2013-01-01から1年間の記事一覧
夜の銀座のショット、軽いタッチの森重久弥の語り口から映画が始まる。夜景をバックにタイトルバックから夜明け、新田銀座の景色と夜明け。田圃に群れる蛙のシーンから、朝方の肥たんごを担ぐお百姓さんのシーンを挟んでコミカルに物語が幕を開ける。まさに…
「ホワイトハウス・ダウン」 まるで「ダイ・ハードのような作りであるが、非常におもしろい。アクション映画としてはということで、導入部の延々と見せるホワイトハウスの描写は今更ながらしつこい。ただ、人物描写がしっかりできていないために、乗っ取った…
「タイピスト!」 ポップでカラフルなイラストのタイトルバックが終わると、フランスの田舎町、雑貨店においてある一台のタイプライターが画面中央に映し出される。そのタイプライターをこの店の娘ローズがおもむろに取り上げ、一本指でキーを打ち始める。こ…
丁寧に演出された、レベルの高い自主映画というイメージの作品。霞のかかったような映像で、戦時中から、戦後すぐまでのもやに包まれたような物語を描き出していく。原作が坂口安吾なので、どこか退廃的なムードがないわけではないが、監督が目指そうとした…
超怒級の予算を放り込んで作った、B級SFエンターテインメント映画という感じの超大作。とにかく、始まりから一気に怒涛の怪獣対ロボットのバトル戦に遭遇する。そして、一段落つくまで、画面いっぱいに繰り広げられる格闘戦は、かつて見た「ウルトラマン…
「もうひとつの世界」 悪い人間ではないが、どこか不器用で、中年にさしかかり、体調にことのほか神経質なエルネスト。彼はクリーニング店を経営するが、従業員の名前も把握していない無頓着な男性。大きなめがねをかけて、いかにもうだつの上がらない風体の…
”経営学入門”より「ネオン太平記」 小沢昭一扮する益本がアルサロオアシスのホステス、店員の前で朝の訓辞をしているシーンから映画が始まる。今村昌平が脚本に参加しているだけあって、全体のムードが妙にぎらぎらして、暑苦しい。そのコテコテ感がバイタリ…
「オーガストウォーズ」 ロシア軍が全面協力したというスペクタクル映画で、チラシなどではまるで「パシフィック・リム」みたいな巨大ロボットがでそうなイメージの宣伝なので見に行ったが、なんと、ロボットや特撮の場面は主人公の少年チョーマが空想するだ…
ここまでおバカな映画を堂々と作って、堂々と公開するアメリカという国の、心の広さというか、奥深さというか、異常さということに拍手したい一本。決して、ブラックでも風刺でもない、笑うに笑えないギャグの連続を、ハリウッドの今をときめく男優、女優た…
「トゥ・ザ・ワンダー」 流麗なカメラワークと、目の覚めるような映像美で見せるテレンス・マリックの映像詩である。お世辞にもおもしろかったとはいえない作品ではあるが、美しい構図と画面の数々に魅せられてしまうのだから、さすがにすごいと思う。主人公…
「ニューヨーク、恋人たちの2日間」 とってもハートフルなラブコメディの秀作。ジュリー・デルピー監督の映像センスの良さに終始楽しいひとときを過ごすことができました。昨年みた「スカイラブ」の監督作品で、「パリ、恋人たちの2日間」の続編ということ…
「アイアン・フィスト」 俳優のRZAがクエンティン・タランティーノのサポートによって制作したカンフーアクション。というふれこみであるが、主演のブラックスミス、つまり鍛冶屋が両腕を切断されてアイアン・フィストとなって復讐に立ち上がるという下り…
「最後のマイ・ウェイ」 期待していなかったが、ものすごくよかった。 特に、カメラが抜群に美しい。画面の中の色の配置も実に品がよくて美しい。全体のトーンも決してきらびやかにもサイケデリックにもならない。デジタルカメラの特性を最大限に使ったカメ…
「特急にっぽん」 東京から大阪まで走る特急こだまの車内を舞台にして展開するどたばた喜劇。物語の中心は食堂車のコック喜一とウェイトレスサヨ子のラブストーリーであるが、群像劇のように、スリの男たち、いかがわしい女、ガムの会社の女好きの社長、見合…
かなたに延びるハイウェイ。周りには何もない。そこへ一台の車が走ってくる。アニメチックなクレジットとメインタイトルが軽い音楽と共に流れる。この映画のオープニングである。このどこかシュールなテンポの導入部で、この作品の全体を見事に描写するから…
