くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「激動の昭和史 沖縄決戦」

「激動の昭和史 沖縄決戦」

第二次大戦末期の沖縄の悲劇の戦場を、派遣された日本軍司令官の姿を中心に各地の惨劇を描いて行くドラマで、次々と記録されている様々な出来事が羅列的に描かれて行く。終盤、誰も彼もが死に向かって行くという作劇はかなり意図されているとはいえ、戦争の無意味さを切々と訴えかけてくる脚本はなかなかの仕上がり。オールスター大作という戦争史映画だった。監督は岡本喜八。

 

ミッドウェイ海戦で大敗した日本軍は、次々と南方諸島を失い、アメリカ軍の攻撃目標を測れないほどに混乱を極めて行く。大本営は、沖縄を、本土防衛の第一線として、大軍を派遣する。その指揮を取って司令官として赴任したのが、陸軍学校校長だった牛島だった。彼の側近になったのが豪傑型の参謀長長少将、秀才で合理主義者の八原大佐だった。

 

大本営は沖縄に航空基地を建設するよう要請してきたが、牛島らは洞窟陣地による決戦が妥当だと判断する。しかし大本営は航空参謀を派遣してくる。そして強引に飛行場建設を進めようとするが、アメリカ軍は沖縄戦略をその作戦の中心に据え、圧倒的な軍事力で建設途上の空港を破壊して迫ってくる。そこへ大本営から、精鋭部隊の第九師団を台湾へ転属させよという命令が降る。沖縄知事も本土へ行ったきり戻って来ず、新たに島田知事が派遣される。

 

防衛招集により、沖縄県民が陸軍二等兵として徴兵され、師範女子部は特殊看護婦として従軍する事になる。召集された兵士たちは、斬り込み隊となって、敵陣へ突入する任務を与えられ、転属途中沖縄に立ち寄った航空隊もそのまま特攻隊となって海上のアメリカ艦船へ突入していった。次々と沖縄各地がアメリカ軍によって攻撃占領されて行くにつけ、大本営は大和出撃命令を下す。

 

結局大本営は、沖縄戦はこれ以上の兵力増強は無意味だと中止とし、本土決戦に向けて作戦を変更させて行く。牛島らも、次々と師団を失い、従軍看護婦達、洞窟病院に収容された兵士たちも青酸カリで自害し、洞窟から外に出た兵士たちもアメリカ軍によって殺されて行く。牛島と長は自決を決意し、八原大佐は、牛島の指示で脱出させ、牛島と長は、アメリカ兵が迫る中割腹する。

 

死体が所狭しと海岸、山谷に散らばり、島民の三分の一がこの戦闘で亡くなったことがテロップに流れる。こうして悲劇の沖縄戦が終わりを迎えて映画は終わる。

 

終盤、幼い子供のショット、足だけの赤ん坊を持って歩く母親、八原大佐のクローズアップなど、一気に戦争の虚しさが画面で語られ、何を得るものもない戦争の馬鹿馬鹿しさを前面に押し出すラストは秀逸。こういう映画は定期的に制作し、見直すべきだと思う一本だった。