に帰るとさまざまな趣向でちえが殺されていた。一体何を伝えたいのかわからないままに、ちえに付き合い始めるじゅん。

じゅんは会社の後輩佐野とちえの行動を相談したりする。そして佐野夫婦と食事に行ったりするうちにちえと佐野の妻由美子は仲良くなる。しかし、間も無くして佐野夫婦は離婚を決意する。結婚五年も経って子供ができないことに責任を感じ疲れてきた由美子は、限界が来ていた。

そんな時、ちえの父が倒れ、じゅんとちえはちえの実家に向かう。ちえの母がちえが五歳の時に亡くなり、父が落ち込んでいるのをみかねたちえは毎晩いろんなところに隠れて笑わせてくれたと父が話す。

父はとりあえず大事にならなかったが、じゅんは、ちえの気持ちがなんとなくわかった気持ちになり、かつてちえにプロポーズした公園へ。そして二人は愛を確かめ合って、これからも夫婦でいこうと話す。そしてなんで死んだふりをしていたのか聞くが、その答えに音声はない。

元の生活に戻り、ちえがパート先にクリーニング店から帰るとじゅんが血を流して倒れている。すぐに起き上がるが、冷たく対応するちえのカットでエンディング。

導入部がいかにも楽しい笑いに満ちているので、その後の処理がよほどでないと失速すると思いましたが、予想通りという感じでした。榮倉奈々は可愛い奥さんを演じていて素敵ですし、それだけで十分元が取れる映画ですが、もっとドラマ部分も見せることもできたかもしれません。


「白昼の襲撃」
全盛期の日野皓正のトランペットに乗せて描かれる青春ヤクザアクション。
ほとばしるギラギラした物が異様な躍動感を生み出す展開が、荒けづりながらあふれ出てくる映像がたまりません。ただ、後半は勢いがやけくそに走り始めてエンディング。監督は西村?。

トラックの運転手をしている主人公修は街で一人の女ユリ子を見初め彼女の勤める店へ。そこで弟分の左知夫と再会し、三人でやりたい放題を始める。左知夫は友人のジョニーから拳銃を手に入れ、修がそれを持ち、それで強い気になりあそびほうけが、たまたま出会った生意気な学生を撃ち殺してしまう。逃げる途中ヤクザの鳴海に助けられ、鳴海の経営するクラブで働くことに。

鳴海の組のボスが出所する日、組のトップを狙う林からボスを撃ち殺すように依頼された鳴海は、逆に林を撃ち、ボスを助ける。

こうしてボスの元で修もユリ子も左知夫もジョニーも働き始めるが、ボスは鳴海を裏切り者として始末する。一方警察に手が回り始めた修たちは、金を持って逃げることを計画、ボスの組の金を奪いそのままジョニーの船で逃げようとしたところ、港で警察と銃撃になり、皆撃ち殺されてしまいエンディング。ユリ子だけが残される。

突っ走るような荒っぽい脚本で、完全なB急東方アクションだが、やけくそか若さか、荒削りかその荒っぽさが見応えの一本でした。


「極道ペテン師」
とにかく混沌としたまとまりのない物語に翻弄される映画でした。原作がありとはいえ全く物語が整理されていない作品で、それゆえ珍品なのかもしれません。万博開催間も無くの大阪の景色がちらほらみられるノスタルジーが見どころでした。監督は千野皓司。

大阪南で、詐欺を働く集団が、お寺の土地を騙し盗ろうとする計画に奔走するところから映画が始まりますが、そのあと、次々と描かれて行くエピソードが羅列の連続で、時に、戦後の悲劇を主人公に語らせたり、突然出てきた子供は不発弾の爆発に巻き込まれて死んでしまうし、時の大臣を騙った詐欺を働くし、役所の怠慢に大暴れするし、一体なんなのだという流れで行き場もなく過ぎていく。

ラストも主人公が戦後の不満を絶叫しながら軽飛行機で飛び去って映画が終わる。
で、なんだったのという感じの映画でした。