「熱波」 一人の探検家らしい男が現地人をつれてジャングルを歩いている。そして、川の畔にきた男は鰐に自分の身を任せるべく現地人に別れを告げて、手を振る。この作品はこの映像から始まる。監督はポルトガルのミゲル・ゴメスという人である。モノクロスタ…
「31年目の夫婦げんか」 デビッド・フランケルいう監督は「プラダをきた悪魔」でもそうでしたが、音楽に映像を乗せていく手腕が実にうまい。この作品でも、センスの良い曲に次のシーンが覆い被さっていって、メロディが次のシーンを予感させるという演出を…
「SHORT PEACE」 大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメの四人が競作するアニメである。 オープニングは森本晃司監督。 一人の少女がかくれんぼの鬼になって神社の鳥居の前に座っている。目を開けると鳥居は近未来の建物になりその中に入っ…
「ベルリンファイル」 細かいカットをつなぎあわせていくアクションシーンの緊張感は半端ではない出来映え、そのおもしろさに酔いしれているだけなら傑作かもしれないが、いかんせんストーリーテリングのリズムがなっていないために、観客が物語を追いかけて…
「冒険者たち」 20年ぶりで見直した大好きな映画。いうまでもなく名匠ロベール・アンリコ監督の名作である。改めて見直したのですが、これほどまでにテンポがいい映画とは思いませんでした。映像がフランソワ・ド・ルーベの名曲にのって、みずみずしいほど…
「爆心 長崎の空」 この手の映画は作品の出来不出来とかを云々言うべきではない。忘れてはならない出来事を後世に残すべき為の映画であるからである。とはいうものの、原作があるとはいえ内にこもりすぎた感がしないわけではない。もう少し解放した映像、演…
「ロマン・ポランスキー初めての告白」 「私の墓に入れてほしいフィルムは「戦場のピアニスト」です」というせりふで締めくくられるドキュメンタリーである。チューリッヒ映画祭出席のため出向いたスイスで拘束され、自宅軟禁された時期にインタビューされた…
地に足が着いた感じの日本映画の秀作。とってもいい映画、18歳から46歳まで演じた岸恵子乃演技が光る名編でした。 それに、船場言葉と呼ばれる大阪弁が実に自然で美しい。今やこれだけの大阪弁を語れる俳優さんはいないだろうと思えるほどに、誰もが本当…
「明日は月給日」 シーンとシーン、せりふとせりふがオーバーラップして軽快なテンポで物語が進むという、まさに川島雄三の語りの世界を満喫させる一本、とっても楽しかった。お金が機械で読まれている。カメラが引くと一人の銀行員古垣が札を数えている。そ…
現在日本で見られる小津安二郎監督作品のコンプリートスクリーン上映、最後の一本は「小早川家の秋」、ついに完走。 30数年ぶりで見直した小津安二郎監督の晩年の一本。東宝でメガホンを撮った作品で、当時の東宝松竹の看板俳優が目白押しに出ているオール…
「偽りの人生」 可もなく不可もないふつうのサスペンス映画でした。というか、サスペンスよりも人間ドラマとしてふつうの作品でした。監督はアナ・ピーターバーグという人です。真っ暗な画面に蜂の羽音、画面が開くと蜜の採取をしている男女。一人はペドロ、…
「じんじん」 俳優の大地康夫が北海道の剣淵市で出会った絵本の里運動の物語を題材に描いた感動のドラマである。いわゆる地方振興ドラマの一本だが、先日の「渾身」のように、優れた作品も時にあるので、期待はないとはいえ、ちょうど時間がはまったので見に…
「彼岸花」 小津安二郎初のカラー作品で、ドイツのアグファカラーと呼ばれる落ち着いた色彩の発色により描かれた作品で、カラーを初めて意識した小津安二郎の画面づくりが随所に見ることができる。主人公平山の家の廊下からローアングルでとらえるカメラの右…
「秋日和」 これはまさに名品と呼ばれる一本。唯一無二の名作である。物語は実にシンプルだが、恐ろしいほどに計算され尽くされた細かい演出が随所に見られる上に、ストーリー展開のリズムが絶品なのである。こんな、さりげないドラマがなぜこれほどまでに笑…
「青春の夢いまいづこ」 学生時代を描いたサイレント映画である。 主人公になるのが堀木商事の社長の一人息子の哲夫。友人の三人の学友と彼らのマドンナになる学校の向かいの洋食屋の娘お繁とのたわいのない物語であるが、屈託のない展開がサイレント時代の…