「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」
長い話の一部分だけ映画で作り、また配信ドラマで続きを作るという、観客をばかにしたような作品だった。演出のキレも脚本の組み立ても適当で、マンガチックな仰々しいメイクと、劇画チックな動作の数々、それでいて、なんのサスペンスも、アクションの秀逸さもない。駄作の極みの映画だった。監督は片桐健滋。
これまでの物語を簡単に紹介した後、網走監獄に収監されているというのっぺら坊がアシリパの父かどうかを確かめに、そしてアリシパに会わせれば金塊のありかを聞き出せると考え、網走監獄に向かうというのが本編。いきなり揃った登場人物は映画の前作から続いたWOWWOWの配信を見てなければ全くわからないままに、とりあえず、物語を追って行く。
網走監獄の仕組みや突入のサスペンスも適当で、突入した杉元らは、土方の知合いの看守門倉の導きでのっぺら坊の房にやって来るが、居たのは偽物で、そこへ第七師団の鶴見中尉らも襲いかかってきて、刑務所所長らが迎え撃つ。全ての囚人を解放して第七師団と大乱闘が始まる中、所長は、のっぺら坊がいる本当の場所、教誡堂へ向かう。それを見越していた土方らは、所長の後をつけて教誨堂へやって来る。
迎え撃つ所長と土方が死闘を繰り広げる中、のっぺら坊は単身逃げ出すが、そこへ杉元が遭遇して、アシリパの父親であることを屋根の上から双眼鏡でのっぺら坊を見つけたアシリパが確認する。しかしのっぺら坊は杉元に、アイヌを殺したのは自分ではないと告白する。直後スナイパー尾形によって撃ち殺される。杉元も撃たれ倒れるが、救出される。アシリパたちは樺太へ向かい、杉元らも第七師団と一緒に樺太へ向かって映画は終わる。
なんとも雑な映画で、映画作品として作る気は全くない感じの一本だった
「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」
クソみたいな男女の目まぐるしく展開する物語に翻弄されながらも、ラスト、何もかも一生懸命だった主人公たちの姿が垣間見られて、不思議と気持ち良くエンディングを迎える。とにかくティモシー・シャラメの熱演に拍手したくなる一本だった。監督はジョシュ・サフディ。
伯父の靴屋で働くマーティの姿から映画は幕を開ける。手際良く客裁きをする彼の前に、先日、店に来たという女性レイチェルが現れる。マーティは彼女を店の奥に連れて行くが実は二人は恋人同士で、早速抱き合い始める。そして、精子が卵子に向かう映像をバックにタイトル画面が流れる。
マーティは、卓球選手で、ロンドンで行われる世界選手権に出場する為の金を貯めていたが、伯父が給料を払ってくれないので、同僚のロイドを脅して金庫から金を持ち出しロンドンへ向かう。ロンドンに着いたマーティだが、ホテルが三流だと大会理事のセシに詰め寄り、勝手にリッツに泊まって、贅沢三昧をする。そこで、元大女優のケイ・ストーンと知り合う。
強引にケイに迫るマーティだが、全く相手にされない。それでも執拗に接触して来るマーティに興味を持ったケイは下着の上にコートを着ただけでマーティの部屋を訪ね抱き合う。ケイの夫は実業家にロックウェルだった。マーティはロックウェルにも近づき、スポンサーになってもらおうとするが、最初は相手にされなかった。
ロンドンの大会での決勝戦、日本のエンドーに負けたマーティだが、その奮戦を見ていたロックウェルは、彼にある提案をする。次の東京大会の本線前にエンドーと試合をし、ヤラセで負けるイベントをやりたいという。ロックウェルの会社はボールペンなどを扱い、アジアでの卓球人気にあやかってアジア進出を考えたのだ。しかし、マーティはそれを断る。
ニューヨークに戻ったマーティだが、レイチェルはマーティとの子供を妊娠していて八ヶ月だった。マーティは泊まる所も見つからない有り様で、タクシー運転手をしている友人ウォーリーと安ホテルに泊まった物の、バスタブの床が抜けて落下してしまう。落下した部屋にいたのはモーゼスという犬を連れた老人だった。老人は、自分も負傷してしまったが怪我をした犬を獣医に見せて欲しいとカバンから大金をマーティに託す。
マーティとウォーリーは、それを元手に、ボーリング場で掛け卓球をして金を作る。しかし、それがバレて、カモられた若者たちが襲って来る。なんとか逃げ果せたもののモーゼスは行方不明になり、さらにリッツホテルから賠償金が請求されて来る。そして協会から選手権出場も拒否されてしまう。マーティは賠償金と東京大会への旅費のために1500ドルが必要になる。レオチェルは、夫が暴力的で、マーティのところへ逃げて来る。
マーティらは、モーゼスを探し出して老人に引き渡せば金が手に入ると考え、あの夜、モーゼスとはぐれたあたりで一軒の家にモーゼスがいることを突き止めるが、その家の主人は犬を渡そうとせず銃で脅して追い返してしまう。そこで、レイチェルは知り合いのブリーダーに頼んでモーゼスに似た犬を老人に見せて金をもらおうと計画する。しかしそれがバレ、老人はモーゼスが囚われている家に老人らを案内することになる。
老人がその家に近づくと、突然発砲されて銃撃戦となり、老人も家の男も死んでしまい、レイチェルも大怪我を負う。老人のポケットから金を取ったマーティは、レイチェルを病院へ搬送する。そんな時、マーティはケイと再会する。マーティは窮状を訴えて、哀れみを受けて抱き合い、その際ケイが首にかけているネックレスを手に入れるが、まがい物の安物だった。後日、ケイの舞台の後のパーティにやって来たマーティはケイの部屋を尋ね、窮状を訴える。ケイは、夫からもらった高額なネックレスを与えると、マーティは嬉しくて公園でケイと抱き合おうとする。そこへ警官が現れ、あわや逮捕されるところ、ネックレスを賄賂にしてその場を切り抜ける。
ケイが別のネックレスをとって来るとパーティ会場へ戻るが、マーティがいつまで待っても出てこないので、会場へ入ると、ケイは部屋に監禁され泣いていた。マーティはロックウェルのところへ行き、なんでもするから資金を出して欲しいと懇願する。ロックウェルはマーティにズボンを脱ぐように命令し、卓球のラケットで尻を殴ることでマーティの望みを受け入れてやる。
やがて日本にやってきたマーティは、イベント会場でエンドーと対戦する。しかし、その直前、会場にいたセシから、マーティの卓球選手権出場は叶わないことを知らされる。それでも、マーティはエンドーと試合をし、ロックウェルの計画通り負ける。負けたら豚とキスをしなければならいないと決まっていたが、マーティは、真剣勝負をしたいと持ち出す。ロックウェルは怒り、帰りの飛行機にも乗せないと告げる。
マーティとエンドーの試合が始まり、接戦の末、マーティが勝利する。帰りはアメリカ軍の飛行機に乗せてもらいニューヨークに戻ったマーティは、産婦人科にいるレイチェルの元を訪れる。そこで、生まれたばかりの子供と対面して映画は幕を閉じる。
目まぐるしく展開するストーリーですが、マーティががむしゃらに日々を生き抜いて行く様は、いけ好かない人物に見えるが、必死に生きるとはこういうことかもしれないと気づかされてしまう。とにかく、ティモシー・シャラメの熱演に終始引っ張られる映画だった。

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