くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「結婚相談」「深夜の歌声」「ヒッチ・ハイカー」

kurawan2016-04-18

「結婚相談」
芦川いづみ特集の一本、監督は中平康である。とにかく、本筋が見えないめくるめくような妙な映画でしたが、なかなか面白かった。

主人公島子がいよいよ30歳になったとつぶやくシーンから映画が始まる。続いて、結婚式の集合写真、結婚行進曲、タイトル。思わず笑ってしまうオープニングがなんとも個性的である。

物語は、結婚に行きそびれた30歳のOL島子の物語。同僚の結婚式を終え、オールドミスという存在になった島子は、地元の結婚相談書を訪れる。そこで二人の男と見合いをするが、うまくいかず、3人目の男と結婚を前提にということで一夜を明かしてしまう。しかし、その男も断ってくるのだが、なんと全てはこの相談所の所長の仕業だったのだ。

実は、この相談所はコールガールの組織で、巧みに女性を引き入れては男性を紹介していた。罠にはまった形の島子の前に現れたのが、職場の取引先の女たらしの男高林で、仕事で穴を開け、落ち込んでいるところ、島子と再会、急速に接近する。

島子は、相談所の所長から、規則違反で客をすっぽかしたからと、不気味な家の男性と一晩過ごすよう命令。島子がそこで出会ったのは、少し知恵の足りない男で、うまく一晩を過ごした島子は、その男性の母から感謝される。

一方、島子は、自分の退職金を穴埋めに使ってもらうべく、高林のところに向かうが、高林は別の女と無理心中させられ死んでしまった。ようやく、一筋の結婚の望みが叶うかと思われた矢先だった。しかも飛び出して事故にあい、怪我をする。結婚相談所も摘発され、所長も逮捕される。

怪我も治り、浜松に出かけ、そこで、元同僚で、近頃妻を亡くした男性と再会、浜辺を散歩してエンディング。一体島子には結婚が叶うのか、幸せはやってくるのか、というラストだが、二転三転する流れに翻弄される一本でした。


「深夜の歌声」
正直言って、ちょっと退屈な映画でした。フィルムノワールというより、ただの三角関係の恋愛映画という感じで、ストーリーがタラタラと流れるのがしんどい。監督はジーン・ネグレスコです。

バーを経営するジェフティは友人のピートを二階に住まわせ、店を任せている。ある日、シカゴから歌手のリリーを雇う。最初はピートとリリーはお互い素っ気なく、よそよそしかったのだが、次第に惹かれあい愛し合うようになる。

ところが、一方でジェフティもリリーを愛していた。そして、独断で結婚許可をもらうのだが、一方でピートはリリーとの結婚を決めていたため、逆恨みし、店の金を盗んだとピートに濡れ衣を着せる。

そして、犯罪者にして執行猶予にし、自由を奪う形をとるのだが、ある日、ジェフティはピートとリリー、さらに店の会計係ジェシーと山小屋に出かける。そこでふざけているうちに、リリーはジェフティを撃ってしまう。

あれよあれよと一気にラストシーンに持っていく強引な映画という感じの一本で、途中の三角関係の下や、犯罪者にして捕まえる下りも、かなり無理がある。ここまで無理を通すと、さすがに退屈な感じで非常に長く感じてしまいました。まぁ、これもフィルムノワールなのでしょうか?そんな一本でした。リリーを演じたのはのちに監督もするアイダ・ルピノです。


「ヒッチ・ハイカー」
映画が始まると、いかにもヒッチハイクという人影。車に乗るが間も無くして悲鳴と銃声で、車の運転手たちが横たわり、人影が降りる。そしてまた一人犠牲者の後、ニュースの声、エメット・マイヤーズというヒッチハイク強盗が逃げているという。

画面が変わると、二人の男が車に乗っている。酒場に寄ろうとするが、いい店もなく、そのままハイウェイへ。そこで拾ったのがマイヤーズ。こうして物語が始まる。監督はアイダ・ルピノです。
メキシコの港から逃げるために、二人の男を人質に車を走らせるマイヤーズ。ひたすら、この逃避行が描かれ、途中様々なエピソードでの緊張が見せ場となる。

二人の男がいれば逃げられそうに思えるのだが、そこはやはりピストルを向けられた異常な犯人に圧倒されるのだろう。

結局、目的の港に着いたところで、警察に見つかり逮捕される。途中の、マイヤーズを追う警察の作戦なども映されるのに、そのサスペンスはほとんど力を入れない。ここにも少し見せ場を作って、頭脳戦のようなところも入れればもっと面白くなりそうなものだが、そこはB級映画というところなのでしょう。

シンプルなストーリーと、途切れない緊張感で楽しめる一本で、ちょっとした娯楽映画としては面白かった。