2015-01-01から1年間の記事一覧
ラストシーンにもう一工夫あれば、そこそこの秀作に仕上がっていたと思う。その意味であと一歩という残念さが残る作品でした。監督はペペ・ダンカート。雪景色の中、朽ちた船の残骸に隠れて一人の少年スルリックが眠っているシーンから映画が始まる。近くの…
「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」 とっても切ないポップミュージカル。特に派手さはないけれど、イングランドの映画らしい、透明感のある雰囲気がとってもいい。監督はスチュアート・マードックというバンドマンのフロントマンである。16ミリフィルムを挿入し…
「東京おにぎり娘」 楽しい人情ドラマの秀作、どうして、今こういう映画が作れなくなったのだろう。軽いタッチのストーリー展開と、軽い会話劇の妙味、心のしんみり染み渡る人のぬくもり。本当に楽しかった。監督は田中重雄。映画は、主人公の若尾文子のナレ…
「心の日月」 軽いタッチのすれ違いドラマで、たわいのない作品なのですが、所々に挿入されるちょっとしたシーンが、結構おしゃれで楽しい作品でした。何と言っても、主演の若尾文子が抜群にキュートで可愛らしいのです。 監督は木村恵吾です。岡山から東京…
先日見た「日本のいちばん長い日」とほぼ同時期の、東京のとある一軒の家の物語という感じで、かなり興味津々で見ることはできました。映画は、雨の日の夜、庭に掘った防空壕が水浸しになるところから始まります。 母と二人で生活する主人公の里子は、近くの…
「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督版) 岡本喜八版の旧作を見た直後なので、比較するなという方が無理というものであるが、これはこれで、いい映画でした。旧作出演の役者の顔ぶれともちろん遜色はありますが、それでも、決して引けを取らないほどに、し…
「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」 シリーズも5作目になったが、今回は普通のアクション映画という感じに仕上がった。 おもしろくないわけではないが、これといってメリハリもない見せ場の連続で、ストーリー構成の妙味もない一本。監督はク…
「妻二人」 増村保造監督の真骨頂に近い傑作。前半から後半にかけて見る見る物語が深みを帯びてきて、ストーリーの根幹、人間ドラマの神髄に迫ってくる演出は絶品。もう目を離せないほどに引き込まれてしまいました。作家の卵の青年が、たまたま知り合った出…
今更という感じである。お話の展開はこれまでのシリーズとなんのかわりもない。というか、20年もたって、同じテーマパークを作ったのに、セキュリティの進歩がぜんぜんないのってどうなのということである。遺伝子操作で作られた新種の恐竜が、その知能で…
「ラブ&マーシー終わらないメロディー」 ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描いた作品である。ポール・ダノが若き日を、ジョン・キューザックが80年代の彼を演じた二人一役で、交互に年代をつづっていく。1980年代、すでにザ・ビ…
「雪の喪章」 話の展開が非常にスピーディーな作品で、悪くいえば荒っぽいほど豪快である。監督は三隅研次である。物語は、金沢の金珀問屋を舞台に、昭和の初期、先代の社長の法事から物語が始まる。結婚したばかりの主人公が、女癖の悪い夫や、自分に思いを…
「ボヴァリー夫人とパン屋」 滑稽な映画である。脚本も一貫性がない。コミカルなファンタジーで貫き通すには、妙なところでリアルに走ろうとする空気がある。確かにおもしろいはずなのですが、結局、「ボヴァリー夫人」オタクのおっさんが、自分の妄想に向か…
スクリーンで見たのは何十年ぶりだろうか? 初めて見たときは、見終わって涙が止まらずに立ち上がれなかった。そんな印象だけを抱いてきた映画をスクリーンで見ることができた。すでにトーキー映画が撮影されていたときに、あえてサイレントで作った、いわば…
「共犯」 不思議なくらいに整理足りない映画でした。おもしろい?ような伏線と二転三転が見えるような気がするのですが、ちゃんと組み立て切れていないのか、書いているうちに、思いついた展開に翻弄されていったのか、どうも不思議な感覚で楽しんだ映画でし…
「初春狸御殿」 こういう映画の作り方がある。徹底的にエンターテインメントに徹し、豪華絢爛というセットの数々と、次々と衣装替えする大スターの魅力。歌い踊り、ストーリーより、楽しんでもらうことを第一にした本当の娯楽映画を見た感じでした。すばらし…
「フレンチアルプスで起きたこと」 不思議な空気が漂う映画です。セオリー通りに展開するかと思うと、はぐらかすように、さらに淡々と流れる。そしてまた、先に展開するかと思うとはぐらかされる。この不可思議な感覚が、映画になる。現実的で現実的ではない…
吉本ばななの原作を映画化した作品で、原作の味ゆえか、ほのぼのした落ち着いた作品である。監督は豊島圭介。主人公まりが都会のネオンにたたずむショットから一転して、ふるさとの土肥の町にもどってくる。幼なじみとふざけあい、この寂れた港町でかき氷屋…
正直な感想、退屈な映画だった。 四隅の角をとったスタンダード画面という変形はともかく、デジタルのカメラが非常に薄っぺらい画面を作り出している。そこで展開する物語は、ストーリーと呼ぶものか、シュールな映像世界と呼ぶべきか、取り留めもない展開が…
「インサイド・ヘッド」 それほど期待もしていなかったけれど、まあその程度だったかな。ジョン・ラセターが監督ではないからかどうかは別としても、今一つ、のめり込めないディズニー映画だった。ディズニー映画ってもっと夢のあるものだったのになと思って…
「安珍と清姫」 いうまでもない、有名な娘道成寺の物語であるが、西岡義信の美術の美しさと島耕二監督の丁寧な演出、市川雷蔵と若尾文子主演で、 絵のように美しい立派な大人の恋物語として完成されている。物語は今更であるが、清姫が馬で駆けているシーン…
「日本のいちばん長い日」(岡本喜八監督版) 圧倒される。2時間40分があっという間に終わってしまった。まるで、終戦のその日に立ち止まっているような臨場感と緊迫感、そして、サスペンスフルなストーリー展開、迫真の登場人物の迫力、鬼気迫るリアリテ…
「アフリカの女王」 典型的なアメリカン娯楽映画で、シンプルで、まっすぐなストーリーに、絶妙の会話劇と、男臭いドラマを盛り込んで、軽いタッチで仕上げていく。監督はジョン・ヒューストン。午前10時の映画祭でみることができた。終始、主人公チャーリ…
TVシリーズの映画版、しかもほとんど期待薄なので、北川景子と松たか子を見に行っただけの映画です。 ストーリーも、展開も、TV版のスペシャルレベルで、なんのこともない。まぁ、監督が鈴木雅之だから、あの程度で楽しめたからいいかな。映画は、ネウスト…
古き良き日本の風情がにじみ出てくるような人情ドラマでした。監督は木村恵吾。東京築地の仲買人の店を舞台に、恋と親子の物語が、今となっては古くさいほどの展開で描かれていく。しかし、この懐かしい空気がなんとも癒されるのである。映画自体はそれほど…
若尾文子のスクリーンデビュー作品である。本来久我美子の予定が、急病で交代したものです。監督は小石栄一という人ですが、助監督に増村保造が名を連ねている。映画は敗戦直後の中国大陸で、取り残された日本人の女子供が、日本へ脱出するべく、新京を目指…
「リアル鬼ごっこ」 園子温監督作品でなければ見に行かない映画である。なにをどう解釈して感想を書いたらいいのかわからない映画だった。つまり、私の感性が園子温監督を理解し得ないのか、それとも、園子温がまともな人間ではないのか、なんともコメントを…
「バケモノの子」 細田守監督作品、これはよかった。ストーリーの構成といい、展開のリズムといい、ほとんど無駄のない出来映えに、オープニングからラストまで引き込まれてしまいました。もちろん、細田監督の作品は、どれも、大好きですが、初めてみた「時…
「雪の轍」 映像の美しさに、まず目を引かれる。世界遺産の町並みをとらえるオープニングから、室内の調度品の配置と、照らす明かり、その中で、繰り返される会話劇がこの映画のクオリティの高さを見せてくれます。監督はトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラ…
「ターミネーター;新起動ジェネシス」 オリジナルがあってこその作品として完成された感じの一本だった。これまでの物語の復習のような作品で、ようするに、これまでのシリーズをリセットしますといわんばかりに映画が終わる。とはいえ、おもしろかったっか…
「孫悟空 前後編」 全く、珍品である。製作は1940年、監督は山本嘉次郎である。要するに、西遊記の話であるが、基本的な物語はそのままに、やりたい放題。レビューまがいにミュージカルのごとく「白雪姫」「ピーターパン」などディズニーの名作アニメの…