くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「カリギュラ」(究極版)

カリギュラ」(究極版)

1980年公開作を90時間以上の素材を再編集し、当初描かんとした作品に近い形で仕上げた究極版を初公開以来の再見。壮大な舞台劇を見せつけられる恐ろしいほどのカルトムービー。初公開時は約二時間半ほどだったが今回の再編で約三時間の超大作となった。正直、ひたすら酒池肉林のかぎりを描きながら、ほぼ真正面の平坦なセットで繰り広げられる暴君カリギュラの姿は終盤に至っては少々飽きてくる。前半部の赤を基調にした色彩演出が、ドルシラ亡き後の後半、白を基調にした演出に転換、などなど、豪華絢爛なのはわかるが、それ以上に物語に大きなうねりもなく、ほとんどフルショットで全体を捉えていくだけの画面作りもあまりに平坦で、何もかもが長く感じてしまう。それでも唯一無二の一本と呼べる作品というのは納得できた。監督はティント・ブラス、ジャンカルロ・ルイ。

 

カリギュラが、恋人で妹のドルシラと抱き合っているベッドシーンから映画は幕を開ける。父で皇帝のティベリウスが呼んでいるというのでカリギュラが父の元へ行くが、今やティベリウスは半ば狂っていて、酒池肉林のかぎりを尽くした宮廷内で異常な行動を繰り返していた。それを憂いた元元老院の長老ネルバは自ら命を断つ。

 

間も無くして病魔に冒されていたティベリウスは死の床につく。駆けつけたカリギュラは人払いをして、死んだかに見えるティベリウスから皇帝の称号の指輪を抜き取るが、折下ティベリウスは息を吹き返す。一旦は殺そうとするが躊躇っていると親衛隊長のマクロがティベリウスを絞め殺す。しかし、その様子を弟が見ていた。

 

マクロの行動で皇帝についたカリギュラだが、マクロをティベリウス殺害の容疑で逮捕させ、地面に埋めて巨大な芝刈り機で首を落とす処刑ゲームの餌食にしてしまう。ドルシラをひたすら愛するカリギュラだったが、ドルシラの勧めでカエソニアを妻に迎えることにする。こうしてカリギュラ、ドルシラ、カエソニアの三人の不思議な生活が始まるが、カリギュラの奇行は止まりところを知らず、弟さえも処刑してしまう。

 

自身も熱病に冒されて、死を目前にしたものの、家来は自身の命を捧げるという祈りの言葉を真に受けて処刑したら奇跡的に回復してしまう。やがてカエソニアは妊娠し女児を出産するが、間も無くしてドルシラが熱病にかかり命を失ってしまう。悲嘆に暮れるカリギュラの姿で暗転、前半が終わる。後半に入ると、画面は白を基調にし、ドルシラの喪に服すために国中に規制を敷いていた。宮殿の中に売春宿を作り、元老院の妻達に売春を強要、さらに、仮装して庶民の中に紛れてカリギュラは行方をくらましてしまう。

 

大男の奴隷を従えて宮殿に戻ったカリギュラは、さらに奇行をエスカレートしていくが、たまりかねた親衛隊長のカエレアは、宮殿に入る合言葉をふざけて答えないカリギュラを容赦なく斬り捨てる。さらにカエソニア、その子供、側近らも斬り殺し、傭兵達は寄ってたかってカリギュラに槍を突き刺していく。そして、後継に叔父のクラウディウスを擁立するが、彼は知的障害だった。こうして四年間のカリギュラの悪政は終了したものの帝国の腐敗は続き映画は終わっていく。

 

権力を得ることは腐敗につながるというメッセージを前面に押し出したカルト超大作。おそらく二度と作れない作品だと思うが、なんとも壮大な映画だった